オンタリオ州にいた間、クラッピーに始まってその時々でマイブームとでも言うべき魚がいたが、2004 年の真夏は寝ても覚めてもムーンアイだった。とにかく日本ではまず見られないそのスタイルに強く魅かれ、ぜひこの手で釣ってじっくりと眺めてみたいと強く思った。
情報によると、グランドリバーのカレドニア周辺で釣れるらしかった。早速私は何度かカレドニアの堰に通った。グラスミノーやミミズで狙ったが、スモーリー (スモールマウスバス) は釣れたものの、ムーンアイは空振りに終わった。本当にその場所にムーンアイがいるのかさえわからない上に、専門に狙う人もほとんどいないので、どういう攻め方をすれば一番いいのかもわからず、雲をつかむような感じだった。
そんな中、インターネットで検索しているうちに、カレドニアのちょっと下流でフライでムーンアイを釣ったというレポートに当たった。しかもこれはムーンアイを狙って釣ったものだった。これだ！と思ったが、当時私はまだフライフィッシングを始めていなかった。そこで、日本からハヤの毛針セットを取り寄せ、ホリデー白糸と組み合わせた。この毛針セットは一番上に飛ばしウキがあり、一番下の毛針の上に玉ウキが付いているものだった。オンタリオ州では使えるハリの本数が４本までだったので、１本おきに枝バリを切った。
毛バリ釣りは昔オイカワでやって以来 20 年以上離れていたので、まずは練習にと近くのグランドリバーへ出かけて瀬で振ってみた。するとコモンシャイナーがちゃんとヒットしてくれたのでひとまず安心した。
そして 2004 年の８月中旬、満を持してポイントに向かった。まだ夕マズメのライズまでには時間があったので、チェストハイウェーダーを履いて対岸まで行く間にスモーリーやロックバス、パイクなどをルアーで釣って時間をつぶした。手にはルアーロッド、背中にはホリデー白糸といった出で立ちだった。
そうしているうちに夕立がやって来た。夕立と言うよりは短いシャワーだった。それを岸でやり過ごすと、いよいよ夕マズメのライズが始まった。毛バリ仕掛けを手にすると、一番近いライズを探した。ムーンアイは群れでライズするので見つけやすかった。
少し沖の方でライズが見え始めたので、すかさず近くまで行き、ライズの真ん中へキャスト。上のウキ付近で魚が反転しウキが大きく揺れたが乗らず。間髪入れず再キャスト。ライズは続いているが、毛バリに食いついているのかどうかはウキを見る限りではわからない。それにウキが動いてからアワセてもかからないので、毛バリ付近で魚の反転が見えた時点でアワセてみたところ、かかった！
上流に向かって２尾が走り出した。きっと４本ある毛バリのうちの２本に同時にかかったんだろう。でも下の方の魚はすぐにバレた。だが上の魚はまだついている。やった、銀色の平たい魚体。間違いない、ムーンアイだった！ すかさず左腰につけていたネットをつかみ、腰を落として慎重にやり取りしながら、ゆっくり寄せた後、魚がネットに吸い込まれた。ゲットー！！やったー！ついに釣った！
ムーンアイをネットに入れたまま岸に置き、メジャーと竿を置いて写真撮影。ついにこの瞬間が来た。感無量。それに狙いが当たって釣れたからなおうれしかった。毛針セットの日本からの入手。コモンシャイナーを相手の試釣、ネットでの情報検索、全ての準備が見事に功を奏してのこの１尾だった。22.5 センチあった。実は一番下の毛バリを白いメイフライに替えていたのだが、食いついていたのはメイフライではなく、黒い羽に赤いボディの毛針だった。暗い中目立つ金色の留め金がよかったのかもしれない。
初めて釣ったムーンアイ
可憐な古代の妖精といった感じだ
ムーンアイはアロワナ上目ヒオドン目ヒオドン科ヒオドン属の魚で、アロワナの仲間の古代魚なのだ。たしかにそう言われれば、ひれの位置などにサザンサラトガの小型の個体なんかと共通点がある。
舌に歯が生えているのが特徴。大中河川の速い流れや、澄んで深いプールやバックウォーター、および湖に生息。最大全長 47 センチ。群れで行動し、無脊椎動物を食べている。カナダではケベック州の一部とオンタリオ州からアルバータ州にかけて分布。 現地ではムーナイと発音されるが、ここでは名前の意味がより直感的に伝わるようにムーンアイとした。
アルバータ州レッドディアーリバーで 2007 年８月にメイフライで釣ったムーンアイとその近影（同一個体）
