小説 火の鳥 大地編(6)四章「東京」(後編)  作:桜庭一樹 51~61話 | 私の備忘録(映画・TV・小説等のレビュー)

私の備忘録(映画・TV・小説等のレビュー)

日々接した情報の保管場所として・・・・基本ネタバレです(陳謝)

小説 火の鳥  作 :桜庭 一樹 画:黒田 征太郎
             原作:手塚 治虫

レビュー一覧

                             終章 超あらすじ

 

感想
延々と続いた要造の告白の終盤。
関東大震災の時、記憶喪失になって22年後。

記憶を取り戻した要造が戻ろうとしたのは、七年前に亡くなったという妻の夕顔に一目会うため。
この辺りは、ツッコミどころ満載の本作の中ではヒューマンな一面であり、要造が悪い奴だとも言い切れない弁護要素となっている。
そこから先は、マリアの記憶との整合を取りつつ緑郎を加え、東條英機も加え2.26事件を巻き戻しで書き換えた。
しかし次に加わった洲桐太という人物。ネットで調べても出て来ない(まあいいけど)。
こいつが、山本五十六と石原莞爾を殺してしまうという相当なワル(証拠はないが)。 

ようやく要造の告白が終わり、ドラマが先に進み始める。

いやホント長かった、この10ケ月。
ただ、緑郎と麗奈が互いのどちらかを殺すという伯母朝顔の占いは六年後。この話がキーポイントになって行くのか?。

それに、太平洋戦争には山本五十六の存在は欠かせないが、この世界では大戦前に死んでいる。。
いずれ時間巻き戻しで復活させるんだろうな・・・・


時間巻き戻し虎の巻(途中から。前回はこちら))
1923/9/1 関東大震災で記憶喪失                                      
                                               JUMP前       JUMP後
世界  首提供     鳥人形  操作者   の年代       の年代      小説
11    犬山虎治     8号     要造     1938/夏       1931/夏      [51]   
12      緑郎1        9号    東條   1935/2/26   1935/2/24    [55] 
13      緑郎2        9号      東條    1937/7/末   1937/7/後半 [57]   
14      緑郎3        9号     洲       1937/11/末   1937/9       [58]
15    緑郎4


あらすじ
四章「東京」(後編) 51~61話
 

[51] 「妻こそが人間そのものだった」 2020/4/25
目の前にはお爺ちゃんになったタモっちゃん。

もう七年も前にお夕ちゃんは・・・
次々に蘇える記憶の中で、火の鳥の力は七年前まで時を巻き戻せる事も思い出す。
上海支店に指示して「エレキテル太郎八号」を製作させ、戻って早々に鳥の首を探し出す要造。
そして硝子、麗奈や召使いの前で機械にまたがった。
「フェ、フェニックス」と言いかけた時、我が名は鳳凰機関・・・との言葉が口をつく。
それどころじゃない。そして「フ、フライーっ!」

その7 赤い夕日の満州国
要造が、十二回目の世界として目覚めたのは南満州鉄道の車内。

鞄の中にあった新聞の日付は一九三一年の夏。

夕顔危篤の報を受けて戻ろうとしている時だった。
帰路を急ぎ、ようやく家に着いて寝室に駆け付けた。
「よかった・・・きっと元のあんたに戻ってくれると思ってた・・」と微笑む夕顔。
「お夕ちゃん、ただいま。ずいぶん待たせたね・・・」
そして夕顔は息を引き取る。


日差しの強まるタクラマカン砂漠。
マリアが、十一回目の世界から二十二年ぶりに時が巻き戻った理由を理解した。
間久部兄弟も苦労した・・・と言う猿田博士の言葉に「フン!」と横を向く緑郎。正人も黙っている。

地下室に籠り、誰とも会わなくなった要造。

妻こそが人間そのものだった。
時を巻き戻そうにも、再び病で苦しませるのは耐えがたい。
麗奈は要造の目を怖がり、記憶喪失の時の方がマシだったと言った。
山本五十六から連日電話がかかったが、一度も出なかった。

