ゆうきの話 -99ページ目

夢40

そこは、何も無い砂漠だった。
宇宙を旅して数億光年、あるひとつの小さな星にたどり着いた。
宇宙の果てではないが、確かにまだ誰も着たことの無い星、それがこの砂漠の星だった。
この星に植物を植えて、動物を育てて見たいと思った。
この前手に入れたナッツを砂に植えて、空にコショウを撒くと、大きなくしゃみと共に涙のような雨が降り出した。
それが次第に集まって海となり、そこから雲が生まれた。
そのくもがやがて集まり、稲光と共に大粒の雨を降らす。
何日も大雨が続き、ようやく晴れ渡った頃には大地は植物に覆われていた。
そして、空に架かった虹に乗って、幾種類もの動物たちがやってきた。
あるものは海へ、またあるものは森の奥深くへと向った。
それから月日が流れ、すっかり自然豊かな惑星に進化した頃、私はここに一軒の小屋を建てることにした。
それは海の貝殻と、森の落ち葉を混ぜて壁にして、木の柱とヤシの葉の屋根で創った。
窓には砂の中から掘り出した水晶を薄くして磨いてはめ込んだ。
夜になると森の奥から蛍たちが飛んで来て辺りを照らした。
そこで私は300年暮らした。
たぶんそれくらいだ。
そして、ようやくそこから旅を再開したくなった。
なぜならそろそろ人間がここにやってきそうだったからだ。
先日、上空を宇宙船が飛ぶのを見た。
あれは前にも見たことがある、ロケットと飛行機を混ぜたような外見の宇宙船だ。
この星を調査して、そしていずれここに移住してくるだろう。
そうなるとそろそろ私はここを旅立ちたくなるわけだ。
もしかしたら私のような知的生命体が昔の地球にやってきて、そして去っていったのかもしれない。
だとすればこの宇宙は生命に満ち溢れているはずだ。
旅人はいずれそこを離れたくなってくるものだからだ。
そして次の地を求め、見つけてはまた旅立つ、そうして無限の時間の下に無限の宇宙のたびをする。
宇宙船に乗り込む。
久々にエンジンに火を入れるが、何の問題もなく動き出す。
そういえばあの青い鳥はどこにいるのだろうか。
そう思ったが、船の舳先にじっと止まっていた、たぶん数百年。
時計の回転などは意味が無い世界に生きている。
時計の針の回転は、ただの回転運動に過ぎない。
無限に回転しても、その場を動くことも変化することも無い。
昔の人は時間の本質を見抜いていて、回転するだけで決して移動も変化もしない装置を時間を知るものとして創り上げたに違いない。
人間の思考は時間の外にあり、自由に変化できるし、無限の時を同時に知ることが出来る。
空間は不動であり変化しないものだと考えている者もなぜか時間だけはうごめいているかのように感じるらしい。
時間はただひたすらに存在するのみであり、動くことはない。
時の流れとは人間の意識が生み出した主観的な感覚に過ぎない。
時間が何処かから生まれて川のようにどこかに流れ去ってゆくものだと信じているうちは宇宙の謎など到底理解できない。
一粒の水滴が落ちるのは、私が水滴が落ちる前の時間の次に水滴が落ちた時間に移動して見ているからだ。
つまり動いているのは時間ではなく意識のほうなのだ。
意識とはエネルギーであり、空間や時間はそれを伝える媒体に過ぎず、それ自体は動かない。
正確には、空間は物質と言うエネルギーを伝播させる媒体であり、時間とは意識というエネルギーを伝播させる媒体である。
意識が時間に作用して物質を変化させる、だから宇宙がここにある。
だからこそ宇宙の果てには他の世界が広がっている、他の存在の淵に触れることが出来る、そんな気がしてならない。
宇宙船は音もなく今は静な星を離れた。


