小説 火の鳥 大地編 一 ~ 三章 超あらすじ① 作:桜庭一樹 | 私の備忘録(映画・TV・小説等のレビュー)

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日々接した情報の保管場所として・・・・基本ネタバレです(陳謝)

手塚治虫が2ページの構想だけ残した「火の鳥 大地編」
それを引き継ぎ桜庭一樹が、小説の形で昨年4月から朝日新聞土曜版「be」に連載している。
話は三章まで進み今は四章が綴られているが、これが 長ーい  。

延々半年以上続いているため途中でアップしようと思うが、冗長すぎて過去を忘れかけている。
一章 二章 三章 の各あらすじを超あらすじにまとめた上で、次回に四章を途中までアップする。

感想

不老不死の、伝説の「火の鳥」のホルモンの秘密を解明するための「ファイアー・バード計画」
その探検隊のリーダ緑郎と、同行メンバーが織りなすハラドキの展開で二章までは楽しく読めたが、挙動不審で掴まったマリアの告白になった三章で、話の展開がストップ。
経緯は判ったが、何度も繰り返される話にイラ付く(四章でもっとイラ付く事になるが・・・)

 

小説 火の鳥 大地編 一 ~ 三章超あらすじ①   作 桜庭 一樹 画:黒田 征太郎  原作:手塚 治虫
 

プロローグ 1938年10月
タクラマカン砂漠を、息も絶え絶えに歩く五十がらみの男、猿田博士。
 「急がねばならん・・・・奴らにあの魔法を使わせないために」
 「逃げろっ、世界!」


一章 上海 [1] 2019/4/6 ~ [8] 6/1
その1 関東軍ファイアー・バード計画
1938年1月。上海の外灘(バンド)が舞台。
関東軍の司令部付き副官 間久部緑郎(まくべろくろう)は、三田村財閥の末娘 麗奈を妻に持つ。
緑郎の義父 三田村要造に呼び出された大学の恩師猿田博士と再会する緑郎。
中国タクラマカン砂漠の、ロプノール湖周辺の植物から未知のホルモンを見つけた猿田博士。
大本営の犬山元帥が、そのホルモンを皇軍の士気高揚に使う「ファイアー・バード計画」を明かす。スポンサーは三田村要造。

計画遂行を任命される緑郎。

先の計画を盗み聞きして捕まる正人。同行のルイは正人が逃がした。
正人は緑郎の弟だが、生き別れて15年。

この国に詳しい正人をガイドとして雇う緑郎。
麗奈に近づく女、マリア。

その2 西太后のため息
自身が属する八路軍のアジトに戻った正人。逃げていたルイとの再会。
ファイアー・バード計画の詳細を同志に話す正人。

ルイもスパイとして同行せよとの指令。
ルイは歓楽施設「大世界」のダンサー。
 

「大世界」の一角でダンスホール「東興楼」を経営する川島芳子こと愛新覺羅顯㺭(あいしんかくら けんし)
青幇(チンパン)のゴッドファーザーと言われる中国老人 黄金栄(ワンジンヨン)の恩義を受けており、日本軍の女スパイもやっている。
芳子をお姉ちゃまと慕う麗奈が、楽団員のマリアを紹介する。
「大世界」でルイに指令を出す黄金栄。未知のホルモンの入手。

芳子も含めて彼の手下。

タクラマカン砂漠の絵を見て懐しさにウィグル語を話すマリアに驚く芳子。
正人を訪れるルイ。

眠っている正人に「スキだけど裏切るの・・・それがボクの愛し方」

その3 秘密結社(鳳凰機関)
三田村家でロプノール湖への旅程を聞かされる緑郎。
一方芳子も呼ばれてここに来ていた。
麗奈に止められていた地下室に忍び込む芳子。
「鳳凰機関」とある部屋の奥に、麗奈の母親と昨年上海で客死した山本五十六元帥の遺影。
関東軍参謀関係者の密談を聞き、逃げ出した芳子だが掴まり、緑郎の居る部屋に連れて行かれた。
芳子が今回のガイドだと言われ、旅程が知らされる。
1、上海から南京の鉄道。2、南京から重慶の航路。3、重慶からイルムチの山岳地帯。4、ウルムチから南へはウィグル族商人との交渉が必須。マリアを思い出す芳子。

その4 スパイたちの輪舞曲(ロンド)
五日後、日本陸軍司令部に集められたメンバー。緑郎、正人、ルイ、マリア、芳子。
武器が扱えるかと聞く緑郎にルイは刀の舞い、マリアは武闘笛、芳子は自前のピストル。
銃を渡される正人。記録のための記念写真撮影。


