<WOWOWサッカーゼロ通信09/05/01

 かつてUEFA杯を制し、国内でも国王杯6度優勝を誇る名門レアル・サラゴサ。チラベルトやライカールト、カフー等、往年の名選手が若かりし時代にプレーしたクラブであり、モリエンテスやビジャが才能を開花させたクラブでもある。近年ではアイマールやダレッサンドロ、ミリート兄弟といったアルゼンチン人の活躍が記憶に新しい。

 攻撃的なクラブ哲学を貫いており、昨季は2部降格の憂き目を見たが、依然人気クラブであることに違いはない。現在3位。昇格の可能性を秘めて、残り8試合の総力戦に挑む。

 監督は若き才能マルセリーノ・ガルシア・トラル。レクレアティーボを1部に昇格させ、同クラブ史上初の残留(8位躍進)を達成。翌年にはラシン・サンタンデールを6位に導き、UEFA杯出場権をもたらした。強豪からのオファーが殺到する中、今季開幕前、2部降格が決まっていたサラゴサの監督に就任した。

 2部とは言え、メンバーは豪華だ。GKはドブラスで、DFは右からサパテル、プリド(パボン)、アジャラ、ピニョル(パレデス)が基本布陣。中盤にもホルヘ・ロペス、ポンシオ、ガビ、カッファと、1部経験者がズラリと揃う。

 大黒柱アリスメンディと共に2トップを形成してきた元ブラジル代表エヴェルトン(得点ランク2位の20得点)が負傷離脱してからは、スペインU-21代表の19歳アンデル・エレーラが出番を得ている。ダイジェストでしか見たことはないが、アンデルはかつてのアイマールを彷彿させる華奢な司令塔で、サラゴサ期待のカンテラ選手だ。

 監督就任会見でマルセリーノはこう言った。「お金ではない。ただ挑戦したいだけ。」そんな43歳の若き指揮官に導かれ、スペインを代表する〝攻撃志向〟サラゴサの冒険は、クライマックスを迎えている。

Star File 334 セオ・ウォルコット イングランド/アーセナル/MF パワ:2 スピ:5 テク:3 パス:3 芸術:3 男前:5 一言:英国の未来


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<WOWOWサッカーゼロ通信09/11/13

ロベルト・エンケが亡くなった。遺書も見付かっており、地元警察は自殺と断定したようだ。32歳、現役ドイツ代表GKの突然の死は、一夜にして世界中を悲しみの境地へ誘った。

22歳の若さで名門ボルシアMGの正GKに就くと、早くも海外移籍のチャンスを掴む。名門ベンフィカで3年間活躍し、強豪バルセロナへとステップアップ。しかしここでは思うような結果は出せず、レンタル移籍を繰り返した。そして2004年、僅かな傷心とともに母国復帰(ハノーファー)を果たしていた。

奇しくもこの時期に、自殺の原因とも言われる鬱病の治療が始まる。また2006年には2歳だった愛娘を失い、いよいよ精神的に追い込まれていった。

サッカー界では、『GKは変人じゃないと務まらない』という可笑しな格言がある。点を奪い合う競技の中で、ただ一人、点を与えないことに90分間注力する。守って当たり前、メディアに取り上げられるのは、ミスを犯した時だけだ。

サポーターのプレッシャーに最も近い場所〔ゴールマウス〕で、たった一人佇むその境遇は、言葉にならないほどの孤独感があるらしい。エンケもまた、この孤独感と闘い続けた選手だった。

ドイツ人GKには珍しく足技に優れており、ハノーファー移籍後はコンスタントに代表にも呼ばれていた。カーンやレーマンの引退後、空席となっていた代表守護神の座に、最も近い男と目されていた。そんな矢先での早過ぎる死…。

メディアは簡単にバッシングを浴びせる。しかしサッカー選手の誰もが図太い神経の持ち主だとは限らない。そう、ロベルト・エンケのように…。ご冥福をお祈りします。

Star File 362 相馬崇人 日本/マリティモ/DF パワ:3 スピ:3 テク:3 パス:2 芸術:2 男前:4 一言:頑張れ!
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<WOWOWサッカーゼロ通信09/05/08

