今出演中の末廣亭、私の前はペペ桜井先生です。
昔と変わらぬ芸を観せて下さる先生の高座を毎日楽屋で聞くのが楽しみです。
さあ、ペペ先生が高座に上がると立前座が「お後をお願いします」と言ってネタ帳を出します。
昼の部から出ている噺の題名がすべて書かれています。
これから2、3分くらいで着替えて、ネタ帳を見ながらこれからやる噺を考えます。
高座に通じる扉の手前に次に上がる人間の名札が置かれます。
右奥がその扉、左にいるのがお囃子さん。
お囃子さんに次の出番が誰かを知らせると共に、高座返しの前座さんが名札を間違えないようにという確認にもなります。
ちなみに次の出番の出演者がまだ楽屋に入っていないと、この名札が出されません。
そうすると前の出番の人がその時間を繋ぐわけです。
で、ようやくその後の出番の人が楽屋入りして、着替えて支度ができると今度は扉を開けて名札を高座の入り口に置きます。
そうすると今高座に上がっている人は支度ができたとわかる訳です。
これは寄席によって連絡の仕方が変わります。
いまあまり高座で繋ぐ事は少なくなりましたが、私が前座の頃はよくありました。
まだ携帯が普及していない時分、連絡のつけようがないんです。
いつか来ると信じて師匠方に「繋ぎ」を頼むんです。
大御所の師匠に頼むときは恐る恐るですが、皆さん快く引き受けて下さいました。
その代わり遅れて来た人が後輩だった場合は高座を下りて一言。
「いい芸人になったなぁ」
もう後輩は平身低頭、もちろんシャレですがね。
そういうのも楽屋の楽しみでした。