1月の京都では、ずっと楽しみにしていたこちらへも伺ってきました。
立礼茶室 然美(さび)
現代美術作家でデザイナーの高橋大雅さんが、祇園に大正時代に建てられた町屋を改装し手がけた空間、T.Tの2階に2021年末にオープンした、完全予約制の茶寮です。
アパレルだけでなく、NYと京都を拠点に数多くの作品をプロデュースされるなど、とにかく多才だった高橋さん。
然美オープンから僅か4ヶ月、突然の病により27才の若さで旅立たれたという衝撃のニュースは、昨年、業界内を駆け巡りました。
駆け足で流れていくこの時代に、置き去りにされた日本古来の美意識を甦らせたい。
高橋さんが魂を込めて作られた、美しきこの茶室、ぜひ、訪れたかったんです。
知らないと素通りしてしまいそうな、こちらの入り口を入ると、
1階の入り口には、高橋さんが玄武岩を削って作られたという彫刻が迎えてくれます。
奥にはブティックもあり、ショッピングを楽しむことも可能です。
階段を上がり、2階の茶室へご案内いただきました。
こちらで、月毎に変わる5種の和菓子と日本茶のペアリングを、コース仕立てでいただくことができます。
心穏やかにお茶を嗜めるような、厳かでシックな、まさに "静"の空間。
カウンターに着席したら、いよいよ茶菓懐石、スタートです。
2023年1月のお品書きには、新春をイメージした、清らかな明るい光を感じさせる美しいネーミングの創作和菓子と、京老舗茶舗のお茶を使用したオリジナルドリンクやカクテルが並びます。
まず、最初の一品は
祥雲
抹茶、白餡、金柑、まろやかなクリームチーズが合わさった一品。
ペアリングのお茶は、利招園の玉露「鳳春」を贅沢な水出しで。
この水出し、おだしのようなものすごいコクと甘味で、その美味しさに、早くもノックアウトです。
続いては、木苺、ミルクチョコ、ゴボウを使った和菓子
菱葩
お茶は、「鳳春」の煎茶です。
三品目は、和栗、マンダリンオレンジ、杏仁、アーモンドを使った
冬日向
ペアリングは、一保堂の煎茶「雲露」を使った、メディタレーニアン・トニック
なんて、美しい。
続いては
清輝
晩白柚、マスカルポーネ、和三盆、カシューナッツを使用した、春が待ち遠しくなる、名前の通り清らかな一品。
お茶は
一保堂の抹茶「関の白」に、柚とレモンの爽やかなアクセント。
そして、コースの締めくくりは
早春
豆乳、きな粉、あまおうを使った、華やかな一品。
ペアリングは、新年の喜びと無病息災を願い、
一保堂の「大福茶」をいただきました。
茶室に漂う凛とした空気と、
美しい所作、
ここでしかいただけない完全オリジナルの和菓子にお茶、茶器や菓子皿の一つ一つに至るまで、目に映るもの、感じるもの、すべてが格別。
静謐で上質な時間を、心ゆくまで堪能させてもらいました。
限定人数、1日2回のみ、予約者が揃ってからの一斉スタートと予約が取りづらい面もあるかとは思いますが、ここにくるだけでも旅の価値がある、そう強く思わせてくれた、
存在感を放つ、特別な空間でした。
素晴らしい時間を、
ありがとうございました。
コメ子。
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