東洋医学講座 No.79 東洋医学の治療法 その1 | 春月の『ちょこっと健康術』

春月の『ちょこっと健康術』

おてがるに、かんたんに、てまひまかけずにできる。そんな春月流の「ちょこっと健康術」。
体験して「いい!」というものを中心にご紹介します。
「いいかも?」というものをお持ち帰りくださいませ。

おはようございます ニコニコ


猛暑が続いています。熱中症 には十分に気をつけてくださいね。春先の気温の乱高下から、西日本での豪雨、そして昨日の東日本でゲリラ豪雨。天候が不安定なときは、からだも不安定になりやすいので、要注意です。


東洋医学講座も最終章、治療法について、2回に分けてお届けします。キリのいい80回で、いったん終了です。実は、弁証 について、もう少し詳しくお話したいのですが、これは追々ってことで。


東洋医学の治療法ですぐに思いつくのは、漢方と鍼灸でしょうか。ほかに、推拿(すいな)、按摩(あんま)、指圧、導引、気功、吸玉(すいだま)療法、刮痧(グァーサ、かっさ)療法などと呼ばれるものがあります。


1 漢方(湯液療法)


何種類かの生薬 を配合した漢方薬を使う湯液(とうえき)療法。つまり、飲み薬を に合わせて処方する方法です。日本で東洋医学といえば『漢方』のことで、これは広い意味では鍼灸や気功なども含みますが、狭い意味では湯液療法を指しています。


2 鍼灸


(はり)と (きゅう)で治療します。証に合わせて、ツボを選び、鍼の太さや刺し方・加える手技、艾(もぐさ)の質や形・壮数などで、補瀉 を使い分けます。


3 推拿(すいな)・按摩(あんま)・マッサージ・指圧


推拿(すいな)は、中国式整体とカッコ書きされていることが多いですが、按摩(あんま)のことです。日本では按摩の技術が独自に発展して、手技が微妙に異なるため、中医学院で教えている推拿と区別されています。


マッサージはヨーロッパ産の手技ですが、日本の学校では、按摩マッサージとして、両方とも教えているところが多いです。マッサージがオイルなどを使って素肌に行うのに対し、按摩は服の上から行ないます。


指圧は、日本生まれの手技です。浪越徳治郎先生の「指圧の心、母心。押せば命の泉湧く。」というフレーズは、一時一世を風靡しました。手のひらや親指で、からだの中心に向かってツボを押します。


いずれも手だけを使う手技療法で、手の使い方が少しずつ違いますが、さすったり、もんだり、たたいたり、圧迫したり、ふるわせたりと、肌や筋肉、関節にアプローチする点では同じです。按摩の手技にどんなものがあるか、『養生訓』の「気の循環」 にありますよ。


4 導引・気功


手足とからだを呼吸に合わせて運動させ、鍛錬する養生法が導引で、気功は導引術のひとつ。気の流れをととのえる方法です。気功には、自分で行う内気功と、人に対して行う外気功があります。


1973年に湖南省の馬王堆(まおうたい)漢墓から発掘された帛書(はくしょ)には、東洋医学の文献とともに、鳥や獣の動作をまねた「導引図」↓がありました。

春月の『ちょこっと健康術』-導引図


5 吸玉(すいだま)療法・刮痧(グァーサ、かっさ)療法


吸玉療法は、吸角(きゅうかく)、抜缶(ばっかん)あるいはカッピング療法ともいいます。コップのような吸玉の中を減圧して、皮膚を吸引する方法です。刮痧は、水牛の角や玉(ぎょく)のヘラを使って、経絡に沿って皮膚を強くこすります。いずれも血行改善を目的とした、中国の古代から続く民間療法です。


15でご紹介した方法に、食養生の指導を組み合わせるのが、本来の東洋医学の治療法です。鍼灸師もそこまですべきだと思いますが、私もまだできませんし、残念ながらできる人は少ないですね。鍼灸学校では、食のことまで詳しく教えきれないから。食をやれば、薬もやらなくちゃなりませんから、とても授業時間が足りません。


理想をいえば、中国や韓国のように、漢方・鍼灸・推拿など、総合的に学べるようにすべきなんです。鍼灸学校の3年間だけでは、知識も臨床研修も、十分とはいえない深さがあります。生徒諸君、卒業後の勉強が大事ですよー。


一天一笑、今日もいい1日にしましょう。


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