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大阪の人間は、どこへ行っても大阪弁のままで喋る人が多く、それが何故なのか純粋に疑問を持つ声や、それを快く思わない中傷まで、様々な意見をよく耳にする。
個人的な感覚としては、故郷の言葉を大切にしたいし、むしろ違う土地でわざわざ自分の言葉を、上手くもない使い慣れない言葉に変える意味が分からない。
僕は、関西以外でも地方の言葉は好きな響きの方言がたくさんあって、逆にその言葉を変えないで大切にして欲しいと思うのだが。
僕は、今までに何人か、生粋の江戸っ子と知り合う機会があったのだが、たまたまなのか、僕が知り合った生粋の江戸っ子達の中には、大阪弁を含めて方言をバカにする人は一人もいなかった。
僕の経験では、東京在住で、東京弁を話す人で、大阪弁を敵視したり、方言を馬鹿にしたりする人は訊くと皆、地方出身者だった。
そういう人間を何万人も知ってる訳ではないので、ホントにたまたまかもしれない。
でも、その状況で自然と湧き出た仮説は既に世間で言われてる事とほぼ同じでこうだ。
地方から東京に出てきて、方言を馬鹿にされて苦しんで矯正した人間が、その記憶とコンプレックスから、堂々と方言を話す人間を苦々しく思ってしまうのだろう。
そして、方言を馬鹿にする様に攻撃する。
その結果、新たに方言にコンプレックスを持たされた人間が誕生して、同じ事を繰り返すその連鎖が止まらなくなっているんだろう。
その中で、何を言われてもコンプレックを抱く様子もなく、いつまでも地元の言葉(大阪弁)を貫く姿を見ていると、腹が立つのだろう。
もしかしたら、コンプレックスに負けて自分達の大切な文化である故郷の言葉を捨ててしまった自分を否定される気分にでも陥るのかもしれない。
ネットでも、大阪弁についての議論はよく見るし、関西人が出て来てどうして大阪の人はどこへ行っても関西弁のままなのかって理由を解説してるけど、どれも、推論だったりあくまでその人の感覚だったりで、明確な答えは誰にも分からない状態のままだ。
僕自身、その答えは、大阪の人間は自分達の文化に誇りを持っていて、その文化を大切にする人達だからと、考えていた。
答えは一つではないだろうし、それも間違いではないと、今でも思う。
でも更に、ほぼ答えの一つとして間違いなく正解認定される答えを、随分前に導きだせたのだ。
ごくシンプルな感覚的なものから、何気に「あっ!これか」って感じで出てきた答えだ。
ずばりそれは、イントネーションの問題。
『日本語・畿内発祥説』ってご存知だろうか。
近畿圏を中心にして畿内から離れる程、どんどんイントネーションが近畿の言葉と逆に変化していくと言う現象から、おそらく言葉(日本語)は、畿内発祥なのだろうと言う学説が最も有力な学説であると言う話らしい。
つまり、言語というのは発祥した場所から離れる程、徐々にイントネーションが逆にひっくり返っていくのだそうだ。
実は、さっき出てきたと言った僕の新たな答えになったきっかけがこれだった。
その時、日本語畿内発祥説を知らずに、同じ様に日本語畿内発祥の推論が自分の中で生まれたのだ。
そして、その自分の中での閃きを他人に話した時、それは既にある説で、それを日本語畿内発祥説と言うのだと言う事を初めて人に聞かされた訳である。
そこで自分の説に、ほぼ、確信を持つ事が出来た。
この説が正しいのならば、関西より西へ行っても東へ行ってもイントネーションは関西と逆になる。
と言う事はそれは、近畿を中心に近畿から離れた東西、つまり近畿以外は大雑把にイントネーションが近いと言う事だ。
なので、関西弁以外の方言の人は、イントネーション以外のいわゆる『訛り』さえ矯正すれば標準語に近づくと言う訳だ。
イントネーションも全く同じと言う訳ではないだろうけど、違いがあっても、あくまで多少だ。
矯正はそんなに難しい事ではない。
でも、関西人にとっては、イントネーションのほぼ全てが違うのだ。
実は、このイントネーションが一番の曲者で、精神的にも、この矯正が一番やっかいと言える。
地方独特の単語や言い回しや語尾の訛りなどは、同じイントネーションの地域同士なら、知らない間に移る事もあるし、マネをしてもされても違和感すら感じない。
でも、イントネーションはそうはいかない。
まず、役者であれ、よそから引っ越してきた人であれ、何年経とうが、まともに関西弁のイントネーションをマスター出来た人を、僕は過去に一人も知らない。
それくらい、イントネーションを真似ると言う事は容易ではないのだ。
関西人はよそ者から言葉をマネされるのを異常な程嫌がる傾向がある。
これは、イントネーションの違和感を感じての事なのだ。
