失くしたように
振る舞っていた
初めから
なかった翼を
汚れ過ぎて
映らなくなった
鏡を見つめる
まぎれもない私
とっさに誰かを
傷つけてしまう
自分に向けて
握りしめた刃なのに
闇に体を
委ねきれない
堕ちてゆく先は
明日に決まってるから
耐えられない
世界がまともすぎて
しがみつく
夜の病みに
失くしたように
振る舞っていた
初めから
なかった翼を
汚れ過ぎて
映らなくなった
鏡を見つめる
まぎれもない私
とっさに誰かを
傷つけてしまう
自分に向けて
握りしめた刃なのに
闇に体を
委ねきれない
堕ちてゆく先は
明日に決まってるから
耐えられない
世界がまともすぎて
しがみつく
夜の病みに
アラームの音で途切れるいびき
連れ出されたのは極寒の朝
どうしてこんなことに
目覚めたら冬だなんて
迫りくるタイムリミットに
毛布にて応戦
敗北して起き上がるまでが
一連の動作
テレビをつける
時報付きのニュースが流れる
一人で抱いていた時間を
社会の時間に調整する
別れた毛布の代わりに
煮えたてのスープを飲む
どこにあるかは分からない
体の芯の求めに応じて
転がる地球の上で
立ち止まることを愛して
さざなみの前にうずくまる
棒になる
鳥は地面から離れ
空から地球に近づく
僕は水面に寄って
見えない地球に張り付く
仕方なかったんだ
戻れやしないんだ
投げやりな言葉たちが
黙り込む砂浜
抱き止められそうなくらいの
かすかな潮風でも
海は踊る
逃げ損ねた靴を濡らす
荷物を持たずに家を出て
最終列車に乗り込んで
引き返せない心臓の鼓動と
旅立ちたい
見えない夜に外に出て
知らない場所まで歩いて
どんな朝の風景が広がるのか
楽しみに待ちたい
ほのかに月が照らし出す
はじめての心に触れる
昼の太陽から受け取った
光の名残を手掛かりに行く
たどり着くより前に
朝陽が姿を見せても
愛おしい夜明けを映すのなら
そこが旅の終わりでかまわない
隠したんだ
いつか失くすために
物置きのタンスの裏に
禁じられた感情を
捨てるには痛すぎて
ここに置いておくんだ
持っておくには熱すぎるから
冷めてゆくのを待つんだ
この世に産声をあげたものを
消し去っていいはずないだろう
それとも何かをまだ
期待しているのかな俺?
いつか置き場所だって
綺麗に忘れてみせるから
決して「見つけた!」だなんて
言い出さないでおくれ
外に出ると
薄らいだ街の境目
午後四時過ぎの空が
もう暮れる気でいる
止め時だろうか
やりかけの用事に
まだ余力ある背中に
西陽が差す
焦っている間に
呆れている間に
太陽は加速したかのように
落下していく
「蛍の光」が
いつ流れてもよさそうな
明かりの中の
商店街
毎年のことなのに
未だに慣れない
心よりずっと早く
訪れる夕闇に
歩き出したい
外の光を浴びて
浮足立った気持ちを
全身にまとわせて
靴音を奏でたい
足跡を残すより
景色を感じたい
意識に囚われるより
ゆるやかな時と
吐息をともにして
流れていけたなら
香りのように
降る雪に目を凝らし
吹く風に目を閉じて
春までは道半ば
しんとしていようか
言葉どころか
体も発さないで
ぼうっとしていようか
画面や見出しに
心を傾けず
ちいさなスペースで
一日を広く
使ってみようか
なにもしないで
散らかした書類と
命を並べて置こうか
今年が終わる
未練はあるが
異存は特にない
株価が止まる
普段より長く
店舗が閉まる
普段より早く
ネオン が消える
灯がともる
老人の家に
孫らが来る
数が減る
大勢の観衆の指で
数が減る
参道の階段の途中で
数が減る
囲むこたつの中心で
時代が変わる
何の例えでなく
新しい一年が始まる
例えでも
そうじゃなくても