時が七年も巻き戻って仰天しているのだろう。

時は巡り、九月後半になって家族の会話に「事変」とか「関東軍」とかの言葉が飛び交う。
翌春、地下室に籠りきりの要造を訪れた石原莞爾。
「満州事変に成功したぞ! アーハハハ!」

途中感想
アーハハハ というのは保、緑郎のアイデンティティだった筈。

石原莞爾にまでそれを使うのが、なんか安売りっぽくて嫌い。

[52] 「もはや自分自身だけが国家だ」 2020/5/2
突然時が七年前に巻き戻り、満州事変の決行を三日早めて成功させた。十二回目の世界では、石原は失脚せず国内は盛り上がった。

満州に押し寄せる開拓団。
石原に数日遅れてやって来た山本五十六も、再び火の鳥の力が必要になる、と地下室に「鳳凰機関」の看板を掲げ、未来について熱く語った。新エネルギーなどの各種研究機関導入も考えられていた。

地下室を出て、事業家として復活した要造。収益を関東軍に回した。
上海マフィアとも繋がりを持ち、青幇(チンパン)のボス黄金栄と組んで闇流通にも手を出した。

その連絡に使った美貌の少年富祭(フーファ)・・・
やがて共同租界の中でも恐れられる存在となった要造。

こうして第二次鳳凰機関としての活動が始まった。

当面は要造、石原、山本の三名。
山本は「エレキテル太郎九号」の製作を開始。

石原は火の鳥調査隊の隊長探し。
その頃、猿田という生物学博士が兵器の開発機関を作るために満州国に渡って来た。
博士は大滝雪之丞との知己で火の鳥の事を聞いており、この研究を関東軍に持ちかけていた。
それを利用して「火の鳥調査隊」を計画する石原。

その調査隊メンバーの中に「間久部緑郎少尉」の名を見つけて驚く要造。だが石原自身は、母親が危険思想の持ち主との事で彼を排除している。瓦礫の中で母親の頭を抱く緑郎を思い出す要造。
大声で「この少尉を火の鳥調査隊の隊長としたい!」

途中感想
次第に現在へ近づいて来たが、まだあと3回巻き戻しがある・・・・
五号を使って巻き戻る時、夕顔にその後の作業を頼んだ辺りから「巻き戻しが有効なのは装置周囲だけ」というルールが崩れている。
今回、石原と山本も装置から離れていたにも関わらず七年前の記憶を保持している。
ルールが変わる事は否定しないが、ここまでゴチャゴチャしたタイムループを扱う以上、その回ごとのノリだけで記憶を保持したり、消滅させたりというのではイラつく。
 
[53] 「小型飛行機に、新エネルギー爆弾…」 2020/5/16
三田村家で勃発した事件。長女の汐風が道頓堀鬼瓦の息子 凍(こおり)とハルピンに駆け落ち。
土下座する鬼瓦。好き合っているものはどうしようもなく、許す親たち。
この時期に、石原が話していた猿田博士が面会に来る。新エネルギー「中性子」による最終兵器の可能性を語った。だが関東軍に細菌兵器研究のための資金援助を行っており、要造は本件を先送りした。
四代目火の鳥調査隊の隊長として、間久部緑郎少尉が要造を訪れた。麗奈がそれを盗み見て見とれる。
石原がファイアー・バード計画の骨子を説明する。
愛する者を亡くしたという、心の底を共有して緑郎を見る要造。

虚無は同じ虚無を愛する。

緑郎率いる四代目火の鳥調査隊が出発し、第二次鳳凰機関の三名は地下室に集まる。
完成した小型戦闘機型の「エレキテル太郎九号」をうっとり眺める山本五十六。山本の飛行機開発に期待する石原莞爾。

新エネルギー爆弾の話もする要造。
こうして満州国が出来た1932年。

日本国内はクーデターやテロで不穏な空気。
この一月に雪崩が拳銃を持った男に狙われ、秘書が身代わりで死んだ。
財閥と癒着した政治家、官僚を責める若者が増えていた。


[54] 「鳳凰が砂漠より降り立つ」 2020/5/23
やがて政治団体「血盟団」と青年将校が結託してテロを起こし、その後二月、三月、五月と要人たちを襲った(血盟団事件5.15事件)。
このクーデターは空振りに終わったが、若者の不満は高まった。


