膨大なエピソードであふれた原作から、青年の純愛を主軸に、階級社会の矛盾、青年の野心の発露からくる有為転変の人生をしっかり取り込んで宝塚らしいハッピーエンドに持ち込んでいました。原作はもっとドロドロ、悪と、善意の入り乱れた物語だろうと推測されますがうまくエピソードをピックアップしてまとめ上げました。

 

 いろいろと、消化不良な点はありましたが、鈴木圭さんの演出に様々な創意工夫がありました。

 ダンサーズが心理面を表現して、厚みができていました。

 エステラ、ハビシャム夫人、ベントリー等の人格や心理はよくわからないなりに、なんとなくファンタジーかもと思わせるような演出が功を奏して、お話の波に乗っていけました。

 

 暁千星さんのさわやか青年が、作品の好感度を高めます。エステラの瑠璃花夏さん、びっくりの歌声。宝塚の娘役さんたちは豊かな才能の宝庫なんだと、改めて実感します。

 

美稀千種さん、輝咲玲央さんの熱い演技、朝水りょうさんの美形叔父、星組の宝ですね。

 天飛華音さんの存在感、演技は黒いアクセントになっているし、ダンスもセクシーで、力強いしで、個性豊かで見栄えがします。