夢34
海底探検、これは、アトラクションである。
人工現実を活用したアミューズメントであった。
しかし、この中で得た情報は本物であり、恐竜書庫にも外部からでも相変わらずアクセスできる。
人工現実内部の事象はある意味現実と変わり無く、そこで起きていることは外部の現実世界にも影響する。
時間の経過速度がまた速くなってきた。
早いところ家へ帰ろう。
何とか家にたどり着くと、中に入り、窓から外の様子を眺めることにした。
あっという間に都市は変化し、ますます高度化されていく。
しかし前よりもずいぶんと穏やかな感じになり、自然と調和をした都市へと変わっていく。
建物の数も減り、行き交う人間の数も少ない。
おそらく何らかの理由で住む人の数が減ったのだろう。
時間がまた普通の速度で流れ始める。
ここは先ほどの都市からは数千年経過しているようである。
住人の話によると、一時人口が増えすぎてしまったが、その後、海底や宇宙空間へと続々と移民を果たし、今ではずいぶんゆとりある生活が送れるようになったと
言う。
ちなみに、あの恐竜書庫も相変わらずアクセスできる。
この町を探索してみることにした。
町の中はかなりゆったりとしたつくりになっていて、建物も高くても3階建て程度である。
ほとんどが平屋建ての建物で、植物が数多く植えられている。
この時代では、「店」と呼べる物が少なくなり、衣食住に必要なモノは物質を生成する事のできる「物質合成装置」を使って各家で作られている。
店で売られているのとは、物質を合成するのに必要な各種素材と、一部の美術品などである。
また、「本物の味」と称して駄菓子屋が相変わらず店を開いている。
本物の魚を実際に調理して作られた、すり身をシート状にした駄菓子。
いろいろな植物の果汁を混ぜて作られたジュース。
砂糖キビから取った砂糖で作った飴玉。
とうもろこしの粉を油で揚げ作ったスナック菓子。
物質合成装置でもほぼ同じモノは作れるそうだが、本物の持つバラつきは再現できないという。
それに、合成装置ではいくつかの情報が省略されているので、やはり本物の味とは違うという。
ただ、生麺と乾麺とで、一概にどちらが美味であるとは言い切れないように、駄菓子についても好き嫌いは好みによるとも付け加えた。
ためしに本物と合成の駄菓子を食べ比べてみる。
合成のモノは味が単純である。
間違えなくそれの味はするが、どこと無く物足りない感じもする。
澄んだスープとかはこれのほうがかえってよいかもしれないが、駄菓子の場合はある程度あいまいな味が残っていて欲しい。
ただ、合成の場合は有毒物の心配は無い。
不要な化学物質や細菌類は全く含まれていない。
合成の食べ物だけを食べていれば、食物が原因の病気にはならないだろう。
そのせいだろうか、ここの星の人のは基本的に死なないらしい。
もちろん、物理的な原因で肉体が破壊されれば死んでしまうが、大分昔に病気と言うものが根絶され、その影響で人口が一時大幅に増えた。
人口増加も移民によって解消され、今では穏やかな、まさに夢のような生活を送っている。
私もできればこのような所でいつまでも穏やかに過ごしたいが、やはり旅を続けたい。
とは言うもののこの町にしばらくとどまってもいいと思い、それから1週間、この町にとどまって穏やかな日々を送った。