夢39

時間はライブラリにしまわれたビデオテープのようなものだ。
ライブラリのテープは過去のものも未来のものも簡単に見ることがきる。
宇宙は時間のライブラリだ。
時間は一方通行のように思われるが、本当はビデオライブラリのようにすべての時間は平行に並んでいる。
それを順番に見ているのであたかも時間は過去から未来へと一方通行しているように見えているだけだ。
だが、本当はこのライブラリは自分の思うままに見たい順番で見ることができる。
その方法を知るものは多くは無いが、それを知ることができれば、時間も空間と同じ単なる座標に過ぎなくなる。
一歩過去へ歩けば過去へ行き、未来へ歩けば未来へ行くことができる。
宇宙の生まれる前の別の世界へもただ一歩足を踏み出すだけで行くことができる。
この宇宙の終わりへも、公園へ散歩するよりも簡単に行く事ができる。
宇宙の果てを見届けたら、今度は時間の旅をしみようと思う。
その方法は今のところわからないが、きっとこの宇宙のどこかにそれを知る者がいるはずだ。
も知る人がいなくても、その方法を何処かで見つけ出すことが出来る気がする。
無限の石段を踏みながら、次第に山頂の寺へと近づく。
何時間歩いただろうか、山頂が見えて来た。
そこには古びた寺が建っている。
ここに来るまでに見た建物よりも遙かに古いもので、住職の話によると、この世で一番古い寺だと言う。
そして、ここで願い事をすると、何でも叶うという。
ただ、時間の指定は出来ないので、それがいつ実現するかはわからない。
ただ、必ず叶う。
私はこの旅の成功を願った。
寺の境内には、沢山のウサギが住んでいる。
ここではにんじんが餌として売られている。
一本与えてみる。
10匹ほどのウサギが寄ってきて、あっという間にニンジンを食べつくしてしまった。
なぜウサギはニンジンが好きなのだろうか。
大根やキャベツでも普通に食べるが、なぜかニンジンが好物と言うことになっている。
その事について、寺の隅の看板に説明書きがあった。
それによると、むかし、ウサギはニンジンが嫌いだったのだが、ニンジンが体に良いという口コミが広がって、それからウサギがニンジンを食べるようになったという。
本当か嘘かわからない話だ。
猫が魚を好きなのも理由があって、あれは魚を食べると水の中で呼吸ができるようになると言う迷信によるという。
猫が水を嫌いなのは、昔海で溺れた為で、それを魚を食べることで克服しようとしているらしい。
他にも色々な話が境内の各所看板に書かれている。
ツキノワグマの月の輪は黒猫の首の部分の白い模様に憧れた為だとか、スズメが電線に止まるのは磁力で血行促進を図っているのだとか・・・。
この話を詳しく説明していたら、一冊の本が出来上がるほどだが、今は旅を続けよう。
この寺はどうやら動物が色々いるらしい。
寺の奥の森からフクロウの鳴き声が聞こえてくる。
フクロウが羽ばたく。
そして地面に急降下したかと思うと、何かを掴んで飛び上がった。
その足には一匹の野ねずみが捕まれていた。
フクロウは枝に止まりそれを食べ始める。
しかし、不思議なことに、野ネズミは見る見る固まってゆき、あっという間にクッキーのようになってしまった。
寺の中では殺生は禁じられているので、フクロウも野ネズミを殺すことは出来ないのだと住職は言った。
変わりに野ネズミはクッキーに姿を変えて、それをフクロウが食べて生きるというわけだ。
植物を食べることも殺生に当たるのではないかと思ったが、植物は基本的にクローンなので、その種を絶滅させない限り殺すことにはならないのだという。
寺を後にした私は、この寺のある立方体から宇宙船に戻ると、再び舵を果てへと切った。
mori