『正義は勝つ』…。古今東西、勝負事の場面で長く語り継がれてきた言葉だ。では、サッカーにおいて『正義』とは何か。それはゴールを目指して攻め続ける姿勢ではないだろうか。なぜなら、サッカーというスポーツは、入場料、放送権、物販と、全てのカテゴリーにおいて「ファン」の資金によって成り立っており、ファンの満足こそ最大の目的であり使命だからだ。

ファンを満足させる方法は、「勝利」と「ゴール」の2つに集約される。しかし、「勝利」を得るには「ゴール」を決める必要があり、その意味では「ゴール」こそ、最大にして唯一の方法だと言い換えられる。

そんな中で発案された『アウェイゴール2倍』というCL独自のルールは、「サッカーをより攻撃的に!」を合言葉に生み出されたサッカー史に残る革命だった。

CL準決勝チェルシーvsバルセロナについて、昨日の2nd Legのチェルシーを非難するつもりはない。前半9分に先制点を挙げたホームチームが、それ以降自陣に引きこもることは良くある話。問題は1週間前の1st Leg(バルセロナ・ホームで0-0)にあった。10人で自陣を固める弱気なやり方が、結果的に裏目に出たのだ。

2nd Leg94分間を通して、PKという判断でもおかしくないジャッジが3度。チェルシーにとって不利な判定が見過ごされたのは事実だ。バルセロナの枠内シュートがイニエスタの1本だけだったのもまた事実だ。しかし、決勝に進出したのはバルセロナ。『アウェイゴール2倍』とは、そういう危険と背中合わせのルールなのだ。

『正義は勝つ』。スペインのチームだから贔屓して言っている訳ではない。真摯に攻め続けたチームに、最後の最後、勝利の女神が微笑んでくれた…。それが嬉しくて堪らない。

Star File 335 クリスティアン・ロドリゲス ウルグアイ/ポルト/MF パワ:3 スピ:4 テク:4 パス:4 芸術:5 男前:4 一言:ようやく覚醒


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<WOWOWサッカーゼロ通信09/11/06

3戦全敗…。U-17日本代表の冒険は、あっという間に終わりを告げた。今大会、日本代表は何を残し、何を失ったのか…。

実は3試合とも「上出来」ではあった。王者ブラジルには後半ロスタイムまで2-2と善戦し、最後、GKのミスにより金星を逃した。続くスイス戦では、前半を2-0とリードして折り返すなど圧倒したが、逆に後半、またもGKのミスなどで4失点を喫し、苦杯を嘗めた。第3戦のメキシコ戦も、前半は互角の展開を見せていた。

3試合で5得点を挙げた攻撃陣は、合格点だろう。〝神童〟宇佐美&宮吉が世界デビューを果たし、長身FW杉本、中盤センターの柴崎&小島も、世界に通用することを証明してみせた。

一方でミスを連発したGKや、身体能力で圧倒されたDF陣には、早くも失格の烙印を押さざるを得ない。無論17歳、これからの上積みも期待出来るが、如何せんDFの登録名簿に一人も180cm台の選手がいないのは如何なものか…。

勿論サッカーは足でやるスポーツで、今はDFからの組み立ても重要視される時代だ。しかし、DF本来の仕事である「体を張って守る」ことが出来ずに、足元の技術ばかりが注目されるのは本末転倒ではないか。今大会の日本代表DF達は、一様に「足元は上手いが守れない」選手が揃っていた。

「長身=足元が下手」という一般論はあるが、技術は努力で身に付いても、背は努力では伸ばせないのも事実。U-17W杯という大会は、結果も大事だが、未来のA代表への投資という考え方もある。この世代だからこそ、多少のミスには目を瞑り、長身DFを育てる方針があっても良かったのではないか。

闘莉王、中澤以外に信頼の置けるセンターバックが見当たらない今のA代表然り、日本と世界の差はこんな所にもあるようだ。

Star File 361 セルゲイ・セマク ロシア/ルビン・カザン/MF パワ:1 スピ:1 テク:3 パス:3 芸術:3 男前:4 一言:頭脳でボールを蹴る男
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<WOWOWサッカーゼロ通信09/05/15

