絶対にネタバレしてはいけない作品であります。荒唐無稽のラストであるけれど、より豊かにを求めてきた資本主義世界の成れの果てを笑っている。
形は、大企業CEOの誘拐監禁サスペンス。だけれど、作品のベースとしての基本概念は、世界的企業の人間搾取で、グローバル企業の利益追求姿勢が一人一人の生活を人生を奪っていることへの糾弾である。
エマストーンの監禁場面は、むごたらしいし、血なまぐさいし、突然のスプラッターシーンはぞっとするけれど、えぐいヨルゴス作品の魅力とそて、支持する人もおおいだろう。
誘拐犯のテディとドンのコンビは絶妙のキャラクター設定だ。
主犯のテディは、自分をインテリの紳士としてエマストーンと会話する。アンドロメダ星人に戦いを挑む勇敢で知的な男を自己化している。社会を震撼させる犯罪者によく見る自己愛、自己中心の男。ディープステイト、陰謀論を信じる現代アメリカ社会の人々と重なる。
少し知的能力に問題がある相棒のドンの存在はスタインベックの「二十日鼠と人間」のコンビを彷彿とさせた。彼らも、社会の底辺で疎外され、排斥された男たちだった。
テディとドン犯行の動機は、表向きにはアンドロメダ星人の侵略から地球を救うことなのだが、実際は農薬会社が販売した農薬で家業のハチミツ採取に影響が出たこと、母親が農薬によって障碍者になったことへの復讐である。
それにしても、大富豪のエマストーンの誘拐されるシーンはいい加減すぎる。大富豪なら自宅に監視カメラやガードマンを置いているだろう。監禁が解けて会社に戻る場面では厳重警戒され、警察が多数張り込んでいるはずなんだけれど、誰もいないし。
まあ、全体にリアルというより、なんとなくとぼけた感じもあるので、これでよいのかも。