「コーシーの積分定理」「留数定理」これらは
19世紀数学の華である、複素関数論の著しい
結果であることは言わずもがなです。

以前は、コーシーの積分定理から代数学の基本
定理が導ける記事を掲載しました。

コーシーの積分定理を用いた証明 その2


留数定理から導いている論文を発見したので紹
介します。

某大学院の数学教室の2次試験(面接)では、
「好きな定理とその理由?」という質問がある
という都市伝説がありました。

私の友人は、「留数定理です。理由は、実数の
範囲で計算できないような積分を、複素積分を
することによって、中学の通分と代入の計算、
高々高校の微分計算に帰着できるからです。」
という答えを準備したそうです。

美しさという意味では、コーシーの積分定理、
留数定理どちらとも数学者の感性に響くもので
あり、甲乙つけがたいと思います。

ただ、論理的に考えると、コーシーの積分定理
が複素関数論の大黒柱であるといわざるを得ま
せん。

なぜなら、留数定理を導く際、コーシーの積分
定理を使うからです。ですので、コーシーの積
分定理の方が留数定理よりも強い訳です。

定理の強さと美しさは必ずしも正の相関が
あるわけではないということですね。