この記事は4940文字です。(読破予想時間:約11分45秒)
【前書き】
少し月日が経ってしまいましたが、今年、2018年7月6日に7人、7月26日に6人、オウム真理教が起こした一連の事件に関わったとされる死刑囚への、刑の執行が行われました。
その出来事をきっかけに、以前から思っていた犯罪加害者家族についての僕の考え方を書こうと言う意思が僕の中で芽生えました。
こんな言い方はいけないのかも知れませんが、もう旬を過ぎた話題で申し訳ありませんが、世間のヒステリックな興奮状態が治まった今の方が、アクセスは少なくなるでしょうけど、場が荒れずにいいのではとも思っています。
結果はどうなるか分かりませんけど。
それと、この記事を書くにあたってもう一つ。
僕は、オウム事件の加害者家族に限定した話を書こうと思っている訳ではありません。
あくまで、オウムの死刑囚の死刑執行は、この記事を書くきっかけであり、僕がこれから書こうとしているのは、広く、加害者家族全般についての僕が思う一般論的なものです。
勿論、オウムの話題には触れますが。
■松本麗華さんについて
僕は、オウム真理教の教祖であった、麻原彰晃こと松本智津夫の三女である松本麗華(りか)さんのテレビでのインタビューや彼女の書いた著書『止まった時計』、そして、彼女のSNSやブログなどもほとんど見たり読んだりしている。
止まった時計(松本麗華・著)
その中でも『止まった時計』と言う本は、生の犯罪加害者家族の置かれる立場や心理などを知る事が出来る、僕にとっては非常に意味のある著書だった。
止まった時計 麻原彰晃の三女・アーチャリーの手記
1,512円
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この本の中身は、オウム事件を肯定しようとするものでもなく、父親擁護の内容でもない。
勿論、実の父親に対する気持ちなどを読んで、読解力次第では、単純に父親擁護だと受け取る人もいるかも知れないが、少なくとも僕には、主旨はそこには無かった様に受け取れた。
とにかくこの本は、彼女の偽りのないここまでの人生や心理、そして何故この本を執筆・出版しようと思ったのかが生々しく語られているそんな本だ。
ただ、この本に関しては、著者の麗華さんを無視して私見で、自分勝手な要約を語る訳にはいかないと思っているので、僕が紹介出来るのはここまでだ。
松本麗華さんの思いが書かれたその内容を知りたいのなら、自身の目で読んで感じて頂きたいと思う。
■犯罪被害者・被害者家族の心情
オウム事件死刑囚の刑が執行された直後から、麻原彰晃の三女である、教団内でアーチャリーと呼ばれていた松本麗華さんのTwitterやブログは荒れに荒れた。
「死ね」だの「よく生きていられるな」だの本当にたくさんの暴言が乱舞していた。
中には「死刑、おめでとう」などと言う書き込みもあり、これはもう心あるヒトの所行ではないだろうとすら思える程だ。
地下鉄サリン事件当時、僅か11才の少女に対して、一体何の罪があると言うのだろうか?
これはもはやネットでのコミュニケーションではなく、世間からのイジメであり虐待であり言葉の暴力だ。
◇イジメ対策で小学校であだ名禁止令が広がってるらしい
その中で、やたらと僕の心にひっかかったのは、松本麗華さんがTwitterやブログで人前に自分の顔と本名を晒して、公の場で意見を発表する事に対して、匿名での「被害者家族の気持ちを考えた事があるのか」と言う意見、そして、そこから更に派生して、「犯罪被害者とその家族に謝罪しろ」と言うものだ。
確かに、犯罪被害者からしてみれば、加害者の家族の顔など見たくもないだろうし、意見も聞きたくはないだろう。
僕がその立場でもきっとそう思うに違いない。
もし、僕の大切な人が犯罪によって命を奪われたとしたら、理屈抜きに犯人と血がつながっていると言うだけで激しい憎悪や嫌悪感を抱くだろう。
そしてその感情は、犯人の肉親を超えて、犯人と親しくしていた人間全てに及ぶだろうと思う。
犯罪被害者の立場に立ってその気持ちを察する事や慮る事はさほど難しい事ではない。
実際にそれが正解かどうかだとか、どれ程の深い傷かだとか、本当の正確な所までは分からないまでも。
犯罪被害者の心理を想像する事は、僕も含めて大勢の人間がしてきた事だろう。
しかし、犯罪者の家族に対してはどうだろうか?
