11月2日
★ヌクス観光★
観光初日の半日を両替と列車の切符の購入に充ててしまいました。
なんたること(゚Д゚;)
なんともう2時前!手持ちの飴を昼食とすることに。
今度もマルシュルートカであっという間に美術館前に到着。
どーん!
もう午後の部はとっくに始まっているので早く入らなければなりません。
入口では荷物チェックとX線検査・・・ウズベキスタンは美術館も空港並みのチェック。入場券を買った後は荷物も上着も全部預けなくてはならないので必然的に手ぶらで鑑賞できます。
身軽になって、一歩その空間に入ると、クラクラするくらいの色彩の絵画に囲まれる。
そのエリアは常設展ではなく期間限定の企画展のようだったが力強くて絶妙の色の組み合わせに刺激を受けまくる。早速このエリアだけでだいぶ時間をかけてしまった。あぁ、画家さんの名前を控えておけばよかった!これを書いている今でも後悔しています。
その後はカラカルパクスタン共和国内の発掘品、民族衣装、スザニ(ウズベキスタンに古くからある刺繍の布)、伝統的な住居(ユルタ)の様子などの展示と続く。ユルタの中は思ったより天井が高くて居心地が良さそうだった。
発掘物関係はほぼスルーだったが、民族衣装とスザニは夢中になって見てしまった。
まぁ細かい!ひとつひとつの模様が手で刺繍されているだけでもすごいのに色も素敵だし、何より気に入ったのが直線的な部分がないところ。まっすぐな線のようで丸みがあるというか、柔らかい、優しい模様。キュンっとくる!!
旅行前からスザニのことは知っていたけど、まさか実物がこんなに美しいとは。それとも美術館に置いてあるくらいだからこれらのスザニが特別なんだろうか。
女性用の装飾品の展示もあったけど、これまた豪華!ジャラジャラジャラジャラどんだけ飾んねん!!
支配者が自分の妻や娘をより美しく着飾らせてやりたいと思うのはどこの国でも同じなのでしょう。
その後は絵画エリア。こっからが私の中の本番です。
ウズベキスタンの街の様子を描いた物からロシアの画家さんの作品までギッチリ詰まっています。なかでも興味のあったロシア・アヴァンギャルドと呼ばれる分野の作品。
20世紀半ばのロシアではスターリンの独裁政権下の「粛清」により各分野の著名人たちからそうでない一般人までが無実の罪で命を落としていったことを知った時は衝撃的でした。
絵画も音楽も映画も時代にそぐわない、ふさわしくないと判断されたら作品は世に発表されることはなく作った人は強制収容所行き、、なんて話も珍しくなかったようです。
そんな時代背景の中、ロシア人のザヴィツキーさんが失われつつある貴重な美術品を買い集め遠く離れたウズベキスタンの、しかもここカラカルパクスタンの土地に保管していたというのがこの美術館。こんな熱いエピソードを知ってしまったらここに来ずにはいられないというものです。
この絵画の数がまた多い!
最初こそ気合を入れてみていたものの、だんだん流し気味に。(贅沢!)
よく建物を見てみれば、このザヴィツキー美術館の中は美術館っぽくない。
照明も普通の事務所みたいだし絵画も、こう、間隔をおいて置かれてるわけじゃなく頑張って詰め込まれている感じ。素敵な絵が多いのに勿体ない。誰かの旅行記で「ザヴィツキー美術館は資金難で必要な設備や修復にお金がかけられていない」って書かれていたのを思い出した。
そう考えるとここの入場料をもっと上げて設備費にあててもいいんじゃないだろうか。外国人入場料が25,000スム(約350円)。2倍になったって飛行機使ってやってくる観光客なら問題なく払える金額だしその価値がある場所だと思う。あ、でも外国人という枠で区別するなら、訪れる人が豊かな国の人だけとは限らないから、その辺のことも考えられているのかもしれない。
1時間以上かけて1周。
アレ?見たいと思ってた絵がなかった、ような?いや、なかった!チケットには印刷されてるのになー。なんて考えてると、どうやら美術館の建物は2つに分かれててもう一つの方にあるらしい。チケットをもう1枚買って移動。急がなくては!
