ひとりぼっちのウォークマン -12ページ目

ミレー「古い塀」

ミレーの作品だが、おやっ?と思ったこの作品、

 

 

「古い塀」を取り上げる。

 

   

 

 ミレーが住んでいたバルビゾン村には、

 

フォンテーヌブローの森とを区切る

 

塀があったというのだ。

 

 

これがその塀だ。

 

 

塀と言っても石垣を積んだようなもので、

 

もう崩れ落ちている。

 

 

その隙間から、黒い物が・・・・・

 

 

よく見ると、それは野生のシカのようだ。

 

 

そして地面には、カエルが2匹描かれ、

 

1匹が足を広げて飛び上がっている。

 

 

もう一匹も、今にもジャンプしそうだ。

 

 

タンポポの花や綿毛も点々とあり、ねじれた木の根、

 

様々な草木も、細かくリアルに描かれている。

 

 

こんなに自然を細かに描くミレーに

 

初めて出会った。

 

 

これは良い意味での衝撃だった。

 

 

ミレーは、この古い塀を黙って

 

見過ごすことは出来なかったのだろう。

 

 

だから、古い塀と一緒に、

 

シカ、カエル、タンポポ、ねじれた木の根などなど、

 

自然そのものに豊かな愛をもって描いたのだろう。

 

 

さりげないこの絵が、とても好きになった。

 

 

この絵は、所在が分からず、

 

「ミレーの幻の作品」といわれていたが、

 

個人の美術愛好家が所有していたことが分かり、

 

最近、世に出るようになった。

 

 

現在は、山梨県立美術館に所蔵されているようだ。

 

 

今晩の

 

「ひとりぼっちのウォークマン」の旅は

 

このバルビゾンの古い塀あたりに・・・・・

 

 

 

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ミレー「冬、凍えたキューピッド」

農民画家と言われているジャン=フランソワ・ミレー、

 

しかし、彼は物語をテーマにした作品も描いている。

 

 

この絵は、紀元前6世紀頃の

 

アナクレオンというギリシャ詩人の作品を

 

元に描いた「冬、凍えたキューピッド」である。

 

            

 

裸の男の子が・・・・・

 

雪があるこの寒さの中でどうしたのだろう。

 

 

この絵は、寒さに震える裸のキューピッドを、

 

やさしい家人が家に入れようとしている

 

ところを描いている。

 

 

キューピットの肌は冷え切ったためか、

 

もう黒ずんでいて、

 

背中の羽根も黒く変色しているようだ。

 

 

このまま外にいたら、どうなったことだろう。

 

 

この光景を見た若い娘と父親が、

 

家の中に招きいれたのだ。

 

 

良かった!!

 

 

家の中に入ったキューピッドは

 

温かいスープを与えられ、

 

 

そして、暖かい暖炉の前でゆっくりと

 

くつろいだにちがいない。

 

 

絵を見ているこちらも、

 

ジィーンと温かい気持ちになってくる。

 

 

なんて素敵な話なのだろう。

 

 

ミレーの作品をいろいろ観てくると

 

ミレーという人は優しさと温かさにあふれた人だ

 

ということが分かる。

 

 

ミレーと言えば、

 

先ずは働く農民を描いた「落ち穂拾い」や「晩鐘」が

 

代表作のように、すぐに思い浮かぶ、

 

 

でも、こんな隠れた名作に出会えた。

 

 

これは本当にうれしいことだ。

 

 

それも、皆さんからいただいたアドバイスや、

 

時々訪づれる、美術館めぐりの賜物である。

 

 

今晩の

 

「ひとりぼっちのウォークマン」の旅は

 

また、素敵な絵との出会いを求めて・・・・・

 

 

 

 

 

モ―リス・ドニ「ミューズたち」 

今回のモ―リス・ドニもナビ派の画家だ。

 

こちらは、宗教画や神話画が多い。

 

 

モ―リス・ドニは幼少期に

 

パリ郊外の太いマロニエの樹の立ち並ぶ公園で

 

遊んだことがある。

 

 

この絵は彼が弱冠23歳で描いたもので、

 

 

神話の中で太陽神アポロンのもとに仕える、

 

9人の芸術の女神たちを描いた

 

「ミューズたち(ムーサたち、公園、樹の下で)」である。

 