確かに、最近、徐々に犯罪加害者の家族について語られる事は増えては来ているが、そこへ寄り添う様な意見はまだまだ少ないのが実情だ。
それに、SNSで励ますくらいなら、ある意味容易ではあるが、リアルに寄り添うとなると、それ相応の覚悟がいる。
世間の風当たりだとか、一生、寄り添っていく覚悟だとかそれこそ多岐に渡る。
僕もSNSに正直な気持ちとして、何度か、励ましや擁護の言葉くらいは書き込んだ事はあるが、この程度では、何か力になれた気すらしない。
せめて、今書いているこの記事が何か力になればと思うのだが、書いていてもそうなる気は全くと言っていい程しない。
しかし、自分の中から「書け!」と言う強い力が働くのだ。
ブログ記事を書く時にたまに起こる感覚だ。
なので、このまま進めてみようと思う。
■犯罪加害者家族の責任の範囲と義務
先程の、松本麗華さんのツイッターやブログに投稿された匿名の「犯罪被害者とその家族に謝罪しろ」と言う書き込み。
これに対してズバリ自分の意見を書かせて貰うと、「謝罪の必要など何処にもないだろ」と言うのが僕の意見だ。
彼女はいろんな所で、被害者家族・遺族に対して謝罪の言葉を何度も述べている。
加害者家族が自分の意思で「うちの家族が大変な事をしでかして、非常に申し訳ない。すみませんでした。」と言う事に、「謝るな!」と言うつもりはないし、本人の意思で本人の思いを相手に伝える事はかまわないと思う。
問題は加害者家族の責任の範囲や義務の範囲なのだ。
ざっくりで申し訳ないが、単純にその責任の有無を書き分けるとするならば、加害者家族のうち、加害者の子供達には何の罪もないし、謝罪の義務もなければ、犯罪の責任もない。
なので、堂々と自分の人生を生きさせてあげたいと思うし、邪魔しないであげて欲しいと思う。
次に、加害者の親。
親には、責任は当然あると僕は考えている。
最終的に、そう育てたのは親だ。
成人したら自己責任と言う意見は当然あるだろう。
だって、法律がそう定めているのだから。
だからこそ僕は思うのだ。
法的に責任はないので、親が責任を取る義務はないだろう。
しかし、それはあくまで『法的には』なのである。
子が何かしでかしたり、世間に迷惑をかける様な生き方をしていれば、『道義的には』勿論、親に責任はある。
子供を作るとはそう言う事だと僕は思っている。
子供に対しては、一生責任がついて回るのだ。
「成人したから自分の思う通り生きなさい」と言うのは、別におかしな事ではないし、おかしな事をしないか影から見てろと言ってる訳ではない。
ただ、そんな大人を世の中に送り出した責任はあると言っているだけだ。
道義的に、成人したのだから我が子であろうと一切知りませんなどと言う理屈が通用していい筈がない。
だからこそ、成人までに、必死で教育をし子供の為にも、世間に迷惑をかけずに生きていけるだけのモラルや常識、人の気持ちや立場などを教え尽くす義務が親にはあるのだ。
それを怠った責任が成人した途端に親からなくなるなんて有り得ない。
あってはならない事だ。
我が子が二十歳を過ぎてその責任から解放される親は、それ相応にしっかり教育をしてきた親のみだ。
それも、生涯を閉じるまでは安堵出来ない、もしくは、してはならないのが親なのだ。
しかしながら残念な事に、そこから先の義務は法で定められた通り、謝罪するもどうするも親である本人次第だ。
それは誰も強制できるものではない。
そして、犯罪加害者の親に対して、僕は同情心なんて決して沸きはしないし、湧いてくるとすれば、嫌悪感や腹立ちや憎悪くらいのものである。
