"紅蓮" "LEECH" "DISTRESS AND COMA"/the GazettE | 夕暮れビジュアル鑑賞会

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 どうもー。なんだかお久しぶりになってしまいました。明日でGWも終わりですね。とはいえやはり友人と遊ぶこともなく、帰省して(車で30分)ゲームするという全く意味のない…。4月下旬に『聖剣伝説3』っていうスーパーファミコンのRPGがリメイクされたので、大好きだったから即買って、ついでに『あつまれ どうぶつの森』も買ったもんだからもう大変…(笑)。時間が吸い取られる!!

 

 そんなこんなで今回はthe GazettEのシングルをまとめて。武道館、横浜アリーナと来て、代々木第一体育館前後~『DIM』収録シングルを。オリコンデイリー1位を取るなどもう既にV系界隈では敵なしの状態でしたね。

 

 

 

01.紅蓮 ★★★

 ルキ原曲。美しいアコギと和を思わせるシンセが印象的、ルキの低音を活かした落ち着いたミディアム曲。麗によるAメロのディレイフレーズ、ギターソロも実に効果的。子を失った母の視点に合わせ、喪失感の強い儚げな音作りがまた一歩進化を感じさせる。わりと周りでも知名度があって好きという人も多いですね。メロディがあっさりしているので然程好みではないんですが、シングルらしい密度の濃いアレンジと盛り上がりは良いですね。

 

02.傀儡絵 ★★★☆

 葵原曲。怪しげでこれまた和な香りが漂うも、イントロではヘヴィネスリフが炸裂しデスボイスも登場。ベースも解放されたようにゴリンゴリンに唸り、葵のトリッキーな音作りも良いアクセント。サビでは意外と爽やかで王道キャッチー、女性コーラスが憂いを絡ます。サビの後これまたメロディアスなCメロ、Dメロが登場、大サビ後には女性コーラスとユニゾンする哀愁メロディ。ラウドかつキャッチーでドラマチックな展開を見せるも、地味かなあ…。

 

03.虚無の終わり 箱詰めの黙示 ★★

 麗原曲、通常版のみ。打ち込みとループする無機質なギターが虚無を感じさせる、ダークなミディアム曲。葵のエフェクティブなトーンが妖しさを、ピアノが儚さを強める。Bメロでは豪快な歪みとスラップでノリ良く、サビではやるせないメロディが支配。全体的にドラムが跳ねていてR&B的要素がありつつ、雰囲気はザ・V系な暗さという絶妙なアレンジ。ただメロディが退屈で惜しい。

 

総評 [お気に入り度★★☆/おすすめ度★★★

 ジェムケリーとのコラボCMの曲であったり歌番組で披露したり、多少世間に浸透したシングル。全て日本語タイトル、歌詞も9割は日本語と和の美しさや暗さが支配する一枚。雰囲気の統一感は見事、反面スルメ感は否めない。その点でそこまで好みではないかな。

 前作のアルバム『STACKED RUBBSH』のツアー中にリリース、ファイナルで全曲映像化されたのもあって、収録アルバムよりも『STACKED~』の印象が強い。よって音作りも引き続きザクっとした質感、ただしクリーントーンを筆頭に繊細な音作りはレベルアップ。特に3曲通して葵のプレイが光る。

 

ベストソング / 傀儡絵

 

 

 

01.LEECH ★★★☆

 ルキ原曲。一音目の音圧からして爆発力満点のニューメタル、リフ中心ながら細かいパッセージが非常にノリ良く聴かせる。デスボイス系は意外と少なく、ラップ調になったりチャラめの女性コーラスが絡みつつ、サビではハーフテンポで大仰なメロディを聴かせる。メロディアスさは無いものの爆走リフがキャッチーで心地よい。歌詞はやはりジェムケリーの失態についてでしょうか。

 富士急ハイランドでの野外ライブで一足早く聴けたのが思い出深い。それ以降もコンスタントに演奏されてますね。

 

 02.DISTORTED DAYTIME ★★

 麗原曲。よりゴリゴリさに振り切ったラップメタル的な楽曲。浮遊感のあるフレーズも随所にありながら、怒りをまき散らすヘヴィリフと歌詞。正直シャウトの弱さと英語の発音が微妙でパワー半減、全編日本語ラップだったら面白かったかも。とは言えラウドすぎるサウンドの割にはノリが良く聴きやすい。