2012 年７月にアルバータ州レッドディアーリバーで釣ったムーンアイ
同個体の近影と舌上歯のアップ
ムーンアイのハビタット。オンタリオ州グランドリバー。
情報によると、グランドリバーのカレドニア周辺で釣れるらしかった。早速私は何度かカレドニアの堰に通った。グラスミノーやミミズで狙ったが、スモーリー (スモールマウスバス) は釣れたものの、ムーンアイは空振りに終わった。本当にその場所にムーンアイがいるのかさえわからない上に、専門に狙う人もほとんどいないので、どういう攻め方をすれば一番いいのかもわからず、雲をつかむような感じだった。
そんな中、インターネットで検索しているうちに、カレドニアのちょっと下流でフライでムーンアイを釣ったというレポートに当たった。しかもこれはムーンアイを狙って釣ったものだった。これだ！と思ったが、当時私はまだフライフィッシングを始めていなかった。そこで、日本からハヤの毛針セットを取り寄せ、ホリデー白糸と組み合わせた。この毛針セットは一番上に飛ばしウキがあり、一番下の毛針の上に玉ウキが付いているものだった。オンタリオ州では使えるハリの本数が４本までだったので、１本おきに枝バリを切った。
毛バリ釣りは昔オイカワでやって以来 20 年以上離れていたので、まずは練習にと近くのグランドリバーへ出かけて瀬で振ってみた。するとコモンシャイナーがちゃんとヒットしてくれたのでひとまず安心した。
そして 2004 年の８月中旬、満を持してポイントに向かった。まだ夕マズメのライズまでには時間があったので、チェストハイウェーダーを履いて対岸まで行く間にスモーリーやロックバス、パイクなどをルアーで釣って時間をつぶした。手にはルアーロッド、背中にはホリデー白糸といった出で立ちだった。
そうしているうちに夕立がやって来た。夕立と言うよりは短いシャワーだった。それを岸でやり過ごすと、いよいよ夕マズメのライズが始まった。毛バリ仕掛けを手にすると、一番近いライズを探した。ムーンアイは群れでライズするので見つけやすかった。
少し沖の方でライズが見え始めたので、すかさず近くまで行き、ライズの真ん中へキャスト。上のウキ付近で魚が反転しウキが大きく揺れたが乗らず。間髪入れず再キャスト。ライズは続いているが、毛バリに食いついているのかどうかはウキを見る限りではわからない。それにウキが動いてからアワセてもかからないので、毛バリ付近で魚の反転が見えた時点でアワセてみたところ、かかった！
上流に向かって２尾が走り出した。きっと４本ある毛バリのうちの２本に同時にかかったんだろう。でも下の方の魚はすぐにバレた。だが上の魚はまだついている。やった、銀色の平たい魚体。間違いない、ムーンアイだった！ すかさず左腰につけていたネットをつかみ、腰を落として慎重にやり取りしながら、ゆっくり寄せた後、魚がネットに吸い込まれた。ゲットー！！やったー！ついに釣った！
ムーンアイをネットに入れたまま岸に置き、メジャーと竿を置いて写真撮影。ついにこの瞬間が来た。感無量。それに狙いが当たって釣れたからなおうれしかった。毛針セットの日本からの入手。コモンシャイナーを相手の試釣、ネットでの情報検索、全ての準備が見事に功を奏してのこの１尾だった。22.5 センチあった。実は一番下の毛バリを白いメイフライに替えていたのだが、食いついていたのはメイフライではなく、黒い羽に赤いボディの毛針だった。暗い中目立つ金色の留め金がよかったのかもしれない。
初めて釣ったムーンアイ
可憐な古代の妖精といった感じだ
ムーンアイはアロワナ上目ヒオドン目ヒオドン科ヒオドン属の魚で、アロワナの仲間の古代魚なのだ。たしかにそう言われれば、ひれの位置などにサザンサラトガの小型の個体なんかと共通点がある。
舌に歯が生えているのが特徴。大中河川の速い流れや、澄んで深いプールやバックウォーター、および湖に生息。最大全長 47 センチ。群れで行動し、無脊椎動物を食べている。カナダではケベック州の一部とオンタリオ州からアルバータ州にかけて分布。 現地ではムーナイと発音されるが、ここでは名前の意味がより直感的に伝わるようにムーンアイとした。
アルバータ州レッドディアーリバーで 2007 年８月にメイフライで釣ったムーンアイとその近影（同一個体）
2012 年７月にアルバータ州レッドディアーリバーで釣ったムーンアイ
同個体の近影と舌上歯のアップ
ムーンアイのハビタット。オンタリオ州グランドリバー。