翌日、出発した火の鳥調査隊の報告を聞く犬山元帥は、メンバーの写真を見て驚く。
「楼蘭の笛吹きマリアか!よりによって」




二章 タクラマカン 一九三八年一月  

                                                          [9] 6/7 ~ [16] 7/27 
その1 大地が燃えている
上海からの蒸気機関車に乗る一行。

個室に侵入した火夫が、芳子の切符を奪って屋根に逃れた。
次いで追いかける緑郎、正人たち。

屋根上での争いの末、切符を取り返し男は殺された。
死んだ火夫の代わりに石炭をくべるルイと芳子。

自らの出自を満州国だと言うルイ。

その2 揚子江を上れ!
汽車で到着した南京から徒歩で南京港に向かった一行。
古いジャンク船に乗って揚子江を川上に進む。
中国国民党と日本軍との激戦区。水雷で船は沈没し、辛くも逃れた一行は、別の船で何とか重慶まで辿り着く。
港で八路軍兵士と情報交換するルイ。

一行は小舟で更に上流を目指す。

成都に到着した一行は民宿に落ち着く。次いで芳子が旧ロシア商人から小型機をチャーター。ウルムチまでは空路。

その3 プロメテウスの火
翌日飛行場で、政治犯とおぼしき男が処刑されようとしていた。

「間久部くんじゃないか!」の声はあの猿田博士。

飛行機に乗って脱出しようとした緑郎に対し、猿田博士を助けに行った正人。助太刀に行く芳子とルイ。
今すぐ飛び立てと言う緑郎に「簡単に見捨てる」と過去を知っている様なそぶりのマリア。うろたえる緑郎。
正人、芳子、ルイの連携で猿田博士を救い出し、マリアも加勢して脱出する飛行機。
本来は未知のホルモンの解析が役目だったが、調査隊に同行したくて追って来たと言う猿田博士。
新エネルギー開発が進む中、火の鳥のホルモンが最終兵器として利用出来るかも・・・
火の鳥こそプロメテウスの火じゃ!と猿田博士。
緑郎は戦意高揚、猿田博士は兵器開発。

だがどちらも真実と違う、と呟くマリア。
やがて飛行機はウィグル北のハミ(クムル市)に到着。

同時期に着陸した小型機の中の老人に、会った事を秘密にせよと脅される芳子。後であんな大物が、と首をかしげる芳子。

その4 死の砂漠
ウルムチに到着して飛行機の旅は終わった。
ウイグル語が出来るマリアの交渉で食料と宿を調達。マリアの言葉が古い時代のものなので、店の男に笑られる。
翌日一行はラクダに乗って出発。過酷な気温上昇。
40キロほど進んでの野営。
夜、マリアを美しいと讃える猿田博士は、恋に破れて研究に没頭した結果、未知のホルモンを発見した。
マリアも身の上話をする。


過酷な旅が何日か続き、ようやくロプノールと思われる大きな湖に到着。
だが期待した植物、動物など見当たらない。
通りかかった現地の男から話を聞き出したマリア。
この湖は河の影響で、数年ごとに場所が変わる。

今まで湖には不思議な力があったが、昨年急にその力がなくなったという。湖畔にあった「年を取らない都」も廃墟になった・・・

聞き返す緑郎に、淡々と通訳を続けるマリア。
湖畔にあった楼蘭という国。民は何百年も年を取らなかった。

だが緑郎が聞いていた楼蘭は16世紀に滅びている。
マリアの顔を見た現地の男が驚くのを、そのまま追い払うマリア。
食事の準備をするマリアだが、毒を入れようとする素振りをルイが見つけ、騒ぎになる。
ルイとマリアの戦いが始まり、それを知った緑郎がマリアの肩を撃って捕える。
緑郎の拷問を受けるマリアを見かねて、自白剤を提案する猿田博士。
注射を打たれて話を始めるマリア。
「私はマリア。楼蘭の王ザムヤードの長女・・・」

三章 楼蘭 [17] 8/3 ~ [23] 9/20
その1 ゾロアスターの神の鳥
楼蘭王の娘マリアの婚礼前夜に王国が滅ぼされ、それを不憫に思った火の鳥が、もう一度マリアが婚礼前夜を過ごせるよう、自らの首を刎ねさせた。
約束により、刎ねた首を火に投じて魔法が解けたが、再びその首を刎ね婚礼前夜を延々繰り返す事になったマリア。
その間マリアは年を取らなかった。
 

ある日、見慣れぬ男が神殿から鳥の首を奪って逃げた。

追うマリアだが、男と共に出た後ろで王国が消え去った。
この時が1904年。楼蘭での繰り返しは400年に及んでいた。
それから年を経て10年経ったマリアは28歳に。
その数年後、突然突風を受けて気を失い、目覚めた時には18歳で婚礼前日の楼蘭王国にいたマリア。

王国を守るために警戒するマリアだが、再び男に鳥の首を奪われ、背後で楼蘭は消滅した。
楼蘭の外の世界は1915年。前の世界で殺されたと聞いた、ロシアの指導者レーニンが生きているとの話を聞くマリア。
男を追って3年間中国東北部をさまよったが、再び突風を受けて気を失うマリア。

