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 二人の調査員達が休憩所で椅子に座って話し合っていた。

 「また、この施設の壁に例の落書きが見つかったようですよ」

 「また密室状態になっている部屋の壁に書かれていたのですか?」

 「今度の落書きは出現の瞬間を複数の調査員達が目撃していたようです。すぐにその落書きを調査したらしいのですが、また今度もありふれた普通のペンのインクの成分が検出されたようですよ」

 「どこかの扉の向こう側から私達には知覚できない種類の知的生命体が出てきて施設の壁に文字を書いたのですかね?」

 「どの落書きも私達が理解できる文字で書かれているのでしょう?だとすると、扉の向こう側から出てきた知的生命体が犯人であるという可能性は低そうですね。なにしろ私達と同じ文字と言語を使用している他世界はほとんど見つかっていませんからね」

 「だとすると、犯人は我々の一員であるという可能性が高そうですね。しかし、なぜ調査員が壁に落書きをするのでしょうか?」

 「例えば、『過去』と書かれた扉に入った調査員達が何らかの事故によって帰還できなくなり、自分達の存在を現在の我々に伝えるつもりで施設の壁に落書きをしたのかもしれません」

 「救助しなければ調査員の死骸がこの施設の中で見つかるのですかね?」

 「死骸が見つかっていないのですから救助されるはずでしょう」

 「過去に書かれた落書きが最近まで認識されていなかったという幾つかの事例に準拠した法則によって扉のこちら側とあちら側の時空が繋がっているのだと仮定すると調査員の死骸もまだ今のところは認識されていないだけであって既に施設の中に横たわっているのかもしれませんよ」


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