解の公式がない高次方程式の解を近似的に求め
る際、「偏角の原理」を用いたアルゴリズムが
あることはよく知られていると思います。

「偏角の原理」は解の具体的な構成に資する結
果であり、解の存在を保証している「代数学の
基本定理」より強い結果です。ですので、「偏
角の原理」から「代数学の基本定理」が導ける
というのはごくごく自然ですね。

複素解析の証明では2番目に有名な「ルーシェ
の定理」からの証明と同じく、背理法を用いず
 P(z) の零点の個数が n 個であることも含め
て導出する気持ちのいい証明となっています。

こちらの「偏角の原理」からの証明は、神保先
生の「岩波講座 現代数学への入門 複素関数
入門」を参考にしています。

なお、「ルーシェの定理」からの証明について
も近々記事をアップ予定です。
今のところは小さい字で恐縮ですが、拙著の5
番目の証明をご参照下さい。

【代数学の基本定理】複素解析による10通りの証明