歌奴の「奮闘努力の甲斐もなく」

歌奴の「奮闘努力の甲斐もなく」

四代目三遊亭歌奴のブログです

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先日酔っぱらった勢いでマイクを買いました。

せっかくなので音声配信をしようと思い立ち、初回のテーマを「寅さんの啖呵売」にしました。

ただ啖呵売の物真似をしてもなんなんで、解説も入れました。

 

「ニッキのダンジョウ お芝居の上での憎まれ役」

「三々ロッポで引け目がない」

「ゴホンゴホンと波さんが、磯の浜辺でねぇあなた」

思わず?になってしまう言葉でも、意味が分かればたやすいこと。

美しいく懐かしい日本語が散りばめられた寅さんの口上です。

ぜひお聞きください。

 

 

 

 

昭和から見続けている私としては、今相撲というものが残念な方向に向かっているとしか思えません。

横綱とは一体なんなのか。

そんなことをふと考えるのはやはり昨日まで行われていた令和三年の大相撲名古屋場所を観たからです。

 

横綱が誕生して二百数十年、72人が横綱免許を授与されています。

相撲の神様と称される人から不祥事でやめていった横綱もいます。

横綱昇進時に渡される「横綱免許」には、

品格力量抜群に付横綱に推挙す

としてあります。

ただ強いだけではなく、品格も抜群ではないと横綱とは言えないのです。

 

さて、ご承知の通り横綱は降格がない為成績が悪くなったら選択肢は引退しかありません。

昔は引退に美学というものがありました。

横綱栃錦は1960年春場所千秋楽は横綱若乃花との史上初千秋楽全勝対決になりました。

残念ながらこれには敗れましたが、その年の初場所は優勝、前年は二度優勝しています。

横綱としては立派な成績を維持している栃錦は翌5月場所、初日から二連敗して突如引退を発表します。

栃錦は横綱が決まった晩に師匠の春日野親方から

「今日から辞める時のことを考えて過ごせ」

と言われたそうです。

この春日野親方(横綱栃木山)も三場所連続優勝した翌場所に「力が衰えてから辞めるのは本意ではない」とし、引退しています。

これが横綱の了見でしょう。

これを見習い、栃錦も桜の花が散るごとく潔い引退となりました。

 

ただ勝てばいい。

ルール違反以外なら何をしてもいい。

相撲ってそんな悲しいものでしょうか。

ましてや、横綱がそういう了見であっては相撲界もお先真っ暗でしょう。

全力士の手本とされる横綱の誕生を心より待つばかりです。

大相撲のDVDで双葉山引退相撲の映像があります。

それを見ると「横綱」というものが凝縮されているような気がします。

 

是非皆さんにも観ていただきたいです。

 

来場所から73人目の横綱が誕生するようです。

技量と共に品格も抜群であることを祈ります。

八日目は月曜日で鈴本演芸場の定休日。

九日目、千秋楽です。

 

九日目「三方一両損」(6月29日)

図らずとも、三連続で大岡裁きとなってしまいました。

いくらか貰いたいくらいです(誰に?)。

ずいぶん前に志ん陽さんから教えてもらいました。

一度高座にかけたんですがしっくりこなくてお蔵入りになってました。

去年の鈴本演芸場のトリの時久々にやったんですが、少し手応えを感じたので今やるようにしています。

人にもよるんでしょうが、私は高座にかけ噺をこしらえていきます。

前座の頃先輩に稽古百回=高座一回と教わりました。

もちろん高座にかけるには稽古をしてクオリティーを高めなければなりませんが、噺を会得するにはやはり高座にかけるのが一番。

新しいくすぐり(ギャグ)もお客さんの前でやっている時にアドリブで出ることが多いです。

ですから噺家にとって高座はとても大切です。

お客さんの前でしゃべっていなくてはいけないんです。

私はそう思います。

 

千秋楽「越の海」(6月30日)