どこが嫌なのか、関西人にいろいろ聞いてみればそれは明白である。
言う事はそれぞれ違うものの、全て、変なイントネーションに違和感を感じている点は共通している。
変なイントネーションに語尾だけ無理矢理関西弁とか、聞いてても気持ち悪いし、まるで地元の言葉をバカにされているかの様に感じてしまう事すらある程だ。
ある若手の有名な議員さんで、関西の人以外は、方言をマネされても嫌がるどころか喜んでくれるので、関西以外では方言で演説やスピーチをすると言う議員さんがいる。
でも、それはよく似たイントネーションを持つ者同士が、その地方の訛りを真似るのだから、反感なんか買う筈がないのだ。
まるで、関西人だけが心が狭いみたいに言われると心外だ。
逆に、関西人は中途半端に東京のイントネーションをマネする事が少ないので、中途半端なイントネーションでマネをされる感覚が分からないのかもしれない。
或いは、東京の言葉は関西在住でも幼少の頃からテレビやラジオでも聞き慣れた言葉なので、関西人が関東のイントネーションをマネる事は、その逆より比較的容易なのかもしれない。
では、想像して欲しい。
仕事や学校の一場面を思い浮かべて欲しい。
出来るだけ、緊迫感があって、失敗が許されない、おふざけなんて絶対にあってはダメな場面である方が望ましい。
気難しい商談相手にとてつもない金額の商談をまとめる様なそんな場面だ。
その時、関東育ちで関東しか知らないあなたが、今日は大阪弁以外は使わない様にと命令されたらどうだろう。
何か、喋りにもの凄い違和感を感じるだろうし、どこまで、真面目に話せてる空気が伝わってるかどうかも分からない不安な感覚も沸き上がるだろう。
関西人が標準語で話すと言うのは、そういう事なのだ。
何事も立場を入れ替えて考えて見る事は大切だ。
そうする事で相手の立場や気持ちが見えてくる事も多い。
僕は、随分前に、某パソコンメーカーのコールセンターで働いてた事があって、その時は誰にも言葉の指導すらされた事がないのに、標準語で話す事を余儀なくされた。
その時、訛りを指摘されても、ピンと来なかったし、違和感と不安感が相当長い事続いた。
最後は慣れたものの、キチンと話せてたかどうかは未だに分から
ない。
だから、関西圏以外の人が東京で東京の言葉を話す様になったのを、自分と同じ様にその感覚で、関西人を見ると偏見が生まれるのだ。
「自分が出来たのだから」と言う物差しで計る事が許されるのは、関西人ではないのに、関西弁を完璧にマスターした経験がある人だけだろう。
地方から出て来て、大体同じイントネーションである東京の言葉を話せたからと言って、その物差しで計られると困る。
それは、大阪弁を話してた僕が京都で京都弁がいつの間にか移っていて、自然に京都弁を話してた時期があるのと、同レベルの話だ。
結局、イントネーションが真逆のよその言葉にスイッチする関西人の苦労は関西人にしか理解出来ない事だとも言える。
余談だが、京都から大阪に帰って来て何年も経ってから、大阪でタクシーに乗った時、運転手さんに「お客さん、京都の人ですか?」って訊かれた事がある。
どうしてか聞くと、自分では意識してなかったが、言葉が京都弁だったからだそうだ。
その運転手さんが京都出身の人で、すぐに分かったと言っていた。
それくらい、同じイントネーション圏同士なら、言葉を真似るのは簡単な事なのだ。
ちなみに、おそらく今はもうとっくに京都弁は出なくなっているだろう。
あとは、その人の性格なんかも大いに関係するのではないだろうか。
関東弁をあまり気にせず話せる人、頑張って話そうとする人、どうしても出来ない人。
そういった性格によっても色々分かれる。
ただ、そういう風にいろいろ分かれる背景にも、逆イントネーションのただならぬ違和感がついてまわるのだ。
大阪の人間が言葉で叩かれる背景には、大阪の人間を嫌う人が多いと言う事もあると思う。
ただそれは、メディアの影響や、生粋の大阪人でない人の影響も大きいと思う。
間違った誇張した大阪像が、全国に浸透してしまっているのは、間違いなくメディアの影響だろう。
テレビでよくある、大阪人はノリがいいとか言うが、多少はそれもあるのかも知れない。
大阪はノリがいいのは本当かも知れないが、何が何でも大袈裟すぎる。
鉄砲で撃つマネや刀で斬るマネをしたら、誰でも「やられた~」とかノってくるとか、あんなモノは全くのデタラメである。
アンケートとか言って、ペンの代わりにソーセージを渡すとどうなるかって番組も見た事があるが、全員が「そうそう、このウインナーをね」とか言いながら、ボケ始める。
全員がボケる街なんか世界中探してもあるか!と言いたい。
