MARS / Gackt | 夕暮れビジュアル鑑賞会

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V系を中心にロック、アイドル等々の、音楽レビュー処

 今回は何となくGacktです。久々にふと聴きたくなったので。今のGacktはまあ好きになれないけど、残した音楽はどれもいいからね。あまりそういう感情無しにレビュー。

 

 

MARS』

01.Ares ★★★

 アカペラ始まりの小曲。Aresはギリシャ神話の神の一人で、ローマ神話でいうところのMARSらしい。終始ファルセットで、日本語歌詞は記載があるものの謎の言語で荘厳に歌い上げる。ミュージカルような美しさがあり、ピアノやアコギも美しい。曲として良い。

 

02.Asrun Dream ★★★

 一転してハードな楽曲へ。エフェクティブなギターと畳み掛けるドラミングが熱い。妖しくさと浮遊感あるメロ、そしてサビで力強く爆発と、THE・Gacktって感じのスピードナンバー。歌の歪み具合もかっこいい。これでもかと色んな音が詰め込まれながら、V系ハードロックとして完成度が高い。

 

03.絵夢~for my dear~ ★★★

 再びテンションが変わり、シンフォニックなシンセが印象的なミディアム曲。アルペジオがちょっとラルクっぽくて好き。淡々としたベース、穏やかなギターが空間を埋めてゆき、サビでは悲壮感を携えつつ力強い熱唱。これもGackt王道。幻想的な間奏からの盛り上がりがまた熱い。

 

04.U+K ★★☆

 ど頭の男の野太い「にゃーにゃー」がキモいポップロック。軽やかで、どこか異国情緒も感じる。サビはしっかりキャッチーながら、どこかフレンチな香り、マリスの名残が見える。シンセも可愛い。「にゃーにゃー」は要らん。前曲もそうですが、亡くなられたマリスのドラマーKamiの事を歌ってるっぽい?

 今は知りませんがライブではど定番。ただ着ぐるみダンサーとか、MCっぽいとこは好きじゃない。純粋に曲だけ聴きたい。

 

05.Vanilla(MARS Ver.) ★★★

 エロティックでファンキーなシングル曲。ベースが小気味良く、腰を動かしたくなるリズム。歌もキャッチーかつグラマラスで良い。ギターも古き良きロックンロールな感じでこれまたいい仕事。

 てか1stシングルの「Mizerable」の直後にこれっていうもすごいね。

 

06.freesia~op.1~ ★★★☆

 アコギとシンセ中心の短いミディアム曲。喪失感漂う演奏とメロディがは、やはりサビで爆発する。1サビで終わるものの、物足りなさは感じない程、ギュッと濃いGacktメロディが詰め込まれた佳曲。

 

07.freesia~op.2~ ★★★

 タイトル通り前曲の雰囲気を引き継いだ、ストリングスメインのインスト。歌詞はあるけど。哀愁のピアノがこれでもかと盛り上げる、歌無しでも満足な1曲。映画のスタッフロール後半みたいなね。

 

08.Illness Illusion ★★★★

 少し前曲のエンディングを引き継いだ、とてつもなく不穏なワルツ曲。始まりのGacktのファルセットが非常に妖しくて良い。中世ヨーロッパを感じさせるノスタルジックなメロディとアコーディオンの音色。決して前に出てくる楽曲ではないけれど、これこそV系だよな!という楽曲。普通にサビとか美しいんだよね。

 

09.Mirror(MARS Ver.) ★★★☆

 シングル曲。ストリングスをメインに置きながら、グルーヴィかつ軽やかなロック。大きく羽ばたくようなサビメロも良い。本作で最も普遍的、地に足着いた感のある楽曲。ドラムが非常にパワフルで良い。アウトロのセッション感も熱い。

 

10.dears ★★★★

 ファンクラブの名称にもなっている、大陸的な香りのする爽やかなロック。これもストリングが非常に美しい。アコギとともに穏やかに始まりつつ熱を増し、サビでこれまた爆発。力強くも重苦しさもなく心地よい。

 DIR EN GREYのShinyaもお気に入りの楽曲で、ライブのゲストドラマーとして演奏していました。

 

11.OASIS ★★☆

 ノイジーなSEから始まるハードでグルーヴィな楽曲。これもドラムが良い。歌詞にもある様に、体を焼き尽くすような灼熱の太陽を思わせるサビがまた飛翔感たっぷりで良い。

 

12.この誰もいない部屋で ★★★

 アコースティック主体の穏やかなミディアムバラード、7分と長いですが非常に美しい楽曲。アコギソロがこれでもかと盛り上げる間奏が熱い。後半はGacktの熱唱とチルドレンコーラスで〆、ベタだけど良い。

 

総評 [お気に入り度★★★/おすすめ度★★★☆

 Gacktソロになってから初めてのフルアルバム。とにもかくにも、V系としてのクオリティが非常に高い。MALICE MIZERの中性ヨーロッパの感じもありつつ、ハードロックに寄り、ガチのスタジオミュージシャン達がこれでもかと華やかに盛り上げる。共同制作者のChachamaru氏の力も大きいのでしょう。バンド形態が好きだしフレーズ云々は然程好みではないのだけど、ボーカル含め並のバンドでは太刀打ちできない圧倒的な世界観。アートワークも素晴らしいしね。

 

 飛び抜けて好きな楽曲こそないし、浮いた曲もあるけど、バラエティに富みつつ統一感もある、やはりプロの仕事というか。久しぶりに聴いてもやはり良いなと。ここから4thアルバムまではね~、こんな感じで良かったんですけど…。しまった本音が。

 

ベストソング / Illness Illusion