実はこの噺を連投しています。

この次の日(7月1日)、横浜にぎわい座のトリも越の海。

昨日配信の落語会があったんですが、そこでも越の海をやりました。

トリバージョンと寄席の出番(15分)バージョンが出来ればいいなと目論んでいます。

この噺は講釈ネタ、いわゆる釈ネタです。

講談師の神田春陽さんに教えてもらいました。

身長が五尺五分(約150cm)体重が36貫(135キロ)という力士の噺。

小兵の力士といえば現在はまず炎鵬。

平成では舞の海、智乃花ですか。

ちなみに我が家には智乃花の電光掲示板があります(^^;

NHKの相撲中継でよく映される電光掲示板、あれです。

以前ヤフオクで手に入れました。

落札価格より送料のほうが高かったです・・・。

話がそれましたが、小よく大を制すというのが相撲の醍醐味の一つ。

小兵の力士勇蔵が横綱谷風に稽古をつけてもらうというのがこの「越の海」という噺です。

機会があればぜひお聞きください。

 

というわけで、2021年鈴本演芸場主任興行のネタ八席を振り返ってみました。

また来年もトリがとれるよう精進しますニコニコ

 

昨日に続いて五日目から。

 

五日目「寝床」(6月25日)

「義太熱(ぎだねつ)」「不正無尽の会社」「がんもどきの製造法」「節がつくだけ情けない」

不思議なフレーズがたくさん出てくる噺です。

二ツ目の頃、市馬師匠に教えていただきました。

市馬師匠にはたくさんの噺を教わっております。

その噺をトリの高座で掛けさせていただく、本当にありがたいことです。

旦那の機嫌が直るときのセリフ、

「じゃあ、(義太夫を)やらないわけにはいかないじゃないか」

というのがありますが、ここで笑いが来ると今日はいい出来だというのを感じます。

このセリフ一言で旦那のすべてが表現できると思います。

好きな噺ですが、やるときはいつも噺と格闘しています。

 

 

六日目「五貫裁き」(6月26日)

この日から後半戦。

土曜日らしい陽気なお客様でした。

五貫裁きは兄弟子の歌武蔵に教えてもらいました。

歌武蔵兄さんには昔からかわいがってもらってます。

一緒に旅(巡業)に行った時にこの噺を兄さんが毎日かけていて、いずれ習いたいなを思っていました。

数年後に習って、私も色んなところでやっています。

今年の一月、東京落語会で五貫裁きをやって、その次が兄さんでした。

すれ違いざま兄さんが、

「いいなぁ、誰に習ったの?」

 

は?ゲッソリ

 

「いや、兄さんですよ!」

「え?俺か?そうだっけ(笑)

おいおい…(^^;

まあ照れ隠しなんでしょうが、お茶目な兄弟子のおかげで財産になった噺です。

 

 

七日目「匙加減」(6月27日)

この噺もよくやらせてもらっています。

地方の落語会で二席やるとき、「佐野山」「匙加減」というのが多いです。

五貫裁きも匙加減も講談ネタの大岡裁きで、この噺は琴調先生に教えていただきました。

琴調先生がやると格好いいんですが、私はなかなか・・・。

そこで自分なりに工夫して今の形になりました。

今ではおかげさまで得意ネタの一つです。

たくさんやっていますのでお客様に「またかこれかえー」と言われないように気を付けます。

 

9日目、千秋楽はまた後日!

お陰様で鈴本演芸場主任興行が無事終了いたしました。

ご来場いただいたお客様に厚くお礼を申し上げます。

ネタ帳とともに振り返ります。

 

初日「阿武松」(6月22日)

初日はやはりおめでたい噺がよかろうと阿武松に決めました。

二ツ目の頃に市馬師匠に教えていただきました。

一番初めに覚えた相撲噺がこれで、20年近くやらせてもらっています。

泡盛ならいい古酒(クースー)になっているでしょう照れ

阿武松は六代目の横綱、大変に待ったが多い力士だそうです。

「借金、もう少し待ってもらえませんかねぇ?」

借金取り「待った待ったと阿武松でもあるまいし」

と流行り言葉になったというくらいです。

落語の中では蛇含草の主人公やそば清さんと共に愛される大食いキャラです。

ちなみに前座さんの骨皮というのは金明竹の前半部分です。

 

 

三日目「ねずみ」(6月23日)

