【代数学の基本定理】24通りの証明コレクション

 

★微分積分からの証明 

 【微積①】;最も短い微分積分による証明

 【微積②】ド・モワブルの定理を用いた証明

 【微積③】ガウス第1の証明

 【微積④】2変数微積分からの証明

 

★複素解析からの証明

 【複素解析①】リュービルの定理を用いた証明

 【複素解析②】ガウスの平均値の定理による証明

 【複素解析③】最大値の原理からの証明

 【複素解析④】平均値の不等式からの証明

 【複素解析⑤】コーシーの積分定理を用いた証明その1

 【複素解析⑥】コーシーの積分定理を用いた証明 その2

 【複素解析⑦】留数定理からの証明

 【複素解析⑧】偏角の原理からの証明

 【複素解析⑨】 ピカールの小定理からの証明

 【複素解析⑩】ルーシェの定理からの証明

 

★代数的な証明

 【代数①】線形代数による証明

 【代数②】ガウス第2の証明

 【代数③】ガロア理論による証明

 

★位相幾何による証明

 【位相幾何①】回転数による存在定理からの証明その1

 【位相幾何②】回転数による存在定理からの証明その2

 【位相幾何③】写像度による証明

 【位相幾何④】円の基本群による証明

 【位相幾何⑤】リーマン球面を用いた証明

 

★不動点定理による証明

 【不動点定理①】ブラウワーの一致点定理からの証明

 

★確率論による証明

 【確率論①】ブラウン運動からの証明

複素解析からの代数学の基本定理の証明で最も
有名なのがリュービルの定理の系として得る証
明です。次に有名な複素解析による証明がルー
シェの定理からの証明だと思います。そちらに
ついても紹介します。

複素関数論の最も重要な結果である、コーシー
の積分定理からも「代数学の基本定理(FTA)」
を導く証明は何通りかあるようです。
私のブログでは2通り紹介いたします。

なお、今回紹介する証明は、代数学の基本定理
の証明コレクション本である、
「The fundamental theorem of algebra
/ Benjamin Fine, Gerhard Rosenberger.」
を参考にしています。

ちなみに2通り目の証明はこちらです。

コーシーの積分定理を用いた証明 その2 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「回転数に関する存在定理」「ホモトピー同値
性」の双方を用いた証明です。

証明の最後の方に記載していますが、補題1を
満たすような半径rの開集合の中に解が存在し
ていることになります。

要はトポロジーの強い定理を二つ使うことによ
って、存在のみならず解の範囲までも言及して
いるのです。

 

こちらは、共立出版から出ている「数学かんど
ころ33 複素数と複素平面」を参考にして証明
を書いてみました。
こちらの本は非常に面白かったです。

この証明で用いている「回転数に関する存在定
理」は、1変数関数に関する中間値の定理を一
般のジョルダン閉曲線に対して拡張したものに
なります。
 

回転数によるその他の証明はこちをご参照

下さい。

【代数学の基本定理】回転数による3つ位相幾何学的な証明

 

ガウスは、代数学の基本定理の証明について生
涯4つの論文を発表しました。

二つめの証明は、体論や対称式の基本定理を用
いた代数的なもので今日の基準においても完全
なものだったようです。

かなり前の数学セミナー増刊で、ガウスの原型
に近い証明があったので、そちらの行間を埋め
て掲載してみました。

ガウスの証明を4つとも集めてみたいと思って
います。

 

ガウス第1の証明

についてもアウトラインを書いています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

代数学の基本定理の証明のうち、最も初等的な
のが、Jean Robert Argand (1768-1822) の証
明をベースとした Weierstrass の最大値・最
小値定理を用いるものだと思います。

ただ、その証明は往々にして少し長いです。
かなり前の数学セミナーに式変形の少ない方法
が載っていましたので、そちらを参考にアレン
ジしてみました。

|f(z)| が最小値をとるということさえ認めて
しまえば、高校レベルの数学で解決できる証明
と思います。

加えて、2変数の微分積分からアプローチする
方法もあるのでリンクを張っておきます。こち
らも大学初年度の範囲でクリアできます。

【代数学の基本定理】2変数微積分からの証明

 

こちらの平均値の不等式からの証明につきまし
ては、代数学の基本定理の証明コレクションで
ある、「The fundamental theorem of algebra
/ Benjamin Fine, Gerhard Rosenberger.」
を参考にしています。

こちらの書籍ですが、微分積分・複素解析・代
数(体論、ガロア理論)・位相幾何など様々な
方法で代数学の基本定理の証明を試みるいう数
学科学部3、4年生程度の方を対象とした書籍
です。素晴らしいコンセプトです。ただし、数
学科卒業研究のゼミの本で使うには、位相幾何
やガロア理論の証明をはしょっているのでもの
足りないかも知れません。適宜他の専門書で補
いながらゼミすすめるとよいでしょう。

さて、今回紹介する証明で使われている平均値
の不等式はガウスの平均値の定理や最大値の原
理の系です。後者二つからも代数学の基本定理
は証明でき、R→∞において、今回紹介する証
明と同様な漸近的な評価、同様の論法での背理
法を使っているので是非比べて下さい。

ガウスの平均値の定理による証明

最大値の原理からの証明

 

 

最大値の原理から、代数学の基本定理が導ける
ことはよく知られていると思います。

リュービルの定理からの証明と同等の完結で快
適な証明が得られます。

こちらの最大値の原理からの証明は、神保先生
の「岩波講座 現代数学への入門 複素関数入
門」を参考にしています。

神保先生の本では、リュービルの定理からでは
なく、偏角の原理からの証明と最大値の原理か
らの証明を掲載下さっています。粋な計らいで
すね。

リュービルの定理からの証明はこちら

リュービルの定理を用いた証明

偏角の原理からの証明はこちらです。

偏角の原理からの証明 |

 

解の公式がない高次方程式の解を近似的に求め
る際、「偏角の原理」を用いたアルゴリズムが
あることはよく知られていると思います。

「偏角の原理」は解の具体的な構成に資する結
果であり、解の存在を保証している「代数学の
基本定理」より強い結果です。ですので、「偏
角の原理」から「代数学の基本定理」が導ける
というのはごくごく自然ですね。

複素解析の証明では2番目に有名な「ルーシェ
の定理」からの証明と同じく、背理法を用いず
 P(z) の零点の個数が n 個であることも含め
て導出する気持ちのいい証明となっています。

こちらの「偏角の原理」からの証明は、神保先
生の「岩波講座 現代数学への入門 複素関数
入門」を参考にしています。

なお、「ルーシェの定理」からの証明について
も近々記事をアップ予定です。
今のところは小さい字で恐縮ですが、拙著の5
番目の証明をご参照下さい。

【代数学の基本定理】複素解析による10通りの証明