「無」とはしばしば誤解されやすい概念だな、と思います。
ストレートに受け取れば、「無」なのだから、プラスもマイナスもなにもない、となります。
でも一般には、無とは空っぽで虚しいネガティブなもの、というイメージが強い気がするんです。
フィクションの悪役はよく、世界を無に返してやる、なんてことを言っている。
これって要は、世界を破滅させてやるっていう意味なんですよね。
「ある」のがよくて、「ない」のは悪い、という前提がある。
まあ命とかなら「ある」ほうが「ない」よりいいじゃん! とはなるんですが、どんなものでもあればいいというものではない。
しないほうがいい経験、知らないほうがいい知識なんてものは、世の中いくらでもあるんです。
それを経験してしまったがゆえに、知ってしまったがゆえに、自分の人生がかえってしんどくなるということもある。
「無」はそういったものも全部リセットしてくれる。
そして繰り返しになりますが、「無」には本来、ポジティブもネガティブも存在しない。
そういう価値判断自体が「無い」からこその「無」なのだから。
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