取材先の広報さんとソバを食べながら、昨日のサッポロビールと
スティールの話で盛り上がった。
いやー、すごいよね。何が起こってもおかしくない世の中だよねえ
と業界が違うからか完全に傍観的な立場で話をしてた彼は、ふっとまじめな
顔つきになり
でも、うちだって危ないよ。仮にうちの時価総額の半額の●円で買収したとしても、
グループ会社の株を全部売れば今の市場価格でも●円になるでしょ。
買収資金を回収してもお釣りがくるじゃん。
とつぶやいた。
確かに理論上では、たいして腹を痛めずに、がっさがっさと企業を
買収して切り売りする方法がたくさん編み出されている気がする。
しかし、今回のケースにしろ、ファンドなどが会社を買収しようとする
イニシアチブって一体どこにあるんだろう、と考えてしまう。
企業買収とかM&Aのテクニカル面にはちょっと弱い私なんですが
企業統合とか再編をした結果、1+1が2になるどころか
1・5になってしまったケースならたくさん知ってる。
というか、いやになるほど見てきた。
事業をよく知っているはずの経営陣が一応協議してやった
ケースが多いわけですよ。ただ、それでもうまくいかない
のは、社風や人的な問題などの日本企業ならではのウェットな部分が
根っこにあってうまくいかないケースとか、
統合作業で実際に両社の企業の内情を照らし合わせて初めて、あまり
適当な組み合わせではなかったと気づくケースとか、さまざまである。
会社を投資の対称としか見ていない外部のファンドとかが勝手に絵を
書いた再編劇自体、実際の事業合理性に照らして妥当なものかは
はなはだ疑わしいと思う。
本気でそれで株価や企業価値が上がると認識しているわけでも
なかろう。大きなアクションを起こして、株価の上昇局面で売り抜けるんだから。
村上ファンド対策の阪神と阪急の統合しかり。
日清と明星しかり。
今後どんな「統合シナジー効果」とやらが
出てくるのか。注目したいと思います。
経営に不都合なことが出てくるとMBOに走る
(としか見えない)ケースが散見されるように
なったのは、憂うべきことなんだと思うけど
訳のわからない特定株主に好き勝手かき回される
位なら非公開でいいや、という気持ちはわからないでもない。
老舗で強大なブランドを持っている某企業で
時価総額の安さから買収懸念がささやかれている会社のある担当者は
「当社の株主は、20年来の当社のお客様でもある個人株主が
ほとんどで、長い間売買の履歴がなく、
ほぼ「固定株主」化している。短期的な
リターン目当てにファンドに株を売る人はほとんどいない」
と言っていました。いざコトが起こった時、ファンドが提示する
高いプレミアムを拒絶してでも売却を拒否する株主ばっかり
だったらそれは最強だと思うんですが、
そういうことってありうるんですかね??
業界をカンサツしながら仕事をしている一外部者の
立場で申しますと、市場原理も結構だけど
会社にとってためになる提案しないと
結局その会社をだめにしちゃうことにならね?
というのが正直な感想です。
個人的にはエビスビール大好きなので
アサヒなりサントリーなりとくっつくにしても
あのブランドや味は守ってほしいなあー。