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■まえがき
音楽文化を潰す者達と書くとどことなく攻撃的に感じるかもしれませんが、そんな意図もありませんし、特に嘆きや愚痴を書こうと言う主旨でもありません。
あくまで、分析であり、その分析を元にこれからどうしていけばと言う次なる行動へ繋げたいと言う思いで書かれた記事です。
■スマートフォンの普及と携帯音楽プレイヤーの淘汰
最近、久しぶりにAppleのサイトを見てみると、メニューにiPodと言う項目が見当たらない。
Appleのトップページ・メニュー
しかし検索ボタンをクリックしてみると、iPodと言う単語が候補に並ぶ。
Appleのトップページ・検索ボタン
Appleトップページ・検索ボタンをクリック
このままiPodについていろいろ調べてみると、いつの間にか、iPod touch以外のiPodは全て、販売が終わっている様だ。( ̄□ ̄;)
僕は、iPod classicを愛用していて、今でも、iPod classic以外の携帯音楽プレイヤーの選択肢はないと考えている人間なので、iPod classicの販売が終わった時点で、iPodに関する情報を調べるなんて事がなくなったので、まさかこんな事になっているとは思ってもいなかった。
◇iPod classicが恋しい
再び、AppleからiTunesで管理出来る大容量携帯音楽プレイヤーが発売される日が来る事を祈って待っていた僕としてはこの出来事はショックな出来事だった。
前にも書いた事があるが、iPod touchでは、iPod classicの容量よりまだ少なく、僕には物足りないのだ。
◇iPod touchが新発売したものの
こうならざるを得なかった流れも理由も確かに簡単に察しはつく。
iPodのラインナップがほとんど終了してしまった理由、それは、スマートフォンの普及によるものだ。
スマホを持っていない方が珍しいと言うくらいスマホが普及してしまった今となっては、ほとんどのスマホユーザーにとって、携帯音楽プレイヤーを単品で所有する必要などなくなったのだ。
僕にとっては、今現在のスマホの容量では少な過ぎて、音楽プレイヤーとしてはほとんど僕の要求を満たせない。
そして、僕は、スマホそのものを必要としていない。
◇そういう経緯で僕は携帯電話を持たなくなった
しかし、僕の様な大容量を求めるユーザーはほんの少数なのだろう。
◇趣味・感性がいつもマイノリティー
過去には、独立した形で音楽プレイヤーがあり、どの家庭の中にも音楽を聴く専用の機械として独立してオーディオステレオコンポがあった訳だが、いつの間にか、パソコンが普及し、そしてスマートフォンが普及し、音楽は、パソコンやスマホの中にたくさんあるコンテンツの一つと成り下がってしまった。
これも時代の流れと受け取って、時代に合わせて生きていくしかないのだろうか?
