謎の記号の扉 | 山田小説 (オリジナル超短編小説) 公開の場

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 二人の調査員達が休憩所で椅子に座って話し合っていた。

 「今度はどの扉の向こう側を調査するつもりですか?」

 「そろそろ私達が知らない文字の扉を開けてみるべきではないかと考えているのですが、あなたはどう思いますか?」

 「謎の記号の扉はたくさんありますが、どれを開けるつもりですか?」

 「まだ決めていませんよ。そもそも読み方さえわからないので口頭では扉を指定できません。それで、あなたはどうしますか?謎の記号の扉の向こう側に同行しますか?そこに何があると思いますか?」

 「おそらく我々の理解が及ばない世界があるのでしょう。実際、謎の記号の扉を開けて向こう側を覗いただけで発狂した調査員も過去にいたのですよ。ですから、私は軽々しく扉を開けるべきではないと思います」

 「その事故なら私も知っています。そのせいで謎の記号の扉の危険性が周知されたのですよね。しかし、私は気が付いたのですよ。謎の記号の扉を開けて向こう側の世界を調査すれば我々にとって未知の概念を獲得できる可能性があるのです。私達の調査によって文明が飛躍的に発展するかもしれないのですよ。そうなったら素晴らしいでしょう?」

 「あなたは我々の文明の現状に不満を抱いているのですか?私はそこそこ幸せな生活を送れているという自負を持っているのですけどね」

 「私もそこそこ幸せであるつもりですよ。しかし、新しい未知の概念を獲得できた後にこの現状を回顧すれば幾つかの色彩が抜け落ちた写真を見た時のように物足りないと感じるでしょうね」


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