夢38

真空管ラジオを聴きながら宇宙の船旅を楽しむ。
色々な放送が流れている。
今日の音楽、スポーツ速報、近所の星のニュース。
今日の音楽は18世紀の地球の音楽だ。
突然音楽が中断される。
臨時ニュースが入る。
どうやらこの周辺に未確認の宇宙船が存在するという。
人間が今まで接触した事の無い未知の宇宙船だと言う。
それがこの船に接近している。
いよいよそれが肉眼で確認できるようになった。
その船は、立方体だ。
凹凸も無い、ただの立方体。
全体が黒く、反射がほとんど無い。
全ての光を吸い込む、完全な黒体だ。
入り口も無ければ窓もない。
それがこの船の目の前でぴたりと停止した。
こちらもその場に停止してしばらく様子を見ることにする。
ラジオではこの謎の宇宙船についての情報が繰り返し流れている。
敵意は無いようだが、どのように接してよいかもわからない。
しばらくじっとしているが、このままでいても仕方ないので、あちらの船にさらに接近してみる。
手が届きそうなほど接近したところで、表面の色が変化を始めた。
黒かった表面が徐々に白くなってきた。
そして、見る見る明るくなり、眼を向けられないほどの光を放ち始めた。
徐々に光は落ち着き、何かの映像が表面に映し出されているようだ。
それは、どこかの山の奥の寺のような場所だ。
手を伸ばしてみると、その映像のようなものの中に手が入る。
そして全身がその中に入り込むことが出来た。
そこは、どこか山奥の寺のような場所だ。
おそらく日本の寺と同じものだろう。
ここがどこかはわからないが、何と無く懐かしい感じがする。
この寺は山の斜面に設置されており、観光客がけっこうみられる。
長い階段を上ると、巨大な杉の横の広場に出た。
そこでは、出店があって、いくつかの食べ物などが売られている。
たこ焼きを買って食べる。
宇宙の真ん中でこんなたこ焼きを、しかも寺にある広場の出店で食べられるとは思っても見なかった。
たこ焼きを食べると、広場を見回してみる。
人が何人かいるが、皆無口だ。
一人の老人が私に話しかけてきた。
この山の頂上にある寺からの眺めはとても良いから是非見てみると良い、とのことだった。
山頂まではここから数キロはあると言う。
その途中には様々な建物があり、どれも歴史的な建造物だ。
その中のひとつに入ってみる。
中には仏像か一体座っていた。
それは、今まで見たことの無いような、それでもどことなく見覚えがあるような仏像だ。
奈良や鎌倉にある大仏がよく似ている。
ただ、黄金色に輝いている点だけが違う。
おそらくこれは創られて間もない仏像なのだろう。
それをしばし眺める。
周りにも何人かの人がいて、見とれていた。
建物の外では、絵葉書を売っている。
一枚をにとって見る。
そこには奈良の大仏の写真が印刷されている。
他にも鎌倉の大仏なども売られている。
何枚かの絵葉書をお土産に買って、山頂を目指して再び階段を上る。
深い森を石の階段がどこまでも続く。
時間は午前中、薄い霧が漂い、湿った空気が体を取り巻く。
森の空気を吸い込みながら軽快に石段を登り続けた。


夢37

空港の売店で買ったナッツを食べながら舵を切る。
缶に入ったナッツの中には、見たことも無い不思議なナッツが色々と見られる。
紫色の勾玉のような形のナッツは、食べると果物のような味がした。
そしてそれを飲み込むと、体が軽くなる気がする。
缶のラベルに空気豆と言う名前とともに写真がのっている。
やはりナッツは良い。
ジャイアントコーンはナッツでは無いがなぜかナッツの詰め合わせに入っているのかは謎だが、これくらいの謎があったほうか楽しい。