 クリスティアーノ・ロナウド、カカ、リベリ、イブラヒモヴィッチ、テベス…。天下のR・マドリードが来季の補強で狙う選手たちだ。615日の会長選挙で銀河系軍団の生みの親フロレンティーノ・ペレス氏の再選が確実視される中、かつてのジダン、フィーゴ、ベッカムといった輝かしいスターチームの再来を期待する声は高まる一方である。

 クラシコで起きた歴史上最も恥辱的な大敗、そしてバレンシアでの無気力な戦い。王者レアルの目線は、既に来季の巻き返しに向けられている。そんな中、チームのシンボルであり、絶対的守護神として君臨するGKカシージャスが、興味深い発言で物議を醸している。

「人種差別をする訳じゃないけど、僕はスペイン人を信頼している。」

セスク、ビジャ、シルバ、シャビ・アロンソ等、入団が噂されるスペイン代表の選手たちを心待ちにする発言ではあるが、一方で、そのメッセージは暗に近年の補強を批判する趣旨にも聞こえる。

クラシコの「26」というスコアが、両チームの下部組織出身者の数と一致したのは偶然だが、近年のサッカーシーンにおいて、下部組織出身者や母国選手の比率が見直されているのも事実。現にCLでは、この分野で世界最高の水準を誇る2つのクラブが決勝に進出した。

下部組織出身者や母国選手にあって、外国のスター選手に無いもの。それは『ロイヤルティー』だけだ。しかし、この〝クラブへの忠誠心〟こそ、ビッグゲームで勝敗を左右する最大の要因となり、チームが勝ち進むための見えないエネルギーとなる。

来季のスポーツディレクター就任が噂されるジダン氏は、「バルセロナを見習う必要がある」と発した。R・マドリード復権の鍵は、お金ではなく、戦略にある。カシージャスの発言に全てが集約されている。

Star File 336 フェルナンド・ジョレンテ スペイン/ビルバオ/FW パワ:4 スピ:2 テク:3 パス:2 芸術:2 男前:3 一言:バスクの至宝


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<WOWOWサッカーゼロ通信09/10/30

1996年のヴェンゲル監督就任以来、アーセナルはリーグとカップのW優勝を2度達成し、49戦無敗のリーグ記録を作るなど、まさに『無敵』と評された。

しかし、2005年のヴィエラ、2006年のベルカンプ、2007年のアンリ、そしてこの夏のアデバヨール。クラブの顔であり、チームの心臓だった選手たちが、毎年のように出て行った結果、昨今は弱体化が進んでいる。

元々資金が潤沢とは言えないクラブ事情を、自慢のスカウト網が何度となく救ってきた。中にはセスクやメリダのように、〝青田買い〟と揶揄されるケースもあるが、少なくともヴェンゲルの御眼鏡が狂ったことは、未だかつて一度もない。

若手の獲得とは、つまりは未知数を意味する訳で、大きな危険をはらんでいる。しかしヴェンゲルは自らの『目』を信じ、どんなに実績のない選手でも、躊躇なく試合で使う。そして選手は試合に出ることで自信を深め、監督を信頼し、クラブを愛する。これこそが世界に名立たるアーセナル育成法だ。

この夏、また一人スター候補生がヴェンゲル塾に入門した。ベルギー代表、ヴェルマーレンだ。世界的には無名なこの23歳は、あと数年もすれば世界を代表するセンターバック(※CB)となるだろう。182cmと決して大柄ではないが、空中戦はお手の物で、希少価値の高い左利きのCBでもある。しかし、特筆すべきはその人間性だ。20代前半で名門アヤックスの主将を任されるなど、その立ち振る舞いは選手の模範とも評される。

英国の『Big4』から脱落しつつある昨今のアーセナル。しかしセスクを筆頭に、クリシー、ソング、ファン・ペルシー、ウォルコットなど、名伯楽ヴェンゲルの秘蔵っ子たちはまだまだ健在だ。アーセナルの復活は、彼らの活躍なくしては有り得ない。