音楽が一つのコンテンツとしても、市場としても、下降線を辿っている原因の一つは、あちこちで言われている事ではあるが、間違いなくスマホの普及が関係しているのだろう。
■JASRACと音楽教室の話
JASRACと音楽教室の問題については以前、かなり掘り下げて記事にしたので、今更、同じ様な事を何度も言うつもりはないが、音楽文化を潰しかねない動きや考え方や風潮の一つに、音楽教室側の様な意見があるのは確かな事だろう。
◇JASRACと音楽教室問題とアーティストについて
僕の様な当事者や関係者、興味がある者にとってはあまりにも有名な騒動だが、「え!?何の話???(・・;)」って人の為に簡単に解説させて貰おう。
YAMAHAや河合などの音楽教室は、長年に渡って、他人の楽曲を無断でタダで使い続けていたのだが、JASRACにそれを請求されると「音楽教育が衰退する」だのと耳心地のいい理屈を並べ立てて真っ向から支払いを拒否して、裁判にまで発展していると言う話だ。
因みに、音楽教室側は「音楽教育」と言う言葉を盾に取っているが、学校などの教育現場での楽曲使用は、JASRACからお金が徴収されたりはしない。
徴収の対象となっているのは、あくまで営利目的での楽曲利用のみだ。
著作者個人が、どこでどんな風に使われたのか全て調べ上げて、世界中に請求書を送りまくるなんて実質不可能な事で、だから、著作者はJASRACと信託契約を結んで、自分に代わってJASRACに徴収して貰うのだ。
そして、ズルをしないでキチンとお金を払って、気に入った曲を営利目的で使いたいと言う人や団体にとっても、いちいち作者の所在と連絡先を調べて、個別に交渉しなくても、JASRACに登録されている作者の楽曲なら、JASRACに連絡すれば済むだけなので、双方にとって、とても楽だと言う仕組みだ。
つまり、音楽を制作して生計を立てている音楽アーティスト達にとっては、無断で使用料も払わずに音楽を使われると言う事は死活問題なのだ。
他人が作った物なのに、屁理屈を並べ立てて意地でもお金を払わず、タダで使い続けてやろうとするああ言った姿勢を持つものがいる限り音楽文化の衰退は進まざるを得ないだろう。
しかもそれが、日本屈指の大手の音楽教室運営会社だと言うのだから、より一層事態は深刻だ。
■音楽を無料で聴きたがる者
当たり前の心理と言えば当たり前なのかもしれないが、細かい事情が分からない大部分の一般リスナーは、有料で音楽を聴くより無料で聴ける音楽をありがたがる傾向にある。
音楽に限らず、例えば、同じ様なラーメン屋が二軒並んでいて、そのうち一軒が「本日、食べ放題!いくら食べても無料!」などとやりだしたら、わざわざお金を払って隣のラーメン屋に食べに行く人はかなり希有な存在だと言えるだろう。
その時、お客さん達は、どうして無料なのかだとかとなりのラーメン屋の困り具合だとか、行く末などはほとんど考えずに「タダで美味しいラーメンがお腹いっぱい食べられてラッキー!」程度の事しか考えない筈だ。
音楽でも似た様な事が起きれば、結局はこれと同じ状態が起きるのだ。
例えば、YouTubeなどの動画サイト。
他人が作った著作物がこれでもかと言う程、あちこちにアップされている。
CDなどからリッピングされた音源や、テレビ番組の録画など、著作者からの申し立てでもない限り放置されたままの無法地帯である。
しかし、人は、そんな事おかまいなしで、明らかな無断アップロードであっても、違法かどうかもおかまいなしに、平気で、自分のブログに貼り付けたりもするし、ダウンロードして、スマホで普通に曲を聴いたりしている。
これをされたら、著作者は流石にたまったものではない。
こう言う動画サイトが出来てから、音楽は無料で当たり前と言う自分本位の意見を度々聞かされる様になった。
音楽文化が急激に衰退の一途を辿り始めた原因の一つに、YouTubeなどの動画サイトの普及もあげる事が出来るだろう。
■音楽の価値を下げた者達 - 定額聴き放題や動画配信での無料PV
以前、無料でPV(プロモーションビデオ)・MV(ミュージックビデオ)を公開する事に対する自分の考え方や定額ストリーミングに対する考え方を記事にしてあげた事がある。
◇PVって必要?定額ストリーミングの利点は?