三田村財閥では、長男の硝子が非常事態を収め、次いで劇場、ホテル建設等で市民に貢献した。
1933年。国際連盟の臨時総会で満州国建設が否決され、日本は国際連盟を脱退。「皇国日本」の機運が高まる国内。

陸軍内での派閥争いが聞かれる1935年の夏。

長男の硝子と酒を交わす要造。
「統制派」と「皇道派」の争いを肴に談笑する中で、満州国に新しい憲兵隊司令官が赴任したとの話題。

翌週その本人 東條英機少尉がホテルに現れる。ロイド眼鏡に口髭。
硝子との会食の場に誘うと、唐辛子の本格料理を注文し、食べ切ってしまった。内地の者にはとても食べられない代物。
早々に憲兵の意識改革に取り組む東條。共産主義者の弾圧。

翌1935年2月25日。朝帰りの麗奈が、石原莞爾からの電話があった事を要造に報告。
緑郎は無事。ただし背中にケガ。-鳳凰が砂漠より降り立つ-

[55] 「帝都東京に戒厳令の発動だ!」 2020/5/30
-灼熱のタクラマカン砂漠。
十二回目の世界ですね、とかつて緑郎を介抱した後騙されて首を奪われた事を話すマリア。
記憶がない緑郎。再び話し出す要造。

虹口の料亭に集まる石原、山本、要造の三人。

緑郎が持ち帰った首を見る。
我ら「第二鳳凰機関」は最大七年の、時を巻き戻す力を得て、どう使うか?
その相談をしている時、突然障子が開き、東條英機少将が現れた。クーデターの密談かと疑われる。
余興の相撲だよ、と言って山本が、猫だましで東條を投げ飛ばした。
奇襲は兵法の伝統、との混ぜっ返しに納得して去る東條。

場所が悪い、と三田村家で続きをやる事としたが、パーティーに川島芳子が来ていた。麗奈の友人だが十一回目の世界では女スパイとして獄中死していた。地下室での密談を続ける三人。

明け方、胸騒ぎがして地下室に行くと、そこには東條英機。

芳子のスパイで全て知られていた。
そこへ山本が駆け込んで来た。
本日、陸軍将校たちがクーデターを起こしたという。戒厳令の発動。

東條が慌てて書類を読み始める。
岡田首相はじめ政府要人五名殺害。だが反乱軍も多数死傷。仲立ちをしていた山下奉文少将も犠牲となった。

内戦状態となった帝都東京。

三田村家の地下室。こんな時こそ時間を巻き戻してやり直したらどうか、と東條。そして目盛りまで触り出した。

「・・・二日前なら・・・午前一時・・・」
レバーに手を掛けるのを止める山本。

だがその瞬間猫だましを食わせる東條。
笑ってレバーを引く東條。

[56]「冷たい雪の降る帝都で」 2020/6/6
要造が戻った十三回目の世界。広間に入って来た硝子に今日の日付と時刻を聞くと、二月二四日の夕方五時。
山本五十六からの連絡では、石原莞爾と共に東京へ向かった。
東條英機は、満州国での混乱を予想して新京に向かったという。

運命の二月二十六日。人的被害は前回よりも少なく、内戦は阻止された。山下奉文少将も無事。
この二・二六事件の後、皇道派は一掃され、統制派の東條英機はごぼう抜きの出世。政府はテロを恐れ、軍部の傀儡と化した。

その後集まった「第二次鳳凰機関」。

なし崩し的に東條英機が加わって四人となった。
巻き戻しには全員の承認を必要とするために、鳥人形のレバーに錠を取付け、その鍵四本を各自が持った。
間久部緑郎を隊長とする第四次火の鳥調査隊が、再び派遣された。東條の推薦で川島芳子が同行したが、一つ前の世界でのスパイ行為で、火の鳥の秘密を知っており、清王朝復興の野心があった。
緑郎の危機に、川島討伐隊を派遣したが、1937年夏に緑郎は無事鳥の首を持ち帰った。川島芳子は死んだという。