Star File 360 トーマス・ヴェルマーレン ベルギー/アーセナル/DF パワ:4 スピ:3 テク:3 パス:3 芸術:4 男前:4 一言:完成間近


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<WOWOWサッカーゼロ通信09/05/22

サッカーとは点を加算していくスポーツ。だからこそ、誰もがゴールを奪うことに喜びを感じ、誰もが90分間それを目指して戦う。我々観戦者が歓喜に包まれる瞬間もまた、ゴールシーンに他ならない。

かといって、全員がFWをやる訳にはいかない。誰かが守備をして、誰かが相手の攻撃を阻まないといけない。サッカーの本質に逆行しながら、それでもチームの勝利のために体を張る。それがDFの仕事であり、GKの仕事なのだ。求められるのは「利他的精神」であり「責任感」だ。

前置きが長くなったが、今回は血液型の話である。俗に言われている男性の血液型性格診断では、『A型=慎重・リーダー肌』『AB型=器用・自然体』『O型=無鉄砲・負けず嫌い』『B型=明朗・マイペース』と分類されている。そしてサッカー界の一般論として、守備寄りの選手に責任感旺盛なA型やAB型が多く、攻撃的な選手には自由奔放なO型やB型が多いとされているのだ。

一例を挙げると、キャプテンシーがあり、チームを引っ張るタイプの川口能活や宮本恒靖はA型。淡々と自らの仕事を遂行する職人肌の中澤佑二や遠藤保仁はAB型だ。一方で、FWの代表格でもある中山雅史や柳沢敦はO型で、海外志向の強い〝Going My Way〟な高原直泰や大黒将志はB型である。

ポジションではなく、そのプレースタイルで考えてみても面白い。攻撃的SBの内田篤人や安田理大はO型で、オーバーラップを繰り返す闘莉王はB型だ。一方で、FWの中でもチームのために献身的に動ける三浦知良や田中達也はA型だし、味方の良さを引き出す能力に長けた玉田圭司や前田遼一はAB型なのだ。

血液型とサッカーの親和性。選手間の連携やチーム構成に影響している可能性も、ゼロではなさそうだ…。

Star File 337 イウシーニョ ブラジル/シャフタール/DF パワ:1 スピ:4 テク:4 パス:3 芸術:4 男前:3 一言:UEFA杯優勝の立役者


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<WOWOWサッカーゼロ通信09/10/23

昨季三冠の代償とはこういうものか。

スペインから遠く離れたロシア連邦タタールスタン共和国に本拠地を置くルビン・カザンですら、その研究に怠りはなかった。直前のリーガ第7節でバレンシアが見せた「対バルサ攻略法」を上手く参考にしながら、それに自らの研究成果をブレンドして臨んだCL第3節。ルビン・カザンはものの見事にバルセロナを食ってみせた。

私が見る限り、『バルサ攻略法』のポイントは5つある。①11人全員がハーフウェアラインまで引き、バルセロナのボール支配を受け入れろ。②4-2-3-1の布陣を敷き、自陣ではFWからDFまでゾーンでプレスを掛け続けろ。③特にシャビとイニエスタにはマンマークに近い距離で対処しろ。④カウンター1本を沈めるため、前線にはスピードのある選手を起用せよ。⑤ダニエウ・アウヴェスを消すため、左サイドハーフには守備専門の人選をせよ。

例えばバレンシアは本来左SBのマテューを、ルビン・カザンは本来右SBのカレシンを、ともに左MFとして起用していた。またFWにはマタ(バレンシア)やギョクデニズ(ルビン・カザン)といった小柄でスピードある選手を選択している。

思えば作季、三冠バルサを最後まで追い詰めたヒディンク・チェルシーも、同じような戦術で議論を呼んだことがあった。そして今季、バレンシアとルビン・カザンが見せてくれたこれらの攻略法は、今後バルセロナを敵に回す全てのチームにヒントを与えるはずだ。

これが三冠の代償か…。世界中のあらゆるサッカー関係者が〝ストップ・ザ・バルサ〟を目標に掲げる今日、歴史上最強とも云われる現在のバルセロナにとって、最大の試練が訪れている。

Star File 359 アンソニー・アナン ガーナ/ローゼンボリ/MF パワ:2 スピ:3 テク:4 パス:3 芸術:2 男前:1 一言:マケレレになれ!

