アメリカ合衆国の対キューバ「制裁」について【1】 | PAGES D'ECRITURE

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フランス語の勉強のために、フランスの雑誌 Le Nouvel Observateur や新聞の記事を日本語に訳して掲載していました。たまには、フランス語の記事と関係ないことも書きます。

日本では余り報道されなかったかもしれませんが、10月30日、国連総会でアメリカによるキューバに対する「経済封鎖」への非難が決議されました。今回で16年連続、同様の決議がなされています。しかも、184の国と地域が非難し、4カ国のみが「経済封鎖」に賛成という、ほぼ全会一致に近い非難決議です。アメリカは当然4カ国の方として、日本はどちらの側でしょう?

11月2日にVoltaire.netに掲載された記事の冒頭です。


『ワシントンの「国家のテロリズム」に対する世界的コンセンサス
国連で、184カ国が合衆国の経済封鎖を非難し、4カ国が賛成する』

Consensus mondial contre le « terrorisme d’État » de Washington
À l’ONU, 184 États condamnent le blocus US de Cuba, 4 l’approuvent


2007年10月30日、16年続けて、国際連合総会は、ほぼ全会一致で、1959年以来実施されているアメリカによるキューバに対する封鎖を非難した。マーシャル諸島、パラオ、イスラエルとアメリカ合衆国だけが反対票を投じ、ミクロネシアが棄権した。

(以下、国連による決議の全文が続きますが、長過ぎるので省略)

全文はこちら http://www.voltairenet.org/article152690.html

日本も、アメリカ様に逆らう決議に賛成しているのです。日本のマスコミが大っぴらに報道しないのは、アメリカ様のご意向に逆らっていることに対する何かがあるのでしょうか。


上の記事に関連して、かなり古い記事ですが、この決議の前の9月27日、同じくVoltaire.netに掲載された記事に興味を持ちました。

『経済制裁:キューバに対する残虐で不合理な政策の失敗』というような記事です。以前に日本語に訳していたものの、掲載する機会がないまま放置していたのですが、最近、Le nouvel Observateur などでアメリカに関する批判的な記事を読んだことと、上記の国連での決議との関係で、今回掲載することにしました。

アメリカ様の冷酷さ、これに限りませんがダブルスタンダード振りがよくわかります。

『経済制裁:キューバに対する残虐で不合理な政策の失敗』

Sanctions économiques
Échec d’une politique cruelle et irrationnelle contre Cuba
par Salim Lamrani


27 septembre 2007


1960年以来、米国はキューバ島を全面的な経済的輸出禁止措置下に服従させている。この国際法に照らし合わせて見ると不法な政策は、キューバ国民を政府に反対するように仕向け、転覆するように駆り立てることを目的としている。サリム・ラムラーニはこの禁輸措置の47年間を総括した。キューバという国家が経済的に発展するのを妨げ、したがって近隣諸国にとって魅力的なモデルとなることを妨げたが、しかしキューバ国民を分断するという目的を達することはなかった。フィデル・カストロの病気という事実による、彼の段階的な引退は、ワシントンのプロパガンダが執拗に独裁政権として提示する政府への国民の支持を、全く弱めることはなかった。



国際社会はこの問題に対して全会一致である。国連総会は15年連続して、常に増加し続ける多数の賛成で、キューバ国民全体、特に最も脆弱な分野を無慈悲に痛めつけるアメリカの経済制裁解除賛成を議決してきた。2006年には183カ国が、ワシントンによってキューバに押し付けられた残酷で不法な戒厳令を非難した。しかし、無駄である。アメリカ政府は常に聞こえないふりをし、1960年7月に発効した非人間的で時代遅れで効果のない政策を執拗に適用し続けている。

経済制裁は、その適用以来、890億ドルを超える損失をキューバ経済にもたらしてきた。2006年には、この残忍な政策の直接的な結果として、キューバは40億ドル近い収入の欠損に苦しんだ。このカリブ海の島は米国にいかなる製品も輸出できないし他から何も輸入できないだけでなく、第三国に設立されたアメリカ企業の子会社との商業活動を実施することも許可されない。明白な国際法違反である。キューバは国際金融機関からのいかなる信用も得られないし、世界の他国との商取引におけるドルの使用も禁止されている。

ワシントンの敵対的な政策は法的に有効になって以来、絶えず強化されてきた。1992年にはTorricelli法、1996年にはHelms-Burton法、2004年に自由キューバ支援委員会の最初の報告と2006年の第2回報告の採択によって。こうして、アメリカの観光客は、最大で10年の禁固と15万ドルの罰金にもなり得る極度に厳しい罰則のもとで、キューバを訪れることができない。2005年には、キューバを訪れる国外在住アメリカ人に対して財務省外国資産管理局(Office of Foreign Assets Control – OFACOFAC)より課せられる制裁金は54%も増加した。米国のキューバ人に関しては、2004年以降、財務省の許可を得るという条件下で3年ごとに14日間を超えてキューバの家族を訪問することができなくなっている。2006年には、旅行者の数は2003年と比較して50%以上も減少した。  

経済制裁は同様に、キューバ国民の栄養状態にも壊滅的な影響をもたらした。2006年5月から2007年4月にかけて、経済制裁はこの分野において2580万ドルに上る損失を引き起こした。実際、米国は食料品の取得を強硬に制限している。この総額から、キューバは本来18万トンのインゲン豆、7.2万トンの大豆オイル、30万トンのトウモロコシと27.5万トンの小麦を得られるはずだった。

(つづく)


http://www.voltairenet.org/article151760.html


長いので次回 アメリカ様の対キューバ「制裁」について【2】 に続きます。

Voltaire.net  は、左派系のシンクタンク、あるいは陰謀論のメディアとして一部の人には嫌われているようですが、時に興味を引かれる記事があります。それぞれの記事がかなり長いのが難点ですが。

Voltaire.net  の存在を教えて下さったたゴンベイ さんには深く感謝します。




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