■軟弱な家庭とは

アルフレッド・アドラー
軟弱な家庭だけが
親が子に苦しめられる

と言っています。

軟弱な家庭とは、
親より子の方が
社会適応能力が高い家庭

のことです。

親が仕事をして
生活費を稼いでいるとしても
社会適応能力が低いこともあります。

例えば、
社会的な地位が高いとされ
他者への関心を持たずとも
成立する仕事を親がしている状況。

この仕事をするのに
社会適応能力はあまり必要でない反面、
得られる報酬が高いので
親は「人生うまくいっている」と
感じるために社会適応能力を
高めようとは思わないのです。


そんな親を持つ子が、
自力で社会適応能力を高めないと
生き延びられないと感じて
努力することがあります。


そうして、
学校においてその優秀さを示し、
成績では高い評価を受け、
級友にとても好かれ、
いつも注目の中心にあるために
自分の居場所がある感覚」が高まり、
無理に家庭での自分の居場所を得ずとも
心穏やかにすごすことが
できるようになるのです。

親は
自分の注目を欲しがらない子を
かわいく思えないのですが、
優秀であるために世間的に見栄えがよく、
その見栄えのよさが親の自分をも
自分を引き立ててくれるために
しぶしぶ子の自由を
認めることになります。

しかし、
親は自分の思い通りにならない子が
面白くないため、
苦しめられることになります。

だから、そんな家庭は
軟弱な家庭だ

アドラーは指摘しているのです。

■子に勝利できない親

社会適応能力の低い人の特徴として
他者とよく競争したがること
があります。

優越感を得る方法が
その競争に勝利する方法に
よっているわけです。

一方で、
社会適応能力の高い人の特徴として
他者への関心を持っている
があります。

優越感を得る方法が
持ち前の他者への関心を活用して
自分の力を他者貢献に使う方法に
よっているのです。

感じるしあわせは
断然、後者の方が多いです。

仕事によって順調に
お金を得られていると
生活に困らない状況を
継続することができます。

そこで他者への関心が
必要とされていなければ
社会適応能力を高める必要性を
感じることはありません。

劣等感の補償のほとんどは
稼いだお金を使うことで
できていしまいます。


つまり、
自分はいつも他者との競争では
勝利している

感じてしまうのです。

そんな親が
お金を稼ぐこともなく
使えるお金も少ない子の方が
自分より感じるしあわせが多いと、
いくらその子と競争しても
どうやっても勝利できない
感じてしまいます。

子を見て得た劣等感が
どうやっても補償できないのです。

自分が何をしても
勝利できないと感じると、
子を変えることで
勝利できるのでは?

と思うようになります。

そうして親同士で
この子は独裁的だとか
言うことを聞いてくれないとか
評価を下したり、
学校教師や精神科医やカウンセラーなどに
うちの子は傲慢すぎて
手に負えないから、
その鼻っ柱を折る協力をしてほしい

といった内容のことを
訴え出ることさえあります。

他ではすべての勝利している親の自分が
子に勝利できないのは、
社会的に恥ずかしいだけではなく
ありえないことだと
真剣に信じているのです。

家庭の外に自分の確かな居場所を
自力で得た子
は、
そんな親に屈することなく
自分の道を行くことになります。

単に子は
社会適応能力が高いために
親と競争しようとは思わないだけ
なのですが、
その態度に親はまた劣等感を感じます。

そうして
取り合ってもらいたい親
vs
自分の道を行く子

という構図が続くことになります。

この状況は、
親が自分の社会適応能力を
高める努力をすること

改善に向かいます。

それはつまり、
親も社会適応能力が高まると
子と競争して勝利をせずとも
他の方法で劣等感を
補償していけるようになる
ということです。

■自力で居場所を得る子

こうしたことは、
アドラーの指摘によれば、
子が第一子であるときに
第二子が生まれて
家庭での注目の中心の座を
失ったときに起きること
です。

この
家庭での注目の中心の座を失うことは
子にとっては生き延びられなくなると
真剣に思うくらいに重大な出来事
です。

自分の命がかかっているのですから
一生懸命になるわけです。

その方向が
家庭での注目の中心の座を
取り戻す方向にはたらくと、
第二子と競争して勝利するなどして
親の注目をどうにかして得ようと
努力すること
になります。

しかし、
その方向が
家庭でダメなら学校で得れば良し
となると、学校生活において
注目の中心の座を得る努力を
することになります。

しかも、
先の例では、
子は人生に有用でない面、
すなわち問題行動によって
注目の中心を得ようとはせず、
人生に有用な面、すなわち、
他者の役に立つこと
注目の中心を得たわけです。

こんな子は
親の感情のケアを
押し付けられやすくなります。








お読みいただき、
ありがとうございます。

プロコーチ10年目、常楽でした。




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