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<WOWOWサッカーゼロ通信09/05/29

スペイン史上初の三冠。かつてチャンピオンズカップを5連覇した〝FIFAが定める20世紀最高のクラブ〟R・マドリードですら、成し遂げることのなかった偉業である。リーガ・エスパニョーラ、国王杯、そしてCL…。その全てを勝ち取ることなど、不可能なはずだった。

38歳の新米監督グアルディオラが残した軌跡は、それだけに大きな事件なのだ。92年のチャンピオンズリーグ施行以来、唯一三冠の味を知る〝先輩〟マンチェスターUとの対戦は、まさに〝史上最高のカード〟だった。

バルセロナが見せた華麗かつ屈強なサッカーは、現代サッカー史におけるユートピアである。これまで、『美しく勝つ』ことなど机上の空論でしかなかった。唯一、ドリームチームと呼ばれた90年代初頭の〝クライフ〟バルサを除いて。

しかし、彼等はその全てをやってのけた。逃したタイトルは一つもない。個人賞にしても、2009年のバロンドールはメッシで決まりだろう。まさに非の打ち所ない『完璧』なチームとなった。

一方で、早くも来季に向けた移籍市場は活性を見せている。ネドヴェドの引退という避けては通れぬ若返りの波に、ブレーメンのブラジル代表ジエゴ獲得という最高の回答で応えたユベントスを始め、世界のサッカーシーンは、既に動き出しているのだ。

おめでとう、バルセロナ。そして時は流れる…

Star File 338 ディエゴ・フォルラン ウルグアイ/A・マドリード/FW パワ:5 スピ:4 テク:3 パス:3 芸術:3 男前:4 一言:ストライカーとしての完成形



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<WOWOWサッカーゼロ通信09/10/16

 この1週間、サッカー界はアルゼンチン一色だ。先週末は最下位ペルーを相手に前半0-0。後半何とか先制点を奪うが、70分過ぎから降り出した豪雨と共にリズムは狂い、90分にまさかの同点ゴールを浴びる。2連勝しか道はなかったアルゼンチンにとって万事休すかと思われたが、後半ロスタイム、奇跡の勝ち越しゴールが決まったのだ。

 この試合でゴールを決めたのは、これが代表初出場となるイグアインと、35歳、実に代表は10年振りとなるパレルモの2人のFWだった。

 首の皮一枚繋がったアルゼンチンは、最終戦、宿敵ウルグアイのホームに乗り込んだ。ラプラタ川で隔たれた隣国同士の一騎打ちは、文字通り勝った方がW杯進出を決めるサバイバル。

 ウルグアイは伝統の3バックでメッシ、イグアインを密着マーク。堅守速攻で宿敵を迎え撃つ。一方のアルゼンチンは、マラドーナ監督の気紛れか、ペルー戦で一人気を吐いたアイマールをベンチに下げて試合に臨んだ。

 戦前の予想通り、イエローカード8枚が飛び出す乱戦となるが、試合はウルグアイが支配する。アルゼンチンは、本来CBのエインセとオタメンディがSBに入ったことで、ボール回しで後手を踏んだ。しかしウルグアイの拙攻にも助けられ、何とか0-0を死守。そして後半75分、遂にマラドーナが動く。何と5分間で立て続けにDF2枚追加投入するのだ。そして極めつけはメッシの交代。かつて〝神〟として崇められていたカリスマは、いつしか「逃げ切り」という俗学を身に付けていた。

 アルゼンチンは生き残った。何はともあれマラドーナは結果を出した。大一番での思い切ったFW起用、そして天下分け目での大胆な逃げ切り作戦。〝神〟のみぞ知る采配は、来年W杯にもう一つのエンターテインメントを提供してくれそうだ。

Star File 358 マルアン・シャマフ モロッコ/ボルドー/FW パワ:4 スピ:4 テク:4 パス:1 芸術:3 男前:5 一言:ムラ王


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