 

オヤッ と感じるこの色調、

 

何とも言えないいい感じで、安らぎを覚える。

 

 

描かれているのがミューズだからという訳ではないが、

 

この太い幹の間から、

 

涼やかな風が吹いているような感じさえする。

 

 

落ちついた茶系で統一された色使いも

 

そうさせるのかもしれない。

 

 

また、太く垂直に伸びる樹は、

 

ドンとした安定感を与えている。

 

 

さて、椅子に腰掛けて談笑したり

 

後方で散策する9人のミューズたちの姿は

 

とても優雅だ。

 

 

それぞれのミューズたちは

 

神話の世界にあるような衣装を

 

身にまとっているのではなく、

 

 

今風の衣装を身に着けているのが

 

現実的で親近感を覚える。

 

 

そして、地面の模様入り絨毯のような描き方も、

 

まわりの樹と一体化していて、面白い、

 

これは神話の世界ならではなのか・・・・・

 

 

太陽神アポロンに仕えるのは

 

9人のミューズのはずだが・・・

 

 

画面の中央奥に、もう一人誰かいる。

 

これもミューズ?

 

 

小さいから子供かもしれないが、

 

薄ぼんやりと描かれているのが、気になる。

 

 

ゆったりと落ち着いた描き方で

 

何とはなしに引き込まれてしまう安定感のある絵だ。

 

 

今晩の

 

「ひとりぼっちのウォークマン」の旅は

 

このミューズたちの輪の中に・・・・・

 


 

 

 

ボナール「格子柄のブラウス」

ピエール・ボナールはナビ派の画家だ。

 

 

しかも「日本かぶれのナビ派」

 

と呼ばれたらしい。

 

 

ナビ派の時代は後期印象派の頃といわれている。

 

 

今回はピエール・ボナールの描いた

 

「格子柄のブラウス(20歳のクロード・テラス夫人)」

 

を取り上げる。

 

            

 

なんと、ほんわかとした温かい絵なのだろう。

 

なにかの本の挿絵のような・・・・・・

 

 

右手に猫を抱き、食事をしている。

 

 

この光景もまた、あたたかく幸せいっぱいで、

 

のどかな気分にさせられる。

 

 

さて、ブラウスだが、

 

 

しゃれたチェックではなく、

 

 

千代紙を貼り付けたような

 

ごくごくありふれたピンクと白の格子柄で、

 

温もりを感じさせる。

 

 

そして女性によく似合っている。

 

 

その顔は、

 

面長で、浮世絵の女性のようにも見え、

 

どことなく日本人として親近感を覚える。

 

 

この絵が、本の挿絵に使われていたなら、

 

 

その本のストーリーは

 

きっとシリアスなものではなく、

 

ごくありふれた日常を描いたホームドラマか・・・・・

 

 

そして、この絵のサイズは縦長の形で、

 

まるで掛け軸のような感じもする。

 

 

これも「日本かぶれのナビ派」

 

といわれたボナールだからと納得できる。

 

 

そして、日本通のボナールの作品を

 

他にも見てみたくなった。

 

 

今晩の

 

「ひとりぼっちのウォークマン」の旅は

 

この幸せな食卓に・・・・・

 

 

 

 

 

モネ「エトルタの夕焼け」

この場所、

 

フランス 、ノロマンディーのエトルタは、

 

モネがとても気に入った景色のようだ。

 

 

特に冬に見るこの場所が好きで

 

何回も訪れていたようだ。

 

 

今回は「エトルタの夕焼け」を取り上げる。

 

 

 

実際どんな場所なのか、とても興味を持ったので、

 

何枚もの写真を見てみたが

 

いろいろな表情があり、美しい漁村だった。

 

 

これは何時ごろなのか、

 

 

白い雲が垂れこめた中に夕焼けが

 

青い空を染め始めている。

 

 

そして断崖は逆光に照らされているようだ。

 

 

手前の浜辺には3隻の船が描かれ、

 

夕暮れの寂しさを、より一層、醸しだしている。

 

 

モネは大好きなこのエトルタの

 

もう二度と見れないかもしれない一瞬の情景を

 

描きたかったのだろう。

 

 

背景の石灰層の巨大な絶壁は「アモンの断崖」で、

 

先端は「アヴァルの門」と呼ばれ、

 

