【金勝陀羅尼品第八】
また釈迦は善住菩薩に告げます「善男子よ、『金勝』という陀羅尼(呪文)がある。もし過去・現在・未来の諸仏をまのあたりにし、懇ろに供養したいという篤信者があれば、この陀羅尼をこそ日頃からお唱えすべきである。(中略)」
釈迦は聴聞衆のために此の陀羅尼呪を唱える方法を説かれます。「まず十方一切の諸仏、菩薩の御名をお称えし、心を尽くして礼拝して後、陀羅尼呪を誦えよ。
礼仏 南謨十方一切諸仏(以下略)
陀羅尼呪 南謨。曷喇怛娜。怛喇夜也。(以下略)」と。
釈迦は続けて善住に告げます。「この陀羅尼は過去・現在・未来の三世諸仏の母である。篤信の者がこの呪文を信じ唱えれば、はかりしれない福徳を集めることができるであろう。なぜなら、この陀羅尼を信仰することは、多くの諸仏を供養し敬い、讃えることと同じであるから。(中略)
善住よ、この陀羅尼呪を信仰すれば、いまだ悟りに到達していなくとも、常に金城山菩薩・慈氏菩薩・大海菩薩・観自在菩薩・妙吉祥菩薩・大氷伽羅菩薩等と共にあって、あらゆる菩薩によって救い護られることだろう。」
爾の時世尊、復た衆中に於て、善住菩薩摩訶薩に告げたまわく、「善男子、陀羅尼あり、名けて金勝と曰う。若し善男子・善女人ありて、親しく過去・未来・現在の諸仏を見て、恭敬供養せんことを欲せば、応当に此の陀羅尼を受持すべし。(中略)
世尊即ち為に持呪の法を説きたまう、「先ず諸仏、及び菩薩の名を称し、至心に礼敬して、然して後に呪を誦せよ。
『南謨十方一切諸仏(中略)』
陀羅尼に曰く、『南謨。曷喇怛娜。怛喇夜也。(中略)』」
仏、善住菩薩に告げたまわく「此の陀羅尼は是れ三世諸仏の母なり。若し善男子・善女人ありて、此の呪を持せば、能く無量無辺の福徳の聚を生ぜん。即ち是れ無数の諸仏を供養し、恭敬し、讃歎するなり。(中略)
善住、是の呪を持せば、乃至未だ無上菩提を証せざるに、常に金城山菩薩・慈氏菩薩・大海菩薩・観自在菩薩・妙吉祥菩薩・大氷伽羅菩薩等と共に居止し、諸の菩薩のために摂護せらる。
(次回「重顕空性品第九」へ続く)