ナッツは木の実を指すそうだがピーナッツは明らかに木ではない。
もっとも、木や草の分類は人間が勝手にしただけで、全て生き物であることでは同じだ。
ピーナッツもジャイアントコーンもナッツ缶に入る資格は十分あるし、私もナッツくらいの大きさならば入ることも出来ただろう。
要はナッツ缶に入る大きさならばなんでもいいのだ。
もちろん食べて美味しくなくてはならないが。
そう言う意味では私が小さくなってもやはりナッツ缶には入らないほうが良いだろうか。
ナッツといえばカシューナッツとピスタチオは是非入れて欲しい。
マカデミアナッツも良いがあれはいささか高価だ。
それにマカデミアは風味が穏やかな気もする。
そんな事を考えながら缶の中を覗くと、ピスタチオが一粒見つかった。
しかも、割れていないピスタチオだ。
ピスタチオの殻を農家の人が一粒ずつ手作業で割っているのを見たことがあるが、これは割り忘れたのだろう。
となるとこれを食べるのは恐ろしく困難だ。
歯で噛み砕くことはたぶん無理だし、トンカチなど持っていない。
何か硬いものを探してそれで叩き割ることにする。
船の中を探ると、どこからか落ちてきた流星のかけらが甲板に転がっていたのでそれを使うことにする。
それをテーブルの上において流星を思い切り振り下ろす。
見事ど真ん中に当たり、ピスタチオの殻は真っ二つに割れた。
それと同時に流星のかけらも割れてしまった。
するとそのかけらの中から透明な結晶が現れた。
おそらくこれはダイヤモンドに違いない。
コブシほどの大きさのあるダイヤモンド、これで糖分ナッツを砕く道具に困らない。
炭素原子もダイヤモンドになったり墨になったり実に色々な顔を持っている。
物質とは案外変化が激しい。
本当は実体など無くて、フリをしているだけなのかもしれない。
ダイヤモンドのフリ、炭素原子のフリ、素粒子のフリ、宇宙のフリ、私のフリ。
実体などなく、全ては仮の姿であり、全てが全てとなりうる。
だからカシューナッツもピスタチオの殻もダイヤモンドもみんなピーナッツと言うことだ。
しかし、ピーナッツのフリをしていないダイヤモンドを食べるには骨が折れる、いや、歯が折れる。(まぁ、歯も骨なのだろうが・・・。)
色々なナッツを食べていると何かのみ物が欲しくなる。
私は酒を飲まないので、もっぱら清涼飲料と言うことになるが、やはり砂糖の入っていない物が良い。
砂糖は必要だが採り過ぎはよくない。
と言うことでこのナッツと共に先ほど空港で手に入れた「茶」をのむ。
茶を飲みながらナッツを食べて一人宇宙を漂う、何というスペクタクルな贅沢だろう。
贅沢な時間、言うことの無い景色、素晴らしい孤独の時間、やはり旅はいい。
青い鳥が飛んで来て一声鳴いた。
すると上のほうから流星が飛んで来て甲板に落ちた。
それに近づくとそれはラジオだった。
真空管がむき出しになっている。
古道具屋くらいでしか見ない、今まで使ったことが無いほど大昔のものだ。
スイッチを入れるとちゃんと音が聞こえてくる。
それはどうやら何かのニュースらしい。
ボリュームを上げてみる。
ニュースによると、これからしばらく流星群が周辺を通過するらしい。
しかもこのラジオは私のこの船の周辺の出来事をニュースとして伝えるらしい。
他にも異性人の宇宙コロニーが近くにあるとか、そこでは住宅を分譲中だとか、夏祭りが開かれているとか、そんな話題を延々と話している。
これはなかなか面白いものを手に入れた。
これを聞きながら進めば面白い出来事を逃さず遭遇できそうだ。
甲板に寝転んで流星群の到着を待ちながら、ラジオから流れるバロック音楽を聴いた。

