モネ「秋の効果、アルジャントゥイユ」
今回は印象派のクロード・モネを取り上げる。
モネはフランスの田舎を好んで描き、
自然の中で輝く光の美しさに強く惹かれていた。
その作品の多さと表現力には、驚くばかりだ。
この絵はモネが33歳の時に描いたもので、
「秋の効果、アルジャントゥイユ」である。
モネはセーヌ河畔の町アルジャントゥイユに住み、
ここの景色も大好きで何度も描いている。
その中の一枚、
セーヌ河からアルジャントゥイユの町を見た
秋の風景を描いている。
秋晴れの気持ちの良い日、大きく茂った木々や、
真っ青に晴れ渡った空、ポッカリ浮かんだ白い雲、
その背後には、
工場の白い煙突、家屋や教会があり、
工場から出る煙は、白い雲に溶け込んでいる。
この絵はアトリエ舟から描いたものと思われる。
アトリエ舟とは
絵画制作に必要な道具一式を載せた小さな舟で、
いわば水上のアトリエである。
なるほど、これなら描きたいところ、
どこへでも行けるわけだ。
少々不安定だろうが、
モネはこの景色を楽しみながら
時の経つのを忘れるほど没頭していたのだろうか。
煙突から出る煙を見ると
アルジャントゥイユの町にも近代化の波が
押し寄せていることが分かる。
これはモネの心を
どんなにか不安にさせたことだろう、
この景色が壊れていくと感じながら、
この場を離れることができなかったのかもしれない。
この壊されていくかもしれない景色を
惜しむかのように、
左右に大きな木々を置き、
その木々はオレンジやピンク、うすい緑、深い緑、
紫、わずかの灰色と、
色彩豊かに描いている。
水面には、
主役の大きな木々を
力いっぱいまぶしく反射させている。
モネのアルジャントゥイユへの
深い愛を感じる一枚である。
今晩の
「ひとりぼっちのウォークマン」の旅は、
アトリエ舟に乗って、
アルジャントゥイユの秋を満喫。
マネ「フォリー・ベルジェール劇場のバー」
今回は独特な色づかいとタッチで印象派の父
といわれる
エドゥアール・マネを取り上げる。
この絵はマネの最晩年の傑作と言われた
『フォリー=ベルジェール劇場のバー』である。
絵の舞台はパリで最も華やかな社交場のひとつ
だったフォリー=ベルジェール劇場である。
キャバレーやアクロバット、パントマイム、サーカス
などが開催された音楽劇場で、
紳士淑女が集まり舞台を見ながら飲んだり
食べたりしている楽しい雰囲気のようだ。
描かれているのは、そこの壁際に設けられた
バーであり、
カウンタ-に両手をついて正面を向いた若い女性で、
背後の大きな鏡に映るのは、
客席から舞台を見ているお客たちである。
それにしても気になるのは、この若い女性の表情だ。
お客様を前に、もう少しにこやかに、
いや、笑顔までは要求はしない。
だが、何とかならないものだろうか、この表情。
彼女はこの劇場の賑やかな世界とは、
別の世界にいるようだ。
群集の中でふと感じる孤独なのか、
物憂げな表情がとても気になる。
もっと不思議なのは、
カウンタ-と鏡は平行になっているが、
帽子をかぶった紳士と、
対面している彼女の後姿である。
正面を向いている彼女の右側に、後姿が映り、
その右に紳士が映っているが、
とてもバランスが悪い、不思議 ・・・・・。
これには何か、意図があるのだろうか。
彼女と紳士との間には何かあるのか?
