■子の孤立が進むと深刻になる

アルフレッド・アドラー
今までとくに問題のなかった子が
学校に入って新しい状況に直面したら
問題があるように見える例として
教師と級友に敵対される子ども
あげています。

ヨーロッパでのことです。

アドラーいわく
”貴族ではない
裕福でうぬぼれの強い親”

子を貴族の学校に入れました。

子は貴族出身でないため
教師と級友がこの子に
敵対することとなりました。

貴族出身の子や教師は
自分の「貴族出身」を
貴族出身でない子と敵対することで
存分に味わいたかったのでしょう。

いじめの仕組みと似てます。

子は
今までは家庭という社会に
適応できていたのに、
学校では何もしていないのに
皆が敵対してくる状況になり、
学校という社会に適応するためには
その敵対を受け入れるしか
ありませんでした。


アドラー
その残酷さに耐える
子の忍耐力が驚異的だとも
指摘してます。

”貴族ではない
裕福でうぬぼれの強い親”は
まさか学校で
こんなことになっているとは
夢にも思わないでしょう。

子の方でも
こんな親に相談しても
取り合ってもらえないと
思いがちです。

そのため、アドラー
こんな状況では
子は恥ずかしいために
学校でのことを家庭では
一言も話さない
、と指摘してます。

子は一人、
沈黙の中で耐えるのです。

その後、この子が成長して
16歳とか18歳になると
学校が終わって社会に
直接向き合う必要が出てきます。

そのとき子は
勇気と希望を感じられず
ただ立ち尽くしてしまい、
人生を進めていくことが
できなくなります。

なぜなら
一人忍耐はしてきましたが
社会適応能力を磨いては
こなかったからです。


友人、仕事、そして結婚と
課題は山積みですが、
その困難に立ち向かう力が
養われてこなかったのです。

もしそれまでに
優秀な相談相手に出会っていたら
状況は違ったでしょう。

しかし、
出会わずに成長したとしたら
子は自分が
社会と切り離されている感、
すなわち孤立を感じるでしょう。

それをどうにかしようとしても
困難に立ち向かう方面である
人生の有用な面へと進む力が
養われていない子は、
困難を避けるしかなく、
自然と人生の有用でない面へと
進んでしまうことになります


その力が他者に向かっていけば
問題行動となり、
その強度が高まると犯罪となります。

その力が自分に向かっていけば
自傷行為や自殺になるかもしれません。

自傷行為や自殺へと向かわないときは
世界から消えてしまいたいと思い
精神病となる、と
アドラーは指摘しています。

■良好な関係があれば十分対処できる

アドラーの指摘に従えば
子が周囲の人に敵対されるような
状況へと送り出すことは
避けることです。


でも、
実際に子を通わせてみないと
本当にそうなのかは
わからないでしょう。

だから親は
子が恥ずかしいことでも
相談できる状況を
整えておくことが大切です。


適切に整えておければ
子が相談してきたときに
子の危機を知ることができるので
状況改善の支援ができます。

そして、
その相談できる状況とは
親と子の関係が
上下関係ではなく
対等な関係である状況です。

とくに恥ずかしいと
感じている話をする子に
その話を聞くと
そんなことで悩んでたの?
みたいに評価を下したくなる
ことがあったりします。

なぜなら、
そう評価することで
親は優越感を搾取できるからです。

優越感を搾取できると
快楽を感じます。

頭ではその快楽よりも
子のしあわせの方が大事と
思っていても、
食欲のように
「得られる」と直感すると
反射的に評価を下して
優越感をむさぼりたくなったり
するわけです。

だからもし
やろうと思ってないけど、
つい評価を下しちゃったとき
は、

「ごめん!笑ったりしてごめんね。
ちゃんと相談してくれたのに
ちゃんと聞けなくてごめんね。
がんばってちゃんと聞くから
悪いけどもう一度教えて欲しい。」


みたいに状況の回復に注力することです。

そのまま笑ってしまうと
子には「嘲笑された」みたいになって
親に相談しても意味がないと
思わせてしまいます。

その笑い方が子にひどく見えると
親になんか二度と相談しない」と
固く決意させることにも
なりかねません。

評価をせずに話を聞くこと
これが相談しやすい状況づくりの
基礎です。

子の話を聞いて評価を下さない。

もし間違って評価を下したら、
すぐに謝罪して状況の回復に
努めることです。


さらに子を支援するなら
「共感」
「合意の形成」
「気持ちの通い合い」

をすることです。

共感は
端的にいえば
親が子の身になって
子の気持ちを感じることです。

共感は、子が話す
「かわいそうな自分」の話と
「悪いあの人」の話を
聞くときによく使います。

共感をしているときに
言ってること、わかるよ
みたいに示すと
共感を示すことになります。

合意の形成は、子と
「これからどうするか」を
話したときに、
子とする約束です。

親と子との双方向の話し合い、
すなわち対話によって
これからどうするかを相談し
互いの合意の上で決めていくことです。

また、気持ちの通い合いは
子とのやりとりにおいて
子の気持ちを親が自分のものと
置き換えずに「子のもの」として
大切に扱い、示すこと
です。

共感に似ていますが
こちらは
子に「わかってもらえた感」を
感じてもらうことが目的となる
行為です。


そうして状況を整えておくことで
子が危機に陥ったときに
子の孤立が深まる前に
親は早く知ることができ、
それに対処することで
状況が深刻になる前に
子を人生の有用な面へと
導くことが可能となります。





お読みいただき、
ありがとうございます。

プロコーチ10年目、常楽でした。






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