夢36

この星を離れるために宇宙空港へと向う。
そこは、数多くの宇宙船が離着陸をしており、その多くはこの星へやってくる観光客を乗せた船だ。
この星は原始の自然が保たれているので、その観察ツアーが人気なのだ。
この星を離れるための宇宙船を探す。
空港の隅に、見慣れた船を発見した。
それは紛れも無く今まで乗っていた水面を進む船の形をした宇宙船だった。
空港を管理している人間によると、この船は、この空港ができる前からここにあり、誰ものかはわからないという。
もちろんこの船は紛れも無く私の船だ。
その証拠にあの青い鳥がいる。
宇宙で見つけた青い鳥、それが相変わらず舳先に止まっている。
船に乗り込み、いよいよエンジンに火を入れる。
音も無くゆっくりと地面を離れ、数秒後には大気圏を離れていた。
宇宙コロニーの横を通り過ぎ、月を超えていよいよ宇宙空間へと飛び出した。
この星の周囲は、比較的交通量が多く、様々な宇宙船を見ることができる。
さすがに船の形をした宇宙船は無いが、アダムスキー型と呼ばれるUFOにそっくりなものや、葉巻型、SFに出てくる進化したロケットの様なモノもある。
まさに宇宙船の博物館のようだ。
しばらく進むと宇宙船もまばらになり、広大な宇宙の雰囲気を満喫する。
宇宙は広く、そのほとんどの空間には何も無い。
その中にある星のかけらも、ほとんどが空っぽだ。
星と星との間には僅かだがいろいろな物が浮いている。
人工物も時々浮かんでいる。
今横に浮いているのは、一台の車だ。
見たことも無いような古いタイプの車で、シルクハットを被った紳士が降りて来そうだ。
新品同様に輝いているが、もちろん誰も乗ってはいない。
それに船を横付けして、乗り込んでみる。
車の運転方法はわからないが、何と無くハンドルを握ってみる。
ハンドルは固定されていて動かない。
アクセルやブレーキも踏み込むことができない。
この車はおそらく模型のようなものだろう。
なぜこれがここに浮いているか、全くわからないが、宇宙は広いのでこんな物が浮いていてもおかしくは無いと、何となく思った。
たぶん宇宙には、人間の想像したあらゆる物が存在している。
今ではないかもしれないし、未来かも、過去かも知れないが、人間の想像したものはそのどこかに必ずあるはずだと感じている。
だから、宇宙の果てには、人間の創造したあらゆる物が流れ着いているかもしれない。
ならばそこは、人間の思考の産物が無数に溜まっている、実体化した人間の精神そのものだろう。
宇宙の果てには実体化した人間の精神が存在する。
実体化した精神は長い年月をかけて宇宙の果てに流れ着き、そこで別の宇宙を生み出しているのかもしれない。
別な宇宙は人間の精神を元に造られる。
その宇宙ではまた人間のような知的生命体が生まれ、その意識・精神がまた実体化して宇宙の果てに溜まって別の宇宙を生み出す。
こうして宇宙は意識によって無限に生み出され続ける。
今旅をしているこの宇宙も、知性が生み出した無数の宇宙のうちのひとつに違いない。
宇宙を生み出した創造主がいるとすれば、それは知性、個々は我々と変わらない知性の集合体こそが創造主であろう。
私は創造主の存在は否定も肯定もしないが、いてもおかしくないし、いないかもしれない。
その宇宙の中にいる私にはその外のこと、つまり「あの世」のことは想像を絶する。
勝手に夢想する事はできても、それを証明することなど不可能だ。
道端の石ころが、どういう経路を通ってそこまで来たかを知る術がないのと同じである。
たぶんビッグバンと呼ばれる現象も「あの世」の知性の想像によるものかもしれない。
「爆発から宇宙が始まるのもいいな」などと誰かが考えたので、我々の宇宙がそれから始まったのかもしれない。
ならば私の想像も、他の宇宙を生んでいるのかもしれない。
毎晩夢を見るたびに新たな宇宙が生まれている。
眼が覚めると記憶からは消えてしまうが、この宇宙とは違う宇宙を生み出す。
それが無限に広がって、その宇宙の中から生まれた知性の見る夢がまた違う宇宙を生み出す。
宇宙の果てには何がある、宇宙の果てには自分がいる。
果ての向こうの別の宇宙を夢を見ながら創っている。
その自分に会いに行こう。
旅の目的がまた一つ増えた。