それを推測させようとしているのか。
ミュシャ「ムーズ・ビール」
「B ieres de le Meuse」 という大きな文字。
綺麗な女性が、泡立つジョッキを抱え、
ぼんやりしている。
この絵はアルフォンス・ミュシャの描いた
「ムーズ・ビール」である。
ほろ酔い加減なのだろうか。
ゆっくりとくつろいでいる様子、
なかなかいい雰囲気だ。
頭にはいろいろなものがのっかっている。
ビールの原材料である大麦の穂、
イヤリングのように垂らしたのは緑色のホップ。
両脇の赤い大きな花は、コクリコ(ひなげし)、
あまりはっきりは見えないが白いマーガレット、
そして、その隙間に青色のヤグルマギクが見える。
なんてゴージャスなのだろう。
この花々の赤、白、青は
フランスの国旗の三色を表しているとか。
女性の腕の下には、
ちょっと違和感のある図が添えられている。
それは楕円形の部分に「ムーズ川の精(女神)」と、
その下に「ビール工場」の図だ。
この絵はポスターなのでこういうことになるらしい。
日本のポスターとはずいぶん違うように思う。
ミュシャの描いた女姓がビールの女神として
ポスターの主役となっているのだ。
このポスターを見たら、
もう「ムーズ・ビール」を買わずにはいられない。
私も買うだろう。
今晩の
「ひとりぼっちのウォークマン」の旅は、
「ムーズ・ビール」を求めて、フランスへひとっ飛び・・・・・
アルフォンス・ミュシャ「四季-春」
明けましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いします。
今年の最初の絵はアルフォンス・ミュシャの
連作「四季-春」である。
若く美しい女性が
竪琴を奏でている。
”春”からイメージする色といえば、
平凡な私は若葉の薄い緑色、
すみれのうす紫、そしてピンクなどなど、
しかし、ミュシャのこの春は
なんとシックで上品、
そしてゴージャスなのだろう。
私がイメージする春の色など見当たらない。
描かれている女性は
とても魅力的だ。
頭に白い花冠を着け、
薄い白いドレスを身にまとっている。
そして、しなやかな体のラインが
女性らしさをいっそう強調しているようだ。
竪琴は若草と自らの髪の毛で
作ったといわれている。
その音色に引き寄せられたのか、
数羽の小鳥が近づいてきて、
さえずっているようだ。
この女性の小鳥たちへ向けられた視線は、
優しく穏やかでのどかな春を思わせる。
ミュシャは春夏秋冬の四季を描く時
必ず若く美しい女性と、
それぞれの季節に合った花や草木を用いた。
他の季節には何が描かれているのか、
見てみたい。
今晩の
「ひとりぼっちのウォークマン」の旅は、
ミュシャの描く春の世界に・・・・・
ワシーリー・バクシェーエフ 「樹氷」
こんな雪景色は初めて見た。
雪が白ではなく、淡いピンクに輝いている。
この絵はワシーリー・バクシェーエフの描いた
「樹氷」である。
これは、私が見たことのある樹氷とは違う。
蔵王の、あの寒々と凍り付いた
樹氷とは全く違うのだ。
雪に覆われた木々のあちこちに、
キラキラと優しい光があたっている。
空は淡い青色で、
木々の隙間からも見えるが、
冬の空とは思えない。
やわらかく優しい青空だ。
淡いピンクから青みがかった乳白色の、
樹氷もふかふかと不思議な柔らかさだ。
こんなに温かい雪景色があるのだろうか・・・・・
まさにファンタジー、そのものだ。
ここはロシアの大地、
厳寒であろうはずの大地が
こんなに温かく優しく輝いている。
静かな森へ続く道には、
馬車の通った轍が見える。
誰も通りそうもないこの道を、
人が通っているのだ。
この森の奥にはどんな生活があるのだろう。
どんな家が建ち、どんな人々が住んでいるのだろう。
今年も残すところ、あと2日となってしまったが、
このような静かで清らかな風景とともに、
2018年にさよならをしたい。
今晩の
「ひとりぼっちのウォークマン」の旅は、
この雪景色の中を馬車に乗って、
森の奥の街へ
今年もたくさんの方に訪問いただきまして
有難うございました。
来年もよろしくお願いいたします。
