おはようございます
先週の『夢の扉』 という番組、ごらんになった方いらっしゃいます?ドリーム・メーカーとして登場したのは、東京大学大学院医学系研究科疾患生命工学センターの宮崎徹先生 でした。
宮崎先生は、今年6月9日のニュースで、脂肪を溶かすタンパク質を発見したと紹介された先生。そのニュースが流れたときは、「肥満治療の新薬開発が期待される」として、かなりな注目を集めてましたっけ。
そのときのニュース記事 を引用すると、
「細胞内で脂肪のもととなる物質ができるのを妨げたり、脂肪を溶かして減らしたりする作用があるタンパク質を見つけたと、宮崎徹東京大教授(疾患生命科学)らが8日付米医学誌セルメタボリズムに発表した。
宮崎教授は「肥満治療の新薬開発につながる可能性がある」と話している。
脂肪細胞には脂肪の貯蔵庫となる「脂肪滴」があり、滴の数が増えたり脂肪を蓄えて大きくなると肥満になる。宮崎教授らは、免疫細胞の一種が分泌する「AIM」というタンパク質が体重の増減に関与することに着目。
脂肪のもととなる「脂肪酸」を糖から合成する酵素の働きを、AIMが抑制していることを突き止めた。AIMは脂肪細胞の前段階の前駆細胞が成熟するのを抑制、細胞外から脂肪酸を取り込めないように働いていた。
培養した脂肪細胞にAIMを加えると、脂肪滴が溶けて3日後には大きさが約4分の1になった。脂肪酸の不足を補うよう滴の脂肪が分解されるらしい。
AIMを分泌しないよう遺伝子操作したマウスは、通常のマウスより体重増加が多かった。
太り始めると血液中のAIM濃度が高まることも判明、AIMは太りすぎを抑える役割を果たし、その能力を超える脂肪蓄積が進むと肥満になるらしい。」
ここに登場したAIMタンパクは、白血球が出すタンパク質で、脂肪を分解する働きを持っています。↑の記事にもあるように、細胞膜の原料にもなる血液中の脂肪酸が不足すると、脂肪を分解して補充するように働いているようですが、太り始めると分泌が増えて、太り過ぎを抑えるんだとか。すご~い。
ところが、どっこい、それだけじゃなかったんです。その後の宮崎先生の研究で、AIMタンパクが脂肪を分解したときに、副次的に出るサイトカインが、血管の内壁を傷つけて炎症を起こし、それが動脈硬化につながることがわかったそうです。
つまり、安易にAIMタンパクをやせ薬にしようとしても、そうはいかないってことですよ。AIMタンパクを投与すれば、脂肪がどんどん分解されて、やせるかもしれないけど、同時に動脈硬化も進んじゃうってことよね。
しかも、そのサイトカインは、動脈硬化だけでなく、肝臓や心臓の血管にも炎症を起こしたり、脳の血管を傷つけてアルツハイマーを進行させたり、膵臓の細胞を傷つけて糖尿病を誘発するらしいですからね。
ここで、以前書いた「メタボの本当の原因は第3の脂肪だった!?」 と「第3の脂肪、異所性脂肪を防ぐには」 を思い出しました。異所性脂肪、脂肪自体が悪さするんじゃなくて、それを溶かそうとして問題が発生するってことになるのかしら?
で、宮崎先生は、AIMタンパクの働きをコントロールできれば、メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)を予防できるようになるだろうから、さらなる研究を続けていきたいと、番組の中で熱く語っていらっしゃいました。
現在、メタボリックシンドローム の診断基準に使われているのは、「女性は腹囲90cm以上、男性は腹囲85cm以上で、脂質異常・高血圧・高血糖のうちの2つ以上がある」というあいまいなもの。脂質・血圧・血糖の値が、太ってなくても高い人もいれば、太っていても正常な人もいますからね。
宮崎先生は、太るとAIMタンパクの血中濃度が上がることに注目して、600人のAIMタンパク濃度を測定して平均値を出し、健康な人の基準値をみつけ出しました。これによって、メタボ診断をより正確にできるようになったってことですね。
AIMタンパク、これでウエストサイズなんていうものに頼らずに、メタボ診断を正しく行なえるようになって、やがてはメタボと生活習慣病の予防薬にもなる日が来るかも。それまでは、健康ダイエットにはやっぱり食事+運動+睡眠 よ~。
一天一笑、今日もいい1日にしましょう。
東洋医学講座の目次→
ツボの目次→
リフレクソロジーの目次→
妊娠・産後・授乳・子どものケアの目次→
アロマセラピーの目次→
『養生訓』の目次→
体操とストレッチの目次→
からだのしくみ・食・栄養の目次→
からだの不調と対処法の目次→
養生法・漢方薬・薬草・ハーブの目次→
ブログの目的・利用法・楽しみ方の目次→