PVやMVは、ミュージシャンにとっては非常に重要な位置付けの宣伝材料であり、今や欠かす事ができないものと言っても過言ではないだろう。
しかし、僕が疑問に感じているのは、PV・MVそのものではなく、誰でも簡単にダウンロードが出来てしまうYouTubeなどの動画サイトに公式PVを置く事についてなのである。
これも同じく、『PVって必要?定額ストリーミングの利点は?』の中で詳しく述べたので、簡単な説明だけにしておく事にするが、例え、CDや配信音源より音質を落としたPV・MVであったとしても、“そこそこ好き”や“まあまあ好き”って程度の場合、簡単に入手出来る音源があれば、大抵の人は、その音源を改めて買ったりはしない。
昔、カセットテープが録音メディアとして主流だった頃、友達からレコードやCDを借りて、カセットに録音すると確かに音質はやや落ちるのだが、誰も彼も「まあまあ好き」な音源はそれで十分満足していたのだ。
それと同じ事が簡単にダウンロード出来るPV・MVでも言えると言う事だ。
しかし、音楽用と銘打った、音の良いカセットテープにはあらかじめ、著作権料が割り当てられていたので、無断でアップロードされたものをタダでダウンロードされるのとは事情は全く異なる。
YouTubeなどの動画サイトから動画をダウンロードするのも簡単に出来るし、動画からサウンドトラックだけ抜き出す事も簡単に出来てしまう。
なので、テレビなどでPV・MVを流して貰えるのなら、かなりの宣伝効果は見込めると思うのだが、動画サイトにPV・MVをアップするのは、わざわざ、自分の音源の売り上げを下げている様なものだと感じてならない。
故に、PV・MVを作るのはいいが、使い方によっては、世間の「音楽を聴くのは無料で当たり前」と言う一部の人間が持つ認識を世間に広げる事になるのではないかと思うのだ。
それと、同じ事が言えるのは、定額聴き放題の音楽ストリーミングサービスだ。
大手の定額ストリーミングサービスには、ほとんどの有名ミュージシャンの曲が登録されている。
一ヶ月、僅かな金額を払うだけで、それら全ての楽曲が自分の所有物と同じ様に、高音質でいつでも好きな時に好きなだけ聴けるのだ。
こういったサービスが、リスナーの間で根付いて、これが普通だとなってしまうと、ある一定レベルの大物ミュージシャン以外は、もう音楽で食べていく事は不可能になり、廃業を余儀なくされる。
そして、その一定レベルの大物ミュージシャンもこれからは育たなくなるだろう。
今の所、日本ではまだまだ根付くと言う所まではいっていないが、欧米では既に定額ストリーミングというスタイルが根付いてしまっていて、日本の比ではないくらいCDは売れていない。
これには物凄く危機感を覚えている。
この危機感は音楽アーティストの生き残りをかけた本能の様なものだろう。
そして、ついには、定額聴き放題どころか、無料プランを有するSpotify(スポティファイ)も日本に上陸して久しい。
解放/皆見つかさ | |
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Spotifyは僕達の様な位置にいる音楽アーティストには非常にやっかいな存在でありながら、その逆に、とても有り難い存在でもあるのだ。
◇音楽アーティストの苦悩、Spotifyは敵か味方か!
その矛盾した二つの感覚は実に単純なもので、Spotifyと言うサービスは、僕の様なアーティストにとって、Spotifyでいくら曲を聴いて貰った所で、それで生活が成り立つ程は儲からない反面、無料プランのおかげで、気軽に試聴して貰えて、それがなかなかの宣伝効果をあげているという二つ相反する側面を持っているのだ。
ちなみに『音楽アーティストの苦悩、Spotifyは敵か味方か!』の中でも触れた事だが、Spotifyで曲を聴いて貰った場合、著作者である僕達音楽アーティストがどれだけの売り上げを手にする事が出来るのかと言うと、僕の経験では、180回以上再生された曲に対してSpotifyから著作者である僕に支払われた金額は2円ちょっとだ。
再生された国によっても金額が違ってくるし、他にもいろいろルールがあって、一概にこの回数でこの金額と明確に出せるものでもないのだが、とにかく安いと言う事は分かって頂けた筈だ。
そもそも自分でCDを買って、ヘビーローテーションしていただの、レコードを買って、溝が擦り切れる程聴いただの言った所で、実は、180回も再生する事などない。
iTunesなどアプリケーションで曲の管理をしていると、物凄く気に入ってヘビーローテーションした曲でも、自分で思っている以上に大した数は再生しておらず、3桁に達するなんてまず無いと言う事が分かる。
つまり、Spotifyで聴かれた回数を、CDなどを買って聴く回数で価値観を計った場合、音楽の金銭的価値は大きく下落している事になり、それは、音楽そのものの価値を貶めている事でもあるのだ。
こういったサービスで、音楽を利用して儲けようとしている業界人達は、結局、この形だと音楽アーティストが育たず、将来を見据えると、自分達の首をも締めている行為だと言う発想には至らないのだろうか?