トーマス・キンケード「クリスマス前の夜」
雪に覆われた1軒の家、
部屋の窓々には明かりが点されている。
この絵はトーマス・キンケードの描いた
「クリスマス前の夜」である。
とても寒そうだが、暖かい。
庭には可愛い雪だるまがちょこんと置かれ、
にこやかに、 「ようこそ」 と、
お客様を出迎えているようだ。
外灯もいっしょに、柔らかい光を放っている。
今日は”クリスマス前の夜”、
つまりクリスマスイブなのだ。
この家の中では、何が行われているのだろう。
このオレンジ色の明かりから想像すると、
幸せな笑顔がいっぱいの
パーティが行われているにちがいない。
子供たちはクリスマスプレゼントを
大切そうに抱えて。
日本の楽しく賑やかなクリスマスパーティとは、
少し違うのかもしれないが、
幸せがあふれていると想像できる。
この家の窓に明かりが無かったらどうだろう。
ただ、ただ、寂しいクリスマスを
想像してしまう。
光りを描く画家として有名なトーマス・キンケードは、
いつも絵のどこかに光を燈している。
この絵の窓の明かりも、
雪に覆われた地面にも、
明るい光が差し込んでいる。
人の姿は見えないが、
ほっこりとした温かさを感じる。
今晩の
「ひとりぼっちのウォークマン」の旅は、
この家を訪れて、
クリスマスイブを一緒に過ごしてみたい・・・・・
ゴッホ「星降る夜 アルル」
”星が降る” とは、
まさにこのことなのかもしれない。
今にも降ってきそうに、
空いちめんに星が輝いている。
この絵はヴィンセント・ヴァン・ゴッホの描いた
「星降る夜 アルル」である。
ここは南仏アルルで
流れているはローヌ川、
向こう岸には街並みが見える。
この街のどこかにゴッホは暮らしていたのだ。
ゴッホはこんな美しい景色を、
毎日、見ていたのだ。
うらやましい限りだ。
もう、描かずにはいられなかったことだろう。
そして、真ん中あたりには、
北斗七星(大熊座)が描かれている。
ここらあたりがゴッホの
純粋で素敵なところだ。
対岸にあるガス灯が川面に映りゆらゆらと
水面をオレンジ色に照らしている。
そしてこの青色が何とも言えないのだ。
空の青と、川面の青が、
高い透明度のあまり、
吸い込まれてしまいそうになる。
この絵を描いたころのゴッホは
絵に対する情熱にあふれ、
意欲的に制作に取り組み、
仲間を集め、切磋琢磨していた頃だろう。
右下にいる男女はカップルのようだが、
この美しい景色を見に来たのだ。
恋人同士なら、こんな夜に、
この景色を眺めたくなるのも十分うなずける。
今晩の
「ひとりぼっちのウォークマン」の旅は、
この星降る夜のローヌ川の畔へ・・・・・
ルソー「エッフェル塔とトロカデロ宮殿の眺望」
思わず、うわぁ~~と、声を上げてしまった。
この柔らかなメルヘンティックな世界、
温かく、やさしい空気が漂っているようで、
幸せな気分になってくる。
この絵はアンリ・ルソーの
「エッフェル塔とトロカデロ宮殿の眺望」である。
真ん中に立っているのがエッフェル塔のようだ。
私の知っているエッフェル塔とは少し違うが。
そして、青い屋根のトロカデロ宮殿が見える。
手前には大きな橋が架けられているが、
もちろん、流れるのはセーヌ川。
ここはフランスのパリなのだ。
パリといっても今のパリではない、
むかしむかし、100年以上も前のパリだ。
堂々としたエッフェル塔と
オレンジや黄色などで何層にも重なった、
夕焼け雲が美しく描かれている。
上にある雲は口を開いた大きな2匹の魚が
何かを話しているように見えて仕方がない。
そこがとてもロマンティックなのだ。
そして空の真ん中には丸い物が・・・・・
太陽だろうか、月だろうか。
いずれにしても、それらに照らされて
川面はオレンジ色にキラキラと光っている。
手前にいるのは釣り人のようだ。
ここで、釣りをしているとは・・・・・
なんて、のどかな風景なのだろう。
まるで絵本の一ページを見ているようで、
この絵に出会えたことがとても嬉しい。
今晩の
「ひとりぼっちのウォークマン」の旅は、
このメルヘンティックな世界へ・・・・・