祖父母以上については、責任がゼロかと言えばそうではないだろうが、もういいだろうと言った所だ。
ま、親代わりとして育てたのが祖父母と言うのなら、それは親と同じ意味を持つと思うが。
あと、言うまでもない事とは思うが、兄弟姉妹に関しては、一切責任はないと言い切っても問題はないと思う。
最後に配偶者。
これは、ケースバイケースだろうと思う。
配偶者が犯罪を犯しているのを知らなかったのなら何の責任もないし、むしろ、被害者であると言ってもおかしくないのかもしれない。
知っていて止めなかった、或いは、止める事が出来なかった。
これは、多少の責任はあると思う。
しかし、これも謝罪をするしないは本人次第で強制出来るものではないだろう。
犯罪を手伝っていた場合は論外で、配偶者自身共犯者であり犯罪者なので、議論する余地もない。
僕がざっくり考えるのはこんな所だ。
おそらく、中には例外も出てくるであろう事は想像出来るが、あくまで例外抜きの話として捉えて頂きたい。
■素性を証して堂々と意見を言う者と匿名でこそこそと誹謗中傷する者
こう言った僕の考え方からしても、松本麗華さんを誹謗中傷している連中は、ある日突然、彼女から訴えられてもおそらく勝てないぞと僕は思うのである。
匿名をいい事に、バレないとでも思っているのか、とにかく僕には卑怯に見えてならないし、どんな意見を出そうが、賛同する気になどなれる筈がない。
芸能人や有名人がSNSなどで炎上する場合もそうだが、匿名でとやかく言ってる人間と素性を堂々と証した上で、自分の意見を述べている人間では、僕の目線ではもう勝負にすらならないのだ。
どんなに的を射ていようと、素性も晒さず攻撃している時点で、対等ではないし、味方をする気にもなれない。
さっきも書いたが、犯罪被害者の家族については、加害者家族に罪はないと分かっていても、憎悪や嫌悪感が湧くのは仕方がないし、多少の暴言には目を瞑らなくてはならないのかなって部分もある。
しかし、関係のない人間が犯罪者の家族と言うだけで、その家族に対してどうこう言う様な話では断じてない筈だ。
中には、被害者家族が匿名で書き込んでいるものもあるのかもしれないが、あれほどの人数全てが被害者家族な訳はないし、もし被害者家族の書き込みだったとしても、匿名である以上、無関係な一般人の書き込みとして扱われるのも仕方のない所だろう。
【あとがき】
この記事で一番、はっきりさせたかったのは、それぞれ、加害者家族の祖父母、親、兄弟姉妹、配偶者、子の責任や義務の範囲についてです。
この記事を書くに当たって、犯罪被害者と被害者家族の方々の気持ちを考えなかった訳ではありません。
犯罪被害者のご家族からしてみれば、此の様な意見は読むのも腹立たしい事かもしれませんが、あまりに配慮ばかりが先行してしまっても、何も言えない世の中になってしまうと僕は考えています。
◇一体、どこまで配慮すればいいんだろう?
こんな意見が出る度に「被害者の気持ちを考えろ!」などと言い始めると、結局、そう言った流れはおかしな活動家などに利用され、結局は、遠回しな言論弾圧の手段にも使われ始めたりします。
◇民主主義の限界?寿命?そう思えてならない。
この記事は、決して誰かを中傷する記事ではありせんし、十分に言論の自由の範囲に認められた内容だと自負しております故に、今回、こうして堂々と書かせて頂く事に致しました。
民主主義の世の中の1つの意見として捉えて頂けると有り難いです。
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