鈴本演芸場が月曜定休の為、初日が22日。

で、次の日が三日目となります。

去年は子年、この「ねずみ」をたくさんやろうと決めていたのですが、コロナの影響でなかなかできず・・・。

でもなんだかんだで去年4、5回はやりましたか。

今年もこれで2回目です。

元は浪曲ネタで浪曲師の廣澤菊春師から三代目桂三木助師がネタ交換した際に教わった噺です。

現小せんさんから教わりました。

寄席ではもちろん、地方の落語会でも喜んで頂けるありがたいネタです。

一度故郷大分でこの噺をやっていて下げ間際、お客さんの一人が

「猫かと思った、って言うよ!」

と落ちを言っちゃった・・・。

それは言わない約束でしょガーン

まあ、たまにこういう人がいるんです。

よい子は決してマネしないように。

 

 

四日目「御神酒徳利」(6月24日)

以前は土日によくこの噺をかけてました。

やはりお客さんがかぶっている(入りがいい)時にやると気持ちのいいものです。

最近は平日にやるのも楽しいです。

油断すると40分以上かかってしまう噺ですが、やはり寄席ではなるべく30分に収めるようにしています。

骨の折れる噺ですが、大変遣り甲斐があります。

演者によっては途中(神奈川宿)で終わってしまう型もありますが、私は大阪まで行く型です。

この噺は文治兄さんに教えていただきました。

ちなみにこの日の御神酒徳利、35分かかってしまいました。

 

そういえばこの噺をやりたての頃、50分くらいかかりました。

その時アンケートで、

「足の痺れは大丈夫ですか?」

というのがありました。

50分落語聞いて、感想はそれですかと・・・。

その時よりかはこの日のほうが出来が良かったと思いますウインク

 

 

続きはまた明日!

 

 

 

 

昨日は鈴本のトリの後、国立演芸場へ。

令和二年度花形演芸会贈賞式の司会+一席です。

ゲストだぜニヤリ

私が花形演芸会の金賞を戴いたのがもう六年、早いものです。

大賞が古今亭文菊さん。

金賞は滝川鯉八さん、神田伯山さん、菊池まどかさん、桂小すみさん。

銀賞が笑福亭べ瓶さん、春風亭昇也さん、鏡味仙成さん。

このメンバーだから楽屋も楽し!

楽しさがお客さんにも伝染して、爆笑の連続でした。

贈賞式前にみんなで一枚。

おめでとうございま~す爆  笑

 

 

 

 

 

いよいよ鈴本演芸場の主任興行が始まりました。

今日が初日です。

ブランチを食べながら(そんないいもんじゃないですけど)今日のネタの候補を考えます。

「今日はこれをやるぞ!」と決めても、前に同じような噺が出ていればできません。

候補を何席か挙げて楽屋に入ります。

まず客席の雰囲気を舞台袖から伺い、前座さんのつけたネタ帳をチェックします。

例えば正朝師匠が祇園会をやっている片棒は除外。

文蔵兄さんが目薬をやっているので尻餅はなし(もっとも師走ネタですからやりませんが^^;)

そんな感じでトリネタを決めていきます。

おっ、私の出囃子が鳴っています。

では行ってまいります。

 

 

私が高校生の時、大好きな水戸泉(現・錦戸親方)が優勝しました。

「ソルトシェイカー」の異名を取る個性は力士で、時間一杯になると大量の塩をバーッと撒きます。

そして自分の顔や胸をバチバチ叩いて気合を入れる!

で、コロッと負けることもままあり、テレビの前でずっこけたものです。

しかし右の上手を取ると十分で、無類の強さを発揮します。

 

どの時代にもソルトシェイカーはいるものです。

昭和30年代の若秩父(引退後常盤山親方)もその一人。

兄弟子の横綱若乃花に鍛えられ、19歳で小結に昇進します。

横綱大関昇進の期待も大きかったのですが、糖尿病等の影響で最高位は西関脇です。

この人が大量の塩で土俵を沸かせます。

塩などは 安いものだと 若秩父

という川柳ができました。

こういうのが粋でいいですね照れ

一方、同時代の出羽錦(引退後田子ノ浦親方)は塩を「ちょこっと」しか撒きません。

出羽錦 塩の値段を 知っている

これまたいい川柳ですね爆  笑

出羽錦さんは定年後、緒方昇(元北の洋)さんと共にNHKの解説でもご活躍でした。

塩を「ドバーっと」と「ちょびっと」との闘い、この二人の取り組みは大いに沸いたそうです。

 