 当時あった秋葉原通り魔事件を一部モチーフにするなど、日々危険と隣り合わせであることを忘れてしまうことへの警鐘でもある。今この時期に聴くとまた思うことも出てきますね。

 

03.HOLE ★★★

 葵原曲、通常版のみ。タイトに音を詰め込んだドラムが印象的で軽快、前曲よりも軽めの音作りながらやはり激しい。どこか機械的なサウンドと小馬鹿にした感のある歌唱、もろに女性関係のトラブルですって歌詞のマッチングが面白い。これもメロディの起伏が然程ないのが惜しいなあ。好きなんですけど聴けば聴くほど旨味の薄い楽曲。

 

 

総評 [お気に入り度★★☆/おすすめ度★★

 『紅蓮』とは真逆の海外ヘヴィネス系バンドを思わす激しい楽曲で纏められている。『STACKED~』からその要素は増え始めたけれど、ツアーを経て密度の濃いヘヴィさへ成長した感じですね。アグレッシブなバンド感は中々、しかしメロディアスさには欠ける。シングルにおいても統一感あるのは面白いんですけどね。

 戒はツーバスを搭載したオリジナルセットへ、『REGRET』から繊細で切れ味重視の機材へ転換していたギター隊は、弦振動を拾うマイク部分をパワー重視タイプに戻し、サウンドの質感がまた変化した。より重厚なパワーを求め始めた時期かな。

 歌詞も直接身に起こった怒りや時事ネタ中心となり、サウンド共々シリアスでハードなものに。割とここで聴くのをやめた友人も多かったな、でも大きな意味を持った変化だったと思います。

 

ベストソング / LEECH

 

 

 

 

01.DISTRESS AND COMA ★★★☆

 ルキ原曲。『LEECH』のハードさを継承しつつ、これまた女性コーラスが絡むシリアスな歌モノ。デジタル要素を取り込みつつ悲し気なストリングス。サビ前のノイジーなギターが素敵。歌モノながらキメが多く、ラスト前のドラマチックな展開と物憂げなメロディが良い。どこかゴシック感ある王道V系に、the GazettE的ラウド感と電子音要素を融合させたクオリティ高い楽曲。

 

02.HEADACHE MAN ★★★☆

 ルキ原曲。スクラッチと激烈ヘヴィリフがSlipknot感もあるラウドコアミクスチャー。デジタリックに刻まれたAメロから、ビートダウンし絶叫シャウトが炸裂するBメロ、能天気に弾けるアッパーなサビの高揚感が気持ちよい。ライブでやったら意外とノリにくかった「Rich Excrement」のリベンジとして制作され、見事スタメン入りを果たし現在もベンチ常駐するくらいの定番曲へ。事実ライブでの圧倒的なノリは凄まじいものがある(ライブレポ参照)。

 

03.WITHOUT A TRACE ★★★

 ルキ原曲。アコギ中心に、美しくメランコリックなメロディを響かせるミディアムバラード。しばらく歌とアコギのみでリズム隊が出てこないのは非常に珍しい。自殺したファンへ向けた鎮魂歌。悲痛なサビメロが美しくギターソロも派手ですが、サビの裏で歌いあげるベースがまた心地よい。ガゼットって儚げで哀愁あるアコギフレーズが地味にいいんですよね。

 

総評 [お気に入り度★★★☆/おすすめ度★★★★

 『紅蓮』と『LEECH』のいいとこどりをしたような一枚かな。V系らしい劇的さを携えたメロディアスな表題曲、アグレッシブながらキャッチーな2曲目、バンドの繊細な表現力を発揮した3曲目と、シリアスさが強いもののクオリティが高い。

 これまでのシングル表題曲ってバラードか、軽快さのあるロックか、ヘヴィ系かって感じだったのが、これまた新要素というか。言ってしまえばコテコテ系なのかな。どれに似てるっていうのは無いけど、90年代V系の雰囲気を纏ってるというか。その分ガゼット楽曲としてはちょっと「DISTRESS~」って浮いた感じもしてるんですが。

 次回作はよりヘヴィでダークなアルバムを予感させるシングルでした。

 

ベストソング / DISTRESS AND COMA