また婚礼前日の楼蘭王国。再び訪れた男は犬山だと名乗った。

なぜ何回も来るのかと聞いても話が合わない。上官の命令だと言う。
逃げる男を追うマリアの後ろで再び崩れる楼蘭。

三回目の世界は1916年であり、世界大戦の最中。

レーニンとスターリンがソビエト連邦を樹立。
この世界で生きる覚悟を決めて結婚したマリア。三男三女を儲けて22年を過ごし40歳となった。そんな1938年、突風に襲われるマリア。
再び楼蘭で18歳に戻ったマリアは、家族を求めて楼蘭を飛び出す。

長春を目指すマリア。そこで1916年から1938年まで暮らした筈。
今の年代は1931年。夫は別の家庭で妻子と暮らしていた。
そして迎えた9月10日、日本軍が長春を制圧(満州事変)
前の世界では1938年まで平和だった。毎回変わる歴史。
旅をして楼蘭王国に戻ったマリア。

首は持ち出していないので、同じ毎日を繰り返していた。
ある日若い男を湖畔で見つけ、手当てするマリア。

ここが楼蘭だと知って、男は神殿から首を持ち出して逃げた。

再び追うマリアの後ろで崩れる楼蘭。

四回目の外界は1934年。再び訪れた長春一帯は日本の関東軍が支配する満州国となっていた。犬山の言っていた上官の命令とは日本軍?
関東軍へのスパイ活動をしていたマリアだが、再び突風に襲われて過去の楼蘭に戻る。
敵の存在を意識したマリアは、武闘笛による武術を習得。
そしてようやくあの時の若い男が来る。連れの部下は線が細い。

争いの中でその部下を射殺し、間久部緑郎と名乗った男は再び鳥の首を持ち去った。
マリアの後ろで再び消える楼蘭。

五回目の外の世界は1937年7月。
満州国で、間久部少佐に三田村財閥の末娘との縁談がある事を知るマリア。だがそこでまた突風。

楼蘭に戻ったマリアを再び訪れた間久部少佐。

今度は彼と似た青年と、美貌の青年を同行している。
二人の青年を倒したマリアは、間久部少佐を名指し会うのは三回目だと言うが、相手に記憶はない。それでも鳥の首を奪って逃げる緑郎。

追うマリアの後ろで崩れる楼蘭。
緑郎を追って上海まで来たこの時代は1937年9月。
そして見つけた男装の美女川島芳子に近づくマリア。

緑郎が二回目に来た時殺した部下は彼女だった。
マリアはロシア人貴族を装い、親密になる。
この時の上海の状況では、日本は支那事変に負けた。
マリアの予感。負けた日本は必ず歴史を変えようとする・・・
そして突風。風に立ち向かうマリア。

楼蘭で目覚めたマリアは、自らの手で鳥の首を持ち楼蘭を出る。

消えゆく王国。それが今の姿。
南下の途中で首を隠し、上海に向かったマリア。
外の世界は前と同じ1937年7月。

日中戦争の最中だが、日本が上海を制圧し有利な状況。
そしてとうとう緑郎を見つけた。

その2 廃墟の七人
マリアの自白を聞き終えた皆は茫然とする。

大日本帝国による歴史の修正。関東軍は「時間旅行軍」
緑郎と博士による話の整理。
425年前、明に滅ぼされた楼蘭王国は火の鳥の力で、滅びる一日前を延々と繰り返す様になった。
1904年に、犬山という日本の軍人が鳥の首を盗んだ事で時が巻き戻された。
鳥の首の強奪を繰り返すたびに変化する世界。

レーニンは一回目で殺され、二回目では日本軍に砲撃された。

三回目では殺されずソビエト連邦を樹立している。
満州事変も初めは失敗し、四回目で満州国を樹立した。
更に五回目では支那事変が形勢不利となり、六回目では上海戦で敗退し大陸進出を諦めた。
七回目である今の日本は、中国大陸を次々と制圧して西、南へと進撃している。

時間を巻き戻している黒幕の存在。芳子が、三田村家の地下室で見た鳳凰機関での三人の話をする。

特徴から一人は関東軍 参謀長 東條英機、次いで参謀副長 石原莞爾。あと一人は背の高いおじさん、と芳子。
遺影の話もする芳子。一人は麗奈の母だ、と緑郎。もう一人は山本五十六閣下。昨年客死したという話を否定しないみんな。
鳳凰機関という組織が、世界情勢を日本有利に導いている。
だが七回目の今は、マリアが先回りして鳥の首を隠した。

そこで芳子が、リマの飛行場で三田村要造氏に会った事を話す。
銃声がして、芳子の帽子に穴があいた。

闇から現れた偉丈夫の老人。

その老人は三田村要造。調査隊の集合写真を見て追って来た。
要造の言うには、この世界は15回目。

マリアには9回目以降の記憶しかない。
ユーラシア大陸を手中に収める、新たな16回目の世界が来ると言う要造。

 

要造に命じられマリアに、鳥の首のありかを吐かせるための自白剤を注入しようとする緑郎。
だが隙を見て皆が要造を抑え込み、緑郎が自白剤を注入した。
呻きながら話し出す要造。
48年前の1980年。秘境探検隊を率いる大滝雪之丞という男に会った。