ビデオジャーナリズム講座は毎週1回、
夜に確か二時間のコマで開催されていました。
会場となったのは、都内某所にある
あの有名な夜のニュース番組の制作会社として
有名な某社本社・・・の脇にある、
築40年は経っておろうかという一間のボロ長屋。
この講座が「映画業界志望者」のスキルアップに
役立つはず。と決め付けてやってきた私は
大手プロダクションの機材などを存分に使わせて
もらいながら、みっちり撮影技術などを教えこんで
いただけるものかと思っていたので
毎回毎回
「いつスタジオに案内してもらえるんだろう?」
とワクワクしている間に、授業が終わる。
あれーーーーーーーー???
(°Д°;≡°Д°;)
といった日々が続いていました。
実はこの会社がこうした講座を立ち上げたのは
それなりの訳がありました。
当時、東京に新U局「MXテレビ」が開局したばかりの
タイミングだったのですが、ここで
「記者が一人で取材をし、カメラで撮影をし、編集まで
自分でやって番組を作る」という
新たな手法でニュース映像の制作を始めていました。
カメラの技術はかなり進化してきていて、家庭用のビデオカメラでも
プロ用のベイカムに勝るとも劣らないクオリティのものが撮れるようになってる。
ここで、素人でもコンテンツ力を持つヒト(ビジネスマンとか、一人で潜入してニュースを
取ってこられるヒトをターゲットにしていたようです)に
最低限のジャーナリズムのイロハや撮影方法、編集技術などを
教えれば、MXでやっているような手法で一人でも番組が作れる。
CS放送を含めチャンネルが圧倒的も増える将来、
おそらく不足するであろうニュースコンテンツの
作り手を増やそう、という画期的な試みだった、ようなのですが
やはり、ボロ屋で座学で講義を
1週間にたった二時間程度聞くだけでは、
当然そういったじゃーなりずむの真髄やらスキルやら
が身に付くはずもなく
さらに私が求めていた「映像制作技術」が身に付くはずもなく。。
一応、毎週課題映像を撮って行って、最後に品評会を
するという形式だったように記憶しておりますが
回を重ねるたびに受講者がどんどん減っていき( ̄ー ̄;
私は最終回まで頑張ったんですが、確か最初に二十人近くいた
同期は3人に減っており・・。
ただ、現在活躍しているビデオジャーナリストの
取材にまつわる体験談や、
テレビでもよく見る元大手週刊誌編集者の
薀蓄ある話、
大手プロダクション幹部によるテレビ番組作りの醍醐味など
かなり盛りだくさんの話を聞くうちに、
まーーったく縁のなかった「マスコミ」とか「記者」という
仕事にちょっと関心が出てきたのは事実でして。
卒業制作を作るため、当時パイプがあったフィリピンで
有名なスラム街が行政によって
強制移転させられた話を取材に行ったのですが
住民は6畳一間に10数人が詰め込まれる
あまりに劣悪な住居環境に置かれていた、とか
数年前はまさに一大コロニーだったそのスラム街が、
爆弾でも落ちたかのように広大な更地になっていて
工事現場には取ってつけたような
「●●●大統領ありがとう」の垂れ幕が
白々しくかかっていた、とか
何これ。ヘンだよね!
といういろんな感想を持ちながら、
それまではあまり関心が持てなかった
ヨノナカの事象を自分の目で見て、
記録し、それを人に伝えるために加工する。
という一連の作業に喜びを覚えるようになりました。
・・・・ただ、この一大卒業制作については
当時最新鋭のマックを使った編集システムに
私自身が着いていけず
講座の最高責任者にあたるプロダクションの幹部
数名を前にした発表会の席で
映像に全く音が入っていない。
と始めて気づくという香ばしい大チョンボを放ったため
「あーー、アタシテレビ向いてないわー・・。」
と実感しただけに終わったのでした。
21歳の冬のことでした。。。