落ちるの扉 | 山田小説 (オリジナル超短編小説) 公開の場

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 「『落ちる』と書かれていますね。どういう意味でしょうか?」

 「きっと扉の向こう側の世界では色々な物体が常に落ちていっているのでしょう」

 「しかし、扉に耳を当てても何かが落ちたような物音は聞こえてきませんよ」

 「落ち続けているのなら落ちたような音は立たないでしょう。扉の向こう側の世界に地面はないのかもしれませんね。それに、この扉はそもそも音を通すのでしょうかね?」

 「さあ。そもそも扉の向こう側の世界に音があるのかどうかわかりませんからね。しかし、おそらく何らかの物体があり、それから重力もありそうですね」

 「それで、どうしましょうか?この扉の向こう側にある世界は危険度はどの程度であると推測しますか?とりあえず扉を一時的に開けても大丈夫だと判断しますか?」

 「どうしましょうかね。こちら側で憶測を立てているだけでは調査が進展しませんから扉の向こう側を覗いてみたいところではあるのですよね。ただ、開けるとしても落下に対する準備として身体とこちら側の世界を綱などで繋いでおいた方が良さそうですね」

 「その程度の対策で大丈夫でしょうかね?」

 「足りませんかね?」

 「まったく未知な世界ですから万全な対策などはできないでしょうが、扉を開ける前に思い付く限りの準備をしておきたいですね」


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