確かに、大阪の人は、ツッコミに関しては、自然と当たり前の様にする人は多い。
誰かがボケると「何でやねん!」くらいの事は、ほぼ誰でも言う。
これは認めるが、所詮その程度である。
それともう一つ言わせて貰うと、生粋の大阪人ではない人が、やたらと大阪を語りたがる事が異常な程多い。
これが話をややこしくしている。
尼崎や徳島や奈良や和歌山や、そんな大阪に近い地域の有名人がやたら、「大阪は」って話をテレビでしたがる傾向がある。
そして、自分の事を大阪人と言っている。
時には「大阪に帰った時に」とか平気で地元の様に話している。
そして、完全な嘘ではない微妙な話を、大袈裟に話を盛って喋りまくる。
実際、吉本新喜劇も大阪でない人が多い。
しかも、関西弁には聞こえない様な訛りの人も大勢いる。
でも、新喜劇の大阪の人でないそんな人が、大袈裟でデタラメな大阪を散々語った挙げ句、「正確な大阪弁と大阪文化を学ぶなら吉本新喜劇」とかテレビで言ってた時は、流石にイラっときた。
昔、朝ドラに出てた、某漫才師が撮影中に台詞を話すと監督に「大阪弁でお願いします」と言われたと言う話がある。
本人は、大阪弁を話してるつもりだったらしいので、驚いたと言ってたが、大阪人からしてみれば、その漫才師が大阪弁を話してるつもりだった事の方に驚いた。
念の為に言っておくが、吉本新喜劇を嫌ってる訳ではない。
と言うより、むしろ好きだ。
ただ、誇張したデタラメを吹聴するのはやめて欲しいと思うだけだ。
そんなもの、どこ出身の人でも、自分の地元をデタラメに語って変な印象を意図的に植え付けようとする人間がいたら、嫌な気分になって当然だろう。
その部分を取り上げてるだけで、新喜劇そのものの事を言ってるのではない。
あくまで、そういう人があの新喜劇にもいるって話をしてるに過ぎない。
大阪にだって、調子ノリもいて、シャイな人もいて、多少の割合に違いはあるかもしれないが、そんなものは、他府県とそこまで大きく違いはしない。
そういや、数ヶ月前、マツコ・デラックスさんと関ジャニ∞の村上君の番組で、さっきの刀で斬るマネをしたり鉄砲で撃つマネをしたら、いくつかの番組でやってた様に全員がノルのか検証してた事がある。
その結果、「やれたれぁ~」をしない人、続出。
本当の大阪出身者にとってみれば、当たり前の結果なのだが、やっと本当の事を放送してくれて、気持ちが良かった。
僕だって、いきなりおもちゃの刀で切って来られてもきっとノーリアクションで無視して早足で立ち去るし、そんな番組に絶対絡んできて欲しくはない。
あと、ネットでよく書かれてるのが、大阪の人は東京にコンプレックスがあるとか何とか。
東京に対するコンプレックスや憧れは本当にない。
そんな人に出会った事もないってくらい、本当の本当にそれはない。
確かに、東京をやたら敵視したり、ライバル視したりする人はたまにいる。
でも、それは大阪の人間から見ても理解出来ない。
検証した事はないが、僕の仮説では、阪神ファンの中には巨人ファンをやたら敵視する人も多いし、もしかしたら、そういう人は皆、阪神ファンの人なのかもって思ったりもする。
東京と言えば、憎きジャイアンツの街とかそんな感覚なのかな?って。
それと、東京を敵視してやたら悪口を言いたがる人に「東京に行った事があるか」と訊くと、物凄い高確率で口を揃えて、「行った事はない」と言う。
酷いのになると「頼まれても行くか!あんなトコ」と、行かなければどんなトコか知りようもないのに、「あんなトコ」呼ばわりする人間も少なくはない。
何にしても、そう言う人間は大阪人である僕からみても、あまりいい感じはしない。
「頼むから大阪の評判をこれ以上さげてくれるな」と願うばかりだ。
ちなみに、さっきのメディアの影響の話とは別に、大阪の人間が嫌われる訳も実は理解出来る。
今話した東京を知りもしない癖に、東京の悪口を平気で言う様な奴が少なからずいると言うのも一つの理由だし、誇張した大阪のイメージが広がってしまっているのも原因の一つだろう。
今はそれ程でもなくなってきたが、自分も元々は大阪が嫌いだったから。
京都に行った時、もう二度と大阪に戻る事はないとまで思ってた程、京都に行くまでは、「大阪を離れたい」としょっちゅう思ってた。
でも、自分の意志とは関係なくのっぴきならない事情で大阪に帰って来る事になるのだが、長くなりそうなので、この話を広げるのは、もうやめておく事にする。
この話はまた、別の機会に。
☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*
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