タクラマカン砂漠。話を聞いていさかいを始める緑郎と川島芳子。

だが互いに記憶がない。
そこで間久部正人がルイに、君の名字も富祭(フーファ)だよね?と問う。要造の話した青幇(チンパン)との連絡役([52]参照)。

強く否定するルイ。それを見て要造も似ている、と首をかしげ、マリアも疑わしい、と猿田博士にささやく。
再び話に耳を傾ける一同。

[57]「北京郊外の盧溝橋の近くで」 2020/6/13
四人となった「第二次鳳凰機関」の足並みは揃わない。
東條は兵站としての満州国推進。石原は日米開戦に備えんと満州国に期待。山本は国力の違いから、米国との戦いには絶対反対・・・
その中にあって要造は、財閥商売を発展させての蓄財。

ある夜、麻雀卓を囲む鳳凰機関の四名。東條の紹介で洲桐太(しまきりた)が挨拶する。商工省からの出向者。ドイツ型の産業立国を推奨する。アメリカと戦うためには植民地活用が肝だと力説。

だが満州国には石油がなく、南方への進攻が必要。
いすれにしろ、どこと戦争するにも短期決戦が必須、と山本が言う。

つまらん話だ、と石原。
メンバー増員の提案が出て、東條が洲桐太を推薦。

石原は警務司長の甘粕雅彦を推薦。

日中の関係は悪く、一触即発の状況。

戦争を見越して武器製造ラインを増やす要造。
そんな頃に始まった支那事変。

北京を制した日本軍だったが、天津で敗退。

戦局を立て直すために「時間巻き戻し」を叫ぶ東條。

巻き戻しには賛成だが、開戦を止めたい石原。
その二人が鍵を開け「エレキテル太郎九号」を始動させた。

車内で十四回目の世界を迎えた要造。外は新京の大通りらしい。
運転手に、今の年月日を聞く要造。

[58]「上海はまさに戦場だった」 2020/6/20
1937年の7月後半と聞いて驚いた。支那事変が始まっている!
激怒する石原。東條が日付けを変えていた。

その場にいた武藤章作戦課長が、いきさつを知らないながらも、アジア統一と満州事変は矛盾しない、と石原に進言。
十四回目の世界では天津を制圧。

だが中国国民党の抵抗で日本軍は苦戦。
三田村財閥は戦争の長期化で利益拡大。


第二次鳳凰機関は、次の火の鳥調査隊派遣のため、間久部緑郎少佐を呼び出した。夕顔の遺影を前に、緑郎の母親は立派だったと語る要造。緑郎も涙する。
火の鳥調査隊は出発し、弟の正人も大陸に詳しいためガイドとして同行。
日本軍と中国軍との戦いは一進一退だったが、十一月末、上海戦は日本軍の敗退に終わった。
三田村家も、鋼鉄鳥人形と共に上海を脱出した。満州国統治の権利喪失も間近。今の四人に加えて洲桐太も仲間に入れた、と東條が事後報告。戦争をやり直す!と息巻く東條。
要造は山本から、緑郎が持ち帰った火の鳥の首を受け取った。それを受け取り、鋼鉄鳥人形に収める。

だが弟の正人が死んだと聞いて青ざめる要造。
東條が、鋼鉄鳥人形の目盛を触っている。それを警戒する石原だが、東條に指示されて洲がレバーに手をかける。

自宅で鳥カゴの前に立つ要造。十五回目の世界にやって来た。

硝子に日付を聞くと1937年の9月。
洲は冷静に、時が巻き戻った事を受け入れ、鳳凰機関は五名となった。要造は麗奈を呼び、見合い結婚を・・・

[59]「内地から意外な客が」 2020/6/27
結婚の相手は間久部緑郎。祖母の雪崩は涙を流して賛成。緑郎も麗奈も同意で、トントン拍子で話は進む。
そのため、今回の火の鳥調査隊には別の隊長を立てて出発させた。