浜太郎

浜離宮には、浜太郎と言う雁がいるそうです。

今度遇いに行きたいです。


夢35

草原を散歩していると、草の陰に光るものを見た。
屈んでそれを拾い上げると、それは一枚の金色のコインだった。
どこかの国の貨幣かもしれないが、数字らしきものも、見たことのある文字もかかれてはいない。
ただ、何らかの記号が掘り込まれていて、でもそれは見たことも無いいろいろな図形を組み合わせたような記号だ。
全く意味がわからないが、それがおそらく高価なものであろう事は、何と無く感じられた。
そのコインをポケットにしまうと草原を歩き続ける。
草原にはいろいろな虫が鳴いている。
こおろぎや鈴虫など、聞きなれた虫の声のほかにも、聞いたことの無いような、不思議な声も聞こえる。
その声はまるでコンピュータで合成したような、ちょうどファミコンの音楽のような音で鳴いている。
それでも違和感無く、他の虫の声と溶け込んでいる。
草原をかき分けて、その虫の正体を探ってみることにする。
声の聞こえるほうを探ると、そこに金属光沢をした鈴虫のような外見をした虫がいた。
捕まえてみたが、相変わらず手の中でなき続けている。
それは、まるで何かの音楽を演奏するように、メロディーを奏でている。
しばらくそれを聞いていたが、そろそろ夕暮れ時になったので、足早にこの草原を後にする。
草原の向こうには小さな川が流れていた。
川の横の草原には蛍が飛んでる。
ちょうど夕暮れ時から夜に向う時、蛍が光飛び始める。
その蛍は、黄色、オレンジ、赤、青、そのほかにもいろいろな色の光で光っている。
先ほどの金属色の虫をそこはなすと、今度は蛍が周りを飛び交い始める。
まるで先日深海で見た光る魚のようだ。
それにしても、ここは見たことも無いほどの数の蛍が飛んでいる。
ここはかなり自然が豊かで、蛍だけではなく、あらゆる生物が大変に繁栄している。
何気なく空を見ると、満天の星空の中に、ちょうど月ほどの大きさに見える人工物が浮かんでいる。
おそらくあれはコロニーと呼ばれるものであろう。
あそこに人間が沢山住んでいるはずで、そのおかげでこの星自体には人間の数がそれほど多くは無い。
やはり人間が密集しすぎるというのは自然にも人間にもよくないようだ。
虫も多すぎると、イナゴの大群のように植物を食い尽くしてしまい、自然を破壊して結局自滅する。
宇宙にはこれほど多くの星があるのに、なぜ人間はいまだにちっぽけな地球にへばり付いて生きているのだろうか。
天に光る星星のひとつにでも行き着くことが出来たならば、きっと素晴らしい未来が待っているはずだ。
そんな星を探して住もう、そこを自然溢れる豊かな土地にしよう。
結構長いこといろいろな地を見てきたが、まだ無数の町が、星が、宇宙があるに違いない。
川辺に寝転がり、星空を眺めながら、明日の予定をボーっと考えながら、そのまま眠ってしまった。
翌朝、朝露で眼が覚める。
そこは、昨日の夜とは一変していた。
と言っても、植物自体はある。
ただ、草原の横の川だったはずが、深い森となっていたのだ。
眠っているうちにまた時間が経過して、草原が森林へと変わったようだ、
樹齢数千年の巨木が何本も見える。
川も、更に澄んでいて、水量も多くなっている。
今度は虫の声ではなく、鳥の声が聞こえてきた。
また、動物の鳴き声も時折聞こえた。
ただ、人間の気配は全く無い。
まだ人間が存在するのか、それすらわからない。
空を見上げてコロニーが在るか確かめたが、夜が明けていて肉眼では確かめられなかった。
とにかくこの森を抜けて自分の小屋に帰ることにする。
昨日来た道を引き返す。
深い森を抜けると、人間の姿があった。
ただ、昨日見たよりも明らかに原始的な姿をしている。
もしかしたら、一度文明が滅んでしまってそれから復活して原始的な生活に戻ったのかもしれない。
洋服も、動物の毛皮や、粗めの布で作られた簡単な服だ。
町らしきものに出る。
町と言っても、木や草で作った小屋が何軒かあるだけの小規模なものだ。
その中で、長老と呼ばれる人の家に向った。
長老の家は、他の家よりも幾らか立派ではあったが、金属やコンクリートの類は一切使われていない。
扉の無い入り口をくぐると、長老が快く迎えてくれた。
そして、私が一晩眠っていた間のことを詳しく聞くことが出来た。
この星は、次第に高度な科学文明を否定する人々が集まり始めて、今いるこの島はそういった自然と共に暮らす人々の集まる島となった。
高度な科学文明を肯定する人々は徐々にこの星から離れて宇宙コロニーや他の惑星に移民し、ついにはこの星は原始の民の星となった。
森林も人間の手が入らなくなると徐々に深くなり、人間の立ち入らない原始の森がこの星を覆いつくした。
動物も増え続け、もはや人間は地上の支配者では無いという。
この星を離れたければ、その為の空港はまだ機能しているのでそこへ行くと良いという。
この星はまさに理想的な場所ではあるが、まだ宇宙の旅も続けたい、そこでここは別荘としておいて、宇宙の旅を続けよう。



