退職を勧奨したら、解雇にしてほしいと言われたのですが・・・ | 港区の社会保険労務士 内海正人の成功人材活用術!!
2025-02-14 01:00:00

退職を勧奨したら、解雇にしてほしいと言われたのですが・・・

テーマ:解雇

今回は「退職を勧奨したら、解雇にしてほしいと言われたのですが・・・」について解説します。

 

先日、以下のご相談をお受けしました。

 

「問題がある従業員に退職を打診しました。すると、雇用保険の所定給付日数を多くして、失業給付を多くもらいたいためなのか、退職届等を出すつもりはないとの回答で、すぐに「解雇してほしい」といいだしました。しかし、解雇でも『自分に問題はない』と主張しています。この場合の取り扱いに困っています。本人の希望を聞いて解雇として取扱うべきなのでしょうか?」

 

 

上記と同様なご相談をいくつもお受けしました。

 

基本的には「解雇でもないのに解雇はNGです」と回答しています。

 

しかし、ここは社内の内情が優先される場合もあり、難しい問題です。

 

基本的に「解雇で退職となると失業給付が多くもらえる」ので、上記のような話となることが多いのです。

 

雇用保険の失業給付で、基本手当が何日支給されるかは、所定給付日数が何日あるかで決まります。

 

解雇等で離職した場合で、会社都合の失業の場合などは、特定受給資格者に該当します。

 

これに該当すれば、自己都合退職と比べて給付日数が上乗せされることとなります。

 

たとえば、35歳以上45歳未満で、算定基礎期間(被保険者として雇用された期間)が10年以上20年未満のとき、自己都合退職が120日のところ、特定受給資格者は倍の240日といった具合です。

 

こうした差があります。

 

この場合、失業給付は倍もらえることになります。

 

特定受給資格者になり得る解雇には、自己の責めに帰すべき重大な理由によるものは含まれません。

 

たとえば、長期間正当な理由なく無断欠勤し、出勤の督促に応じない場合などが該当し得ます。

 

ただし、就業規則等の違反の程度が軽微な場合には、ここでいう自己の責めに帰すべき重大な理由による解雇には当たりません。

 

 

さらに、特定受給資格者に該当するのは、解雇に限りません。

 

解雇、その他の厚生労働省令で定める理由も対象です。

 

その中に「事業主から退職するよう勧奨を受けたこと」も含まれています。

 

この場合、会社が退職勧奨をしたかどうかがポイントになり、離職票の離職理由欄等にもその旨記載します。

 

ここでよく、「「退職届を出したら、理由が切り替えられる」との話を聞きますが、退職届等を出したときに離職理由が自己都合に切り替わるわけではありません。

 

では、特定受給者になる退職勧奨をみてみましょう。

 

退職勧奨は2つに分かれます。

 

①    企業整備における人員整理等に伴う退職勧奨など退職勧奨が事業主より行われ離職した場合

 

②    希望退職募集への応募に伴い離職した場合

 

②は、恒常的な制度を想定したものではなく、募集期間が3カ月以内である場合などをいいます。

 

このように、ご相談の事例の場合は正直に「退職勧奨」とし、理由もストレートに対応するべきでしょう。

 

特定受給者に該当するか否かは、行政の判断となるのです。