十一月の婚礼前日。その中で唯一結婚に反対したのは麗奈の姉 汐風。五年前、駆け落ちして以来の再会。この結婚が、日本が中国でやっている事と同じだという。全て自分の都合。
汐風を殴り付ける要造。翌日行われた披露宴。
その後汐風への仕送りを止めた要造。

汐風と、その夫の仕事も奪った。
この月、日本軍は上海での市街戦を辛くも制した。国民党政府打倒に、更に西進する日本軍。
妹の墓参りのため訪ねて来た、亡き妻の双子の姉 朝顔。

夕顔そっくりだが、ケガをした右頬を髪で隠して、ゾッとする色気。
租界で占いをして、小遣い稼ぎをしたという朝顔を見かけて麗奈が驚く。父を別室に呼び、遊びに出た帰り、あの人に占ってもらったら、夫婦は六年後、互いがどちらかを殺すと言われたという。
六年後・・・1943年か、と言ったが取り合わない要造。
翌朝、朝顔は帰って行った。
この翌月・・・山本五十六が殺された。

[60]「パーンと乾いた銃声が響いた」 2020/7/4
十二月。南京城を取り囲んで落とした日本軍。

その快挙に日本国内は沸いた。
進軍の成果に興奮する東條だが、それを制する石原は、無茶な進軍は命取りだと言った。

それを聞いて洲は「邪魔ですなぁ、石原さんは」と呟く。
激論の末に解散するメンバー。その時パーンと乾いた銃声が響く。

山本の体がくるくると舞い、倒れた。
山本の顔を覗き込む要造だが、既に絶命。

日本海海戦の時、彼に命を救われた事を思い出す。
時を戻せば山本を生き返らせる事は出来る。

だが田辺保や父の時のように、生き返っても記憶はなくなる。
人間とは記憶だ・・・

数日後、この十五回目の世界で派遣した火の鳥調査隊が、タクラマカン砂漠に着かず全滅したとの報が入った。
次の調査隊の隊長は十二、十三、十四回目の世界で首を持ち帰った緑郎が適任、と鳳凰機関メンバーの判断。
実務は、過去の記憶がないながらも十、十一回目の世界で首を持ち帰った犬山虎治元帥が当たった。
1938年1月。日本政府は、国民政府との戦闘続行を決定。

鳳凰機関の地下室で石原、東條、洲が集まっていたところへ川島芳子が迷い込む出来事があった。
その時、石原のマントが新調されているのに気付く要造。あの日、山本にマントを貸したのだという。
ひょっとして狙われたのは石原・・・?
五日後、緑郎率いる火の鳥調査隊が出発した。

[61]「ロマンの火は完全に消えた」 2020/7/11
火の鳥調査隊が出発した翌朝、犬山元帥からの電話。

調査隊に、楼蘭の笛吹きマリアが紛れ込んでいたという。
一回目の世界で探検隊の大滝雪之丞が、火の鳥を守っていたマリアさんを殺した、と言っていたのを思い出す要造。
日本軍のビルに駆け付けた要造に写真を見せる犬山虎治元帥。

二十二年前、楼蘭王国でこのマリアが笛を吹いていた。その時から姿がまるで変っていない。
緑郎の身に危険が迫っているとの危惧。
その時騒ぎが起こり、飛んで行った犬山が声を上げた。石原が机の突っ伏している。カッと目を見開き、既に冷たくなっていた。
駆け付けた者の中に洲桐太もいた。置かれた酒のグラスを嗅いで、毒による自殺だと断定。
正しいとばかりは言えなかったが、要造を支えてくれていた山本五十六、石原莞爾を失って意気消沈する要造。
だが緑郎くんがいる・・・ 未来、ロマンはまだある。
緑郎を助けに、タクラマカン砂漠へ行こうと思い立つ要造。
地下室に走り、山本の作った「エレキテル太郎九号」の主要部分を破壊する要造。そして設計図を描き直して懐に入れた。
火の鳥調査隊に・・・・・追い・・・ついて・・緑郎くんに・・・