ちなみに現在の東京場所の塩は伯方の塩を使用しているそうです。

 

 

 

 

いわゆる二時間ドラマというのが私は好きなんです。

私の実家は寿司屋でして、小学校の頃から夜はひとりで留守番をしていました。

平日は夜9時に寝るのが決まりでしたが、土曜日だけは何時まででも起きていていいというルールでした。

土曜日に遅くまで起きていると、夜食として寿司にありつけることが多々ありました。

当時夜7時から「まんが日本昔ばなし」「クイズダービー」「8時だよ全員集合」と9時まであっという間です。

問題は9時以降、しかも大分は当時民放が二局、NHK総合、NHK教育と四局しかありません。

そこで土曜ワイド劇場を見始めました。

当時の土曜ワイド劇場は

・トラベルミステリー(愛川欽也・三橋達也主演)

・江戸川乱歩シリーズ(天知茂主演)

・家政婦は見た(市原悦子主演)

・幽霊シリーズ(田中邦衛主演)

・牟田刑事官事件ファイル(小林桂樹主演)

・京都殺人案内(藤田まこと主演)

・混浴露天風呂連続殺人(古谷一行・木の実ナナ主演)

・高橋英樹の船長シリーズ(高橋英樹主演)

・美女殺しシリーズ(愛川欽也主演)

・金田一耕助シリーズ(小野寺昭主演)

・フレンド旅行社シリーズ(愛川欽也主演)

・密会の宿りシーズ(松尾嘉代主演) などなど

とても小学生が観るものではありませんキョロキョロ

ちなみに大分では火曜サスペンス劇場(火サス)は数日遅れの土曜の昼にやっていたので観ていませんでした。

まずオープニング、トラウマになりそうなほど当時は怖かった。

と同時にこれから始まるドラマへの期待感でワクワクしました。

小学生の頃は人間関係や犯罪の動機など難しくてわからない事が多かったような気がします。

あとちょっとHなシーンも・・・・。

しかし最後の30分でトリックを暴き犯人に手錠をかけるシーンを見ると胸がスーッとしたものです。

やな子供だなぁグラサン

あれから35年、二時間ドラマ愛はまだまだ続いています。

これからも少しずつブログに書いていこうと思います。

今出演中の末廣亭、私の前はペペ桜井先生です。

昔と変わらぬ芸を観せて下さる先生の高座を毎日楽屋で聞くのが楽しみです。

さあ、ペペ先生が高座に上がると立前座が「お後をお願いします」と言ってネタ帳を出します。

昼の部から出ている噺の題名がすべて書かれています。

これから2、3分くらいで着替えて、ネタ帳を見ながらこれからやる噺を考えます。

高座に通じる扉の手前に次に上がる人間の名札が置かれます。

右奥がその扉、左にいるのがお囃子さん。

お囃子さんに次の出番が誰かを知らせると共に、高座返しの前座さんが名札を間違えないようにという確認にもなります。

ちなみに次の出番の出演者がまだ楽屋に入っていないと、この名札が出されません。

そうすると前の出番の人がその時間を繋ぐわけです。

で、ようやくその後の出番の人が楽屋入りして、着替えて支度ができると今度は扉を開けて名札を高座の入り口に置きます。

そうすると今高座に上がっている人は支度ができたとわかる訳です。

これは寄席によって連絡の仕方が変わります。

いまあまり高座で繋ぐ事は少なくなりましたが、私が前座の頃はよくありました。

まだ携帯が普及していない時分、連絡のつけようがないんです。

いつか来ると信じて師匠方に「繋ぎ」を頼むんです。

大御所の師匠に頼むときは恐る恐るですが、皆さん快く引き受けて下さいました。

その代わり遅れて来た人が後輩だった場合は高座を下りて一言。

「いい芸人になったなぁニヤリ

もう後輩は平身低頭、もちろんシャレですがね。

そういうのも楽屋の楽しみでした。