夢34

海底探検、これは、アトラクションである。
人工現実を活用したアミューズメントであった。
しかし、この中で得た情報は本物であり、恐竜書庫にも外部からでも相変わらずアクセスできる。
人工現実内部の事象はある意味現実と変わり無く、そこで起きていることは外部の現実世界にも影響する。
時間の経過速度がまた速くなってきた。
早いところ家へ帰ろう。
何とか家にたどり着くと、中に入り、窓から外の様子を眺めることにした。
あっという間に都市は変化し、ますます高度化されていく。
しかし前よりもずいぶんと穏やかな感じになり、自然と調和をした都市へと変わっていく。
建物の数も減り、行き交う人間の数も少ない。
おそらく何らかの理由で住む人の数が減ったのだろう。
時間がまた普通の速度で流れ始める。
ここは先ほどの都市からは数千年経過しているようである。
住人の話によると、一時人口が増えすぎてしまったが、その後、海底や宇宙空間へと続々と移民を果たし、今ではずいぶんゆとりある生活が送れるようになったと

言う。
ちなみに、あの恐竜書庫も相変わらずアクセスできる。
この町を探索してみることにした。
町の中はかなりゆったりとしたつくりになっていて、建物も高くても3階建て程度である。
ほとんどが平屋建ての建物で、植物が数多く植えられている。
この時代では、「店」と呼べる物が少なくなり、衣食住に必要なモノは物質を生成する事のできる「物質合成装置」を使って各家で作られている。
店で売られているのとは、物質を合成するのに必要な各種素材と、一部の美術品などである。
また、「本物の味」と称して駄菓子屋が相変わらず店を開いている。
本物の魚を実際に調理して作られた、すり身をシート状にした駄菓子。
いろいろな植物の果汁を混ぜて作られたジュース。
砂糖キビから取った砂糖で作った飴玉。
とうもろこしの粉を油で揚げ作ったスナック菓子。
物質合成装置でもほぼ同じモノは作れるそうだが、本物の持つバラつきは再現できないという。
それに、合成装置ではいくつかの情報が省略されているので、やはり本物の味とは違うという。
ただ、生麺と乾麺とで、一概にどちらが美味であるとは言い切れないように、駄菓子についても好き嫌いは好みによるとも付け加えた。
ためしに本物と合成の駄菓子を食べ比べてみる。
合成のモノは味が単純である。
間違えなくそれの味はするが、どこと無く物足りない感じもする。
澄んだスープとかはこれのほうがかえってよいかもしれないが、駄菓子の場合はある程度あいまいな味が残っていて欲しい。
ただ、合成の場合は有毒物の心配は無い。
不要な化学物質や細菌類は全く含まれていない。
合成の食べ物だけを食べていれば、食物が原因の病気にはならないだろう。
そのせいだろうか、ここの星の人のは基本的に死なないらしい。
もちろん、物理的な原因で肉体が破壊されれば死んでしまうが、大分昔に病気と言うものが根絶され、その影響で人口が一時大幅に増えた。
人口増加も移民によって解消され、今では穏やかな、まさに夢のような生活を送っている。
私もできればこのような所でいつまでも穏やかに過ごしたいが、やはり旅を続けたい。
とは言うもののこの町にしばらくとどまってもいいと思い、それから1週間、この町にとどまって穏やかな日々を送った。
駄菓子屋

夢33

恐竜に飲み込まれてしまい、どうやって外に出たらよいのか思案していると、書庫にいるアンドロイドが出口を教えてくれた。
書庫の奥の扉が外に通じているという。
早速そこを通って恐竜の外に出ることに成功した。
恐竜を人間の造る施設に近づけない良い方法は無いものかとしばらく考えていたが、恐竜と話し合ってみてはどうかと思いついた。
ここにいる恐竜は知能が発達しているというので、もしかしたら会話が成立するかもしれない。
そこでためしに話しかけてみる。
潜水艇のスピーカーのスイッチを入れて、恐竜に呼びかけてみる。
当然恐竜の言語などわからないが、とにかく自分が使っている言葉で話しかけてみた。
すると一匹の恐竜が潜水艇の前に現れた。
そして、突然話し出した。
「お前は人間だな、何のようだ。」
私は人間が海底に住みたいと言う事、攻撃をしないで欲しいということをはなした。
しかし、恐竜は言った。
「海底は人間の住みかではない、われわれの場所だ。
それとも、地上を我々に提供してくれるとでも言うのかね。」
たしかに、地上だけではなく、海底までも人類で埋め尽くされてしまったら、恐竜の住処が無くなってしまう。
「天の星のひとつを我々にくれるのならば、そこへ移り住むことも考えよう。」
人間の住んでいない、恐竜の住める惑星を探し出せば恐竜がそこに移り住んで、人間が海底を利用する事も可能になるかもしれない。
しかしそれならばそこに人間が住めば海底に住む必要も無い気もする。
どちらにしろ、交渉は簡単ではないことは確かだ。
「もうひとつ、我々恐竜の楽園が地上のどこかにあると言う。その場所を見つけ出してくれれば我々はそこへ移住しよう。」
恐竜の間で、太古の昔から伝えられている伝承があって、それによると、地上の山の洞窟の奥に恐竜の楽園があると言う。
恐竜が地上から海底へ移り住む時に入り口をふさいでいつの日にか戻るのを夢見ているという。
その入り口を探し出せば恐竜にとっても人間にとっても良い結果に繋がるというわけで、早速そのことを海底に住む博士に伝えることにした。
私がされを探しても良かったが、それには何年もかかるということなので、私は旅を続けることにした。
恐竜の楽園が見つかったら、もしかして人間が住み着いてしまうのではないか、そんな気もしたが、今の私に出来ることは良い結果になることを願うだけだ。
ここで書庫にアクセスしてみる。
コンピュータをネットワークに接続して、書庫へアクセスする。
もしかしたら楽園のことも書かれているかもしれない。
「恐竜 楽園」で検索してみる。
結果「恐竜の神話」と言う本が見つかった。
「まだ恐竜が地上にすむころ、一番高い山の奥に恐竜たちの楽園があった。
ある日、天から火の玉が降り注ぎ、地上は火の海となり、その後氷に覆われた。
そこで恐竜たちは地上が再び住みやすい環境になるまでの間海底に移住することにした。
それまでの間、他の生物に楽園が荒らされないようにその入り口を封印した。
その印は丸い岩である。・・・・」
恐竜の神話には他にもさまざまなことが書かれていて、恐竜の進化の過程が細かく書かれている。
それらをしばらく読んでいたが、やがて時間も過ぎてそろそろ旅をする時間となった。
携帯端末を持ち歩けばこの書庫へはいつでもアクセスできる。
今後はこれで調べつつ宇宙を旅しよう。