よく知られている。

 

 

そしてこの場所は

 

小説「怪盗アルセーヌ・ルパン」にも

 

出てくることで有名なようだ。

 

 

そのこともあってか、

 

エトルタ観光満足度上位のランキングを

 

占めている景勝地である。

 

 

私もいつか、是非、訪ねてみたい。

 

 

今晩の 

 

「ひとりぼっちのウォークマン」の旅は 

 

このエトルタの一瞬の情景を

 

この目に焼き付けたい・・・・・

 

 

 

 

 

モネ 「赤い頭巾、モネ夫人の肖像           (窓に立つカミーユ・モネ)」

モネの絵は数々見てきたが、この絵を見たときは、

 

しばし、立ちつくしてしまった。

 

 

この絵は、「赤い頭巾、モネ夫人の肖像

 

(窓に立つカミーユ・モネ)」である。

 

   

 

絵本のある1ページを切り取ったかのようなこの絵、

 

 

屋外に女性がいる、赤い頭巾に黒いマントを着て。

 

 

こちらを振り向いたような視線も気になる。

 

 

これを描いたモネは室内から女性を見ている。

 

 

室内の壁と床は黒っぽく薄暗いようだが、

 

外は白い雪で明るく見える。

 

 

室内と屋外の明るさがの違いが感じ取れる。

 

 

そして、窓に下がられた白いカーテンの

 

質感と透けた感じが見事に描かれ、

 

 

ため息がこぼれてしまうほどだ。

 

 

窓の外は寒いのだろう。

 

白い雪が積もり、窓の桟にもかかっているほどだ。

 

 

この白い雪の中に、女性の赤い頭巾がとても際立つ、

 

 

絵としてもとても素敵だが、

 

この絵の前後にある物語を勝手に想像したくなる。

 

私なら・・・・・

 

 

絵の中の女性はモネの最愛の妻カミーユだが、

 

 

このカミーユをヒロインに、モネは

 

どんなストーリーを考えながら描いていたのだろう。

 

 

モネは、この絵をとても気に入っていて、

 

死ぬまで手放さなかったとか、

 

 

なるほど、納得できる一枚だ。

 

 

今晩の 

 

「ひとりぼっちのウォークマン」の旅は 

 

この素敵なアトリエへ・・・・・

 

 

 

 

 

ブグロー「天使の歌」 

明けましておめでとうございます。

 


昨年はご覧いただきまして

 

有り難うございました。

 


今年もまた、綴っていきますので

 

気が向いたら、お訪ねください。

 


本年もよろしくお願いいたします。

 


今年こそ、平和で穏やかな年になりますようにと、

 

願わずにはいられません。

 


そんな願いを込めて、この絵を取り上げました。

 


この絵はアドルフ・ウィリアム・ブグローの

 

「天使の歌」である。

 

   


森の中で女性たちが音楽を奏で、歌っている。

 


描かれているのは3人の天使と聖母子のようだ。

 


その歌声は、甘く優しく、

 

この聖母子を包んでいるのだろう。

 


抱かれた子は健やかに眠っている。

 


今にもずれ落ちそうだが、

 

すやすやと・・・・・

 


母の柔らかい腕が気持ち良いのと、

 

天使たちの奏でる音楽がここちよくて、

 

深い深い眠りに入ってしまったようだ。

 


なんて、優しい絵なのだろう。

 


幸せとはこういうものなのかもしれない。

 

 


そして、描かれている天使と聖母子の顔が、

 

とても現実的で、親しみを感じてしまう。

 

 


森の中に入っていくと、

 

この天使達と聖母子に逢えるだろうか・・・・・

 


せめて、私はこんな情景の中に包まれる夢を見たい。


今日の初夢で。

 

 


今晩の

 

「ひとりぼっちのウォークマン」の旅は

 

この幸せの森に・・・・・

 

 

 

 

 

モネ「積みわら、冬の効果」

白い冷たい氷?雪の壁の前の、

 

この大きな青い2つの塊は何だろう。

 

 

今回はクロード・モネが描いた

 

「積みわら、冬の効果」を取り上げる。

 

 

 

積みわらといえば収穫の秋を連想してしまうが、

 

この絵は冬で、積みわらが冷たく、

 

