中(ちゅう)尊(そん)寺(じ)建(こん)立(りゅう)供(く)養(よう)願(がん)文(もん) ⑩

 

中尊寺建立供養願文(顯家本奥書) 部分

 

「顕家本奥書」
件(くだん)の願文(がんもん)は、右(う)京(きょう)大(のだ)夫(いぶ)敦(あつ)光(みつ)朝臣(あそん)之(これ)を草(そう)し、中(ちゅう)納(な)言(ごん)朝(とも)隆(たか)卿(きょう)之(これ)を書(しょ)す 而(しか)るに不(ふ)慮(りょ)の事(こと)有(あ)り 紛失(ふんしつ)の儀(ぎ)に及(およ)ぶ 正(しょう)文(もん)に擬(ぎ)せんが為(ため)に忽(たちま)ちに疎(そ)毫(ごう)を染(そめ)るのみ 

鎮(ちん)守(じゅ)大(たい)将(しょう)軍(ぐん) 花(か)押(おう)(北(きた)畠(ばたけ)顯(あき)家(いえ))
 

中尊寺供養願文(輔方本奥書)部分

 

「輔方本奥書」 

嘉(か)歴(りゃく)四年八月廿五日、信(しな)濃(のの)阿(あ)闍(じゃ)梨(り)持(も)ち来(きた)られ、奥(おく)書(しょ)端(はし)書(がき)に及(およ)ぶべきの由(よし) 命(めい)ぜらるるの間(あいだ)筆(ふで)を馳(は)す 正(しょう)本(ほん)を以(も)って寫(うつ)すと云(しか)々(じか)
 前(さきの)少(しょう)納(な)言(ごん)輔(すけ)方(かた) 花(か)押(おう)

 

中尊寺供養願文(輔方本端書)部分

 

「輔方本端書」
奥(おう)州(しゅう)平(ひら)泉(いずみ)關(かん)山(ざん)中(ちゅう)尊(そん)寺(じ) 鳥(と)羽(ば)禪(ぜん)定(じょう)法(ほう)皇(おう)御(ご)願(がん) 勅(ちょく)使(し)按(あ)察(ぜ)中(ちゅう)納(な)言(ごん)顯(かね)隆(たか)卿(きょう) 願文(がんもん)清書(せいしょ) 右(う)中(ちゅう)弁(べん)朝(とも)隆(たか) 唱(しょう)導(どう)相(そう)仁(に)己(い)講(こう) 大(だい)壇(だん)那(な)陸(む)奥(つの)守(かみ)藤(ふじ)原(わらの)朝(あ)臣(そん)清(きよ)衡(ひら)

 

(終わり)

 

参考文献

板橋 源 「傳『中尊寺供養願文』をめぐる諸説の回顧と展望」(『岩手大学教育学部研究年報』29 1969)

齋木一馬 「中尊寺供養願文の輔方本と顯家本との關係について」(『仏教史研究』9 1975)

佐々木邦世 「解説 一 基本史料訳注」(『平泉町史 史料編一』 1985)

多田厚隆「中尊寺の寺観」(『多田厚隆大僧正講演集』大聖院刊 1993)

中尊寺編 図録『世界遺産中尊寺』「中尊寺建立供養願文」(2010)

柳原敏昭 「中尊寺供養願文」顕家本の周辺」(『岩手大学平泉文化研究センター年報』第9集 2021)

誉田慶信 「「中尊寺供養願文」の作法」(同上)

劉海宇 「供養願文と藤原朝隆―書の視点からー」(同上)

菅野成寛 「供養願文と藤原敦光―願文の真贋―」(同上)