夢32

潜水艇の目の前を巨大な恐竜が通り過ぎた。
そして、すぐに引き返してきたかと思うと、大きな口を開けてこちらを飲み込もうとしてきた。
必死に舵を切って回避しようとしたが、どうしても間に合わず、その恐竜に飲み込まれてしまった。
恐竜はこちらを噛まずに丸呑みしたので、そのまま胃にまで到達した。
胃は巨大な空洞になっていて、潜水艇のライトで照らしてみたが、何も入ってはいなかった。
胃の向こうはどうなっているのか、奥に進んでみると、そこには木で出来た扉がすえつけられていた。
ここは確か恐竜の胃の中のはずだが、なぜか木の扉が、普通に設置されていた。
潜水艇から下りてその扉の中に入ってみる。
扉は重いが鍵は掛かっておらず、力いっぱい押し開けると、中は本棚が並ぶ書庫となっていた。
世界中の本が収められた書庫には、一台の案内アンドロイドがいる。
「何か読みたい本はございますか」
宇宙の全ての事象を記した宇宙辞典を読みたいと申し出てみた。
「しばらくお待ちください」そういうとアンドロイドは一冊の本を持ってきた。
「宇宙辞典」そう書かれた本を手渡された。
中を開いてい見る。

「宇宙の始まり」
宇宙の始まりは、ビッグバンといわれる爆発で始まったといわれていた時期もあったが、実際には、ビッグバンは単なるひとつの過程に過ぎない。
そもそも始まりと言う概念そのものに意味が無く、宇宙はある状態から別の状態へと永遠に変化し続けている。
今の宇宙もその永遠の変化の一形態に過ぎず、これが無限に繰り返されているのが宇宙である。

「宇宙の終わり」
始まりが無いので、終わりも無く、永遠に宇宙は続く。
ただし、今の形の宇宙は永遠の時から見ればそれこそ一瞬で消滅する運命にあると言える。

「星」
星は、時空が結晶した各種粒子によって構成された宇宙にある球体。
光り輝くものや光らないものなど色々とある。
宇宙に住む生命体の多くは、その星の表明に生息し、文明を発達させている。

「宇宙人」
自分の星の生物以外の生物が高度な文明を持つとこう呼ばれる。
別に人間とは何の関係が無くても、「人」と呼ばれる。
しかし、ひとつの銀河系には、ひとつの種族が広がることが多く、人間も他の星からの移民の子孫である。

「猫」
人間と仲の良い肉食動物。
ある程度高いところから落ちても大丈夫。
いろいろな毛の色の猫がいるが、黒猫がもっとも優れているとされる。


辞書はそれこそ無限に続いているのではないかと思われるほどであり、宇宙辞典と言うだけあって膨大な情報が載せられている。
「持ち出し禁止ですので・・・」
どうやらこの本はこの書庫から持ち出すことは出来ないという。
この本があれば宇宙のあらゆることを知ることが出来、地球文明を著しく進歩させることも可能だろう。
しかし、あらゆることが書かれた本などを手にしてしまったら、人類は進歩を止めてそのまま滅んでしまう気もする。
だから持ち出し禁止なのかもしれない。
しかし、個人的にはUFOについの詳細な情報だけはぜひとも読んでおきたい。
そして数時間、UFOに付いての記述をあらかた読みつくした。
あの事件は本当は本当に起きていて、荒唐無稽と思われたことはほとんど真実だということが判明した。
もしかしたら妖怪とかも本当は本当に存在するのかもしれない。
普段、簡単に「そんなもの無い」と言い切ってしまっているが、本当に否定しきれるのか、否定する根拠が本当に確かなものか、再考の必要があると思った。
書庫には、宇宙辞典のほかにも、宇宙のありとあらゆる文明に伝わる物語が収められていて、それを読むだけでも私の一生ではとても足りない。
ここにある本のほとんどが人類が今だ目にした事の無い書物ばかりだと言う。
ここにある本を一冊ずつ紐解いて紹介できれば面白いとおもった。
「ここの本をネットワーク経由で貸し出しすることもできますのでご利用ください。」
どうやらここの本はデジタル化されていて、それをネットワーク経由で読むことも出来るらしい。
そのための手続きを早速取り、これでどこでもここの書庫にアクセスできるようになった。
恐竜の胃の中にある書庫には面白い物語が詰まっていた。

書庫