ガチガチに凍ってしまったようだ。

 

 

モネはたくさんの積みわらを描いている。

 

これはその連作(30点以上)の一枚で、

 

50歳の時に描いたものだ。

 

 

モネは積みわらのどこに惹かれていたのだろう。

 

 

この “積みわら”の青がとても印象的だ。

 

 

そして、積みわらの前の二つの青い影が

 

冷たい冷たい氷水のように見え、

 

この場面の静けさと、寒さが一層伝わってくる。

 

 

また、陽のあたっているところは

 

うす茶色や、かすかな桃色を帯びて描かれ、

 

所どころに青も使われている。

 

 

このように冬の積みわらは、

 

モネの前にいろいろな姿で表れていたのだろう。

 

 

だから、この積みわらを描かずには

 

いられなかったのかもしれない。

 

 

積みわらと言えば秋の象徴だが、

 

冬の積みわらのこんな姿も、

 

面白いと思った。

 

 

今晩の

 

 「ひとりぼっちのウォークマン」の旅は

 

ジヴェルニーの雪の積みわらを見に・・・・

 

 

 

 

 

ヴィゴ・ヨハンセン「 Silent Night 」

今回はデンマークの画家

 

ヴィゴ・ヨハンセンを取り上げる。

 

 

この絵は、クリスマスの情景を描いた

 

「Silent Night」である。

 

 

薄暗い部屋の中に、大きなモミの木、

 

そこには明かりがともっている。

 

 

きっと、ここにいる皆で飾り付けをしたものだろう。

 

 

手をつないで歌っているのか、

 

ダンスをしているのか、

 

 

子供たちの楽しそうな声が聞こえてくるようだ。

 

 

集まっているのは近くの子供たちなのか、

 

みんなで楽しいクリスマスの夜を過ごしている。

 

 

背の高いのが母親のようだが、

 

子供たちにどんな話をしてあげたのだろう。

 

 

その話は、ここにいる子供たちは

 

もう、何回も何回も、聞いた話かもしれない。

 

 

でも、母はその話を今年も、

 

また、したことだろう。

 

 

なんて素敵な「Silent Night」なのだ。

 

 

いろいろなクリスマスの過ごし方があるだろうが、

 

こんな温かい「Silent Night」もいいと思う。

 

 

今晩の

 

「ひとりぼっちのウォークマン」の旅は

 

この幸せな輪の中に混ざりたい・・・・・

 

 

 

 

 

ティツィアーノ「悔悛するマグダラのマリア」

祈りの後なのか、美しい女性が

 

天を仰ぎながら、うっとりとしている。

 

 

身に着けているものは、何だろう。

 

とてもフワフワとしているが、

 

 

よく見ると、彼女の長い髪ではないか。

 

 

 

この女性はマグダラのマリアである。

 

マグダラのマリアといえば、元は娼婦だった。

 

 

ルカ福音書によると

 

マグダラのマリアは

 

キリストの前でその罪を悔い改めた。

 

 

その時、キリストの足元で涙を流し、

 

その涙で濡れた足を自分の髪で拭いた後、

 

香油を塗ったとされている。

 

 

彼女の右下にある小さな壺が、その香油のようだ。

 

 

この絵はティツィアーノがその情景を描いた

 

「悔悛(かいしゅん)するマグダラのマリア」である。

 

 

それにしても、なんと長い髪なのだ。

 

そして、官能的なのだ。

 

 

ウェーブがかかった光沢のある髪で、

 

彼女の全身は包まれている。

 

 

身も心も、全てを脱ぎ捨て、

 

神に捧げるという強い意志の表れなのだろう。

 

 

天を仰ぎ、瞳には涙が溜まっているのか、

 

今にも涙が流れてきそうだ。

 

 

後悔の思いで一杯なのかもしれない。

 

 

たくさんの罪を犯してきた彼女だが、

 

この姿を見ると聖女そのもののようにも見えてくる。

 

 

そして、軽く開いた口元からは、

 

神に祈りを捧げたことへの

 

喜びと満足感がうかがえる。

 

 

裸体ではあるが、その真剣な祈りの姿に、

 

感動させられる一枚である。

 

 

今晩の

 

「ひとりぼっちのウォークマン」の旅は

 

マグダラのマリアと共に祈りを捧げに・・・・・