私は25,000スムを2回払いましたが、2館同時に購入すると38,000スムでお得です。
こちらも美術館。
先程と同じくこちらの建物でも持ち物検査にX線検査をして入場。大変だなぁ。
こっちは新館?なのかキレイで絵もいい具合の間隔で展示されてて、照明もちょうどよくて心地よい。
画風がパッと明るい画家さんが多いのか、色使いが素敵で私好みの作品が多い。嬉しくて疲れと空腹を忘れて熱中。
どの絵も良かったけど、特に気に入ったのがUral Tanyskybayev氏の作品。色の使い方やコントラストが鮮やかで華やかなんだけど、少し影もあるというか。
画質は悪いですが雰囲気的にはこういう感じです。
そして見たかったVladimir Lysenko氏の「雄牛」も発見。
実物の絵の迫力は本当に凄かった。ここまでの作品が私の凝り固まった感性にジワジワとボディーブローをかけていたところに最後のとどめといわんばかりのこの作品。絵を見て涙が出てきたのは生まれて初めてのこと。 絵といわず、芸術品を見て泣くなんて今までなかったなー。
もう閉館ギリギリまで居座って絵の鑑賞に当てなくては。2周、3周と絵画の海を漂うような幸せな気分でゆっくり歩く。特に気に入った絵の前は何度も通って立ち止まる。幸せだー。これが最後の一周、と思っていても、この場所にはもう一生来れないかもと思うとなかなか本当の最後が来ない。
最後の最後、牡牛さんにご挨拶して立ち去ることに。名残惜しいことこの上なし。
閉館する前にショップコーナーへ急ぐ。が、民芸品はあれど欲しいポストカードはない。旧館の方にも同じくで出来の悪い縮小コピーみたいなのしかない。こんなの持って帰ったら本物の感動が崩れるのでは・・・というレベル。
うーーーん。。。。いいか、今日の感動を薄れさせないように大事に心にしまって持ち帰ろう。
美術館の前で仲良く戯れてたチビっ子。久しぶりに背中でやる馬飛びみたわ。癒されたー。
そういえば、美術館にも今朝の銀行のような状況で、ひとつのフロアの入口に4、5人の女の人が座っててずーっとお喋り。美術館の人のようで私が出入りするとパッとドアを開けてくれたりするものの、特に何をするわけでもない。そんな人が20人(!)くらいいたのではないか。
入館時に私の監視役として一定の距離でついてくる女性もいたが気が付いたらいなくなっていた。
鑑賞する人に対して働く人の多さに驚く。
1人当たりの仕事を増やして人数を減らす効率化ではなく、みんなが少しずつ仕事を分け合って雇用を生む仕組みなんだろうか?興味深い。
美術館を出たら一気に空腹が襲ってくる。朝食べてから飴しか食べてないんだった。ただ周りに店があるわけでもないのでバザールまで散歩することに。
美術館の前は広々した良い広場だったからオープンテラスのカフェでもあれば余韻に浸るのにぴったりなんだけど。
バザールに到着するとフワフワした余韻もなくなり、美味しそうなものを求めてウロウロ。
売り場に山盛りになっている品物は大体味見ができるので好奇心の赴くままに歩いてみます。
揚げたてパン。具無しは600スム、具有りは1500スム。どっちも激うまだった!揚げたてバンザーイ!
ドライフルーツ&ナッツ屋さん。
ガサーっと1袋たっぷり買っても100円程と激安です。ウズベキスタンの干しブドウは酸味と甘みが絶妙でめちゃくちゃ美味しい。量り売りで少量でも売ってくれるので一人旅には優しいシステム。
夕方になりバザールの人の多さは半端じゃない。あらゆる場所が露店になっており道端に商品を置いている人がたくさん。
野菜、果物、ナン、チーズ、肉、ナッツ、ドライフルーツ、米、お菓子、日用品、電化製品、なんだかよくわからないガラクタみたいなものまで。朝鮮系のおばちゃん達のキムチエリアではツーンとしたすっぱい匂いとニンニクの香りが強烈!美味しそう~っ。
市場のおばちゃん達。
ヌクスの女性達が頭にしているスカーフが恰好よくてみんな様になっていた。巻き方も独特。頭を覆った後、布を鉢巻のようにぐるっと巻いている感じ。このスカーフの巻き方はここヌクスだけのもののようで、翌日以降の街では見かけなかった。
どこまでも続く露店市場。人が途切れたところでパシャリ。
大通りのある街中はあんなに人が少なくて寂しげなのに、このバザールは朝から夕方まですごい活気。老いも若きも大集合で、ヌクス市民の全熱量を一極集中させてるんじゃなかろうか。
うす暗くなってきたのでそろそろ宿に帰ることに。
中がガランドウの廃墟。
ヌクスの大通り沿いはこんな建物ばっかり。工事をしているわけでもなく放置状態。
何気なく入った商店のスーパーの棚はガラガラ。人も物もバザールに集中してるんだな。
下校中の小学生。でっかい白いリボンが可愛い。
完全に真っ暗になる前にホテルに戻る。1日よく歩きました。
明日もいい天気になりますように!