何だか、目先の利益ばかりに走っている様な気がして、その感覚が僕には不思議でならない。
■CDなどのコピー
音楽を無料で聴きたがる者の項目と似た様な着眼点ではあるが、CDの貸し借りが世の中では余りにも当たり前の事であると言うのも、僕くらいの位置にいる音楽アーティストにとってはけっこう厳しいものがある。
◇CDのコピーに関する罪の意識のなさと罪悪感の話
きっと、友人・知人からCDを借りた場合、ほとんどの人はリッピングするかコピーをしてから返すだろう。
以前、僕のCDを買ってくれた人がいたのだが、その人は悪気なく、自分の周りの人間に僕のCDを貸して回るのだ。
当然、本人は「凄くいいから聴いてみて!」と言った調子で、素直に皆に薦めてくれているつもりだし、宣伝していると言う意識もあるのだろう。
しかし、それでは、アーティストが望まぬコピーがどんどん増えるだけで、僕の利益には全くならないのだ。
かと言って、その人に宣伝の仕方を指導する訳にもいかないし、「CDを他人に貸すな!」と、わざわざカドを立てる様な事を言える訳もない。
CDの貸し借りやCDのコピーが全て違法と言う訳でもなく、一部、貸与権の限られた範囲であるなら合法であるからだ。(日本レコード協会に直接確認済みの日本レコード協会・公式見解)
でも、何度も言うが、僕の様な位置にいるミュージシャンにとっては、このコピーの広がりがとても痛手なのだ。
出来れば、もっと法整備が進んで欲しいと強く願っている。
薦め方によっては、もしかしたら買ってくれた人がいるかもしれない。
きっと、その数は大した数ではないだろう。
しかし、僕の様な音楽アーティストにとっては、その一枚一枚の地道な売り上げがとても大切なのだ。
その人も僕を応援してくれているつもりだろうし、買ってくれたその人には物凄く感謝しているし、応援の気持ちも凄く有り難い。
本音を言うと、「貸して!」と言ってくる友人に、CDの持ち主が本当にファンであるなら「買ってあげなよ」くらい言って貰えると本当に嬉しい物なのではあるが、そんな事を求められる筈もない。
かと言って、僕達にとって、助かる本当の意味での応援とはどう言ったものかと言う事を、直接、買ってくれた人に自ら切々と説く訳にはいかない。
◇ミュージシャンを喜ばせる応援の仕方
この記事は5929文字です。(読破予想時間:約14分7秒) 僕は、ソロの音楽アーティスト、つまりは、ミュージシャンです。 今回は、そのミュージシャンの立場から…
なので、『ミュージシャンを喜ばせる応援の仕方』と言う記事は、アーティストを本気で応援したいと言う人には是非とも読んで頂きたい記事だ。
■あとがき
ここまでざっと書いてみましたが、あくまで個人的な分析と見解によるものです。
でも、この中には、たった一人からでも何かを気付いて実行してくれれば、僕の様な著作者である音楽アーティストはとても助かるし、それは嬉しい事だと言う内容も含んでます。
もう少し、淡々と書くつもりではいたのですが、どうしても、主観や感情や願望と言うのは切り離せないものですね。(;^ω^A
この記事が何かを動かす役に立ったりすればいいなと思いつつ、今回はここで筆を置きたいと思います。
それではまた次回。
☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*
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