調査員の扉 | 山田小説 (オリジナル超短編小説) 公開の場

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 扉の前で二人の調査員達が話し合っていた。

 「『調査員』と書かれていますね。どういう意味でしょうか?」

 「きっと扉の向こう側の世界にはたくさんの調査員がいるのでしょう」

 「私達の同類ですか?何を調査しているのですかね?」

 「扉の向こう側の世界にも扉がたくさんあって扉の向こう側の世界を調査しているのかもしれませんね」

 「私達とまったく一緒ですね。ひょっとして、私達の世界も既に調査されているのでしょうか?」

 「そうかもしれません。知らない間に私達の同僚の中に紛れ込んでいる可能性がありそうですよね。或いは、私達の先祖はこの扉の向こう側から来たという隠れた歴史があるかもしれません」

 「あなたはこちら側の世界で生まれ育った記憶がありますか?」

 「仮にこちら側の世界の出身者ではないとしても私が調査員であるという事実は変わりませんよ。自分に与えられた使命として調査をしっかりと行うつもりです」

 「そうですか。それはそれとして、この扉の向こう側にたくさんの調査員が存在している仮定して彼等と連携が取れるなら色々な世界の調査が一気に進展する可能性がありますよね」

 「そうかもしれませんね。しかし、私達と彼等では世界の認識の仕方が異なるかもしれませんからね。結局のところ、私達の方法で調査し直さなければならなくなるかもしれませんよ」


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