毎年のことながら今年も妻にせがまれ「新屋山神社」への金運参拝にでかけることになったのだが、今年は中部横断自動車道が六郷ICから下部温泉早川IC間と新清水JCTから富沢IC間が同時開通して、国道52号線の走行が残り20Kmほどになったことから山梨から富士山麓を走る東富士五胡道路を須走ICで下り、御殿場から日本の大動脈である東名自動車道に沿ってドライブ。清水ICまで走り、清水港、三保の松原、久能山東照宮を参拝して中部横断自動車道で帰宅するドライブコースを計画したのです。
いつものように「新屋山神社」に参拝するも駐車場が整備され、神主さんも早朝から待機されお祓いをしていただけることに。
さらに「奥宮」に詣り御殿場まで走ります。
朝ごはんもろくに食べていないことから「清水魚市場 河岸の市」で早いお昼をいただくことにしました。年間100万人以上が来場する“清水港地元の台所”で、毎朝セリが行われる清水魚市場のすぐそば、マグロをはじめ、鮮度抜群の海鮮グルメが楽しめる「いちば館」「まぐろ館」それぞれに清水自慢の新鮮な海の幸が味わえる店が合わせて35店舗が並んでいます。
今回選んで入ったのは、いちば館で早くから開店している海鮮お食事処「のっけ家」です。午前9:30から開店しているので待ち切れず入ってしまいました。おすすめの数量限定20食「本鮪大とろ頭肉丼」をたのみました。大トロほど油がしつこくなく口に入れた瞬間溶けてしまうような味わいです。
お腹も程よくなり、万葉の昔から白砂青松と霊峰富士の眺望の素晴らしさで、世界文化遺産「富士山・信仰の対象と芸術の源泉」の構成資産のひとつである「美保の松原」に向かいます。三保半島にある景勝地で、日本新三景(大沼、耶馬溪)、日本三大松原(虹の松原・気比の松原)のひとつとされています。約7kmの海岸線に3万本余の松並木が連なる白砂青松の名勝地です。
羽衣の松を依代として降臨した三穂津彦命・三穂津姫命の両神が「御穂神社」へ向かったという伝説があり、
羽衣の松が生える海岸から神社まで、樹齢200年ほどと言われる松並木に囲まれた「神の道」が約500m延びています。夜にはライトアップされ幻想的な空気が漂います。
この松原には天女が衣を枝にかけて水浴びをしている時、漁師が衣を取り上げ、返す代わりに天女も舞を披露してもらったという羽衣伝説で知られる「羽衣の松」があります。現在「3代目」のクロマツで四方に形のよい枝を伸ばしています。
またその右手には、謡曲「羽衣」を舞踏化したフランスのバレリーナ「エレーヌ・ジュグラリスの碑」が立っています。
総延長7km、5万4000本の松林が生い茂る海浜である三保の松原から波越しに眺める富士山は美しいのですが今日はあいにく曇天で・・・。ここは「鎌ヶ崎」といわれる松原の中でも遠景の富士山と近景の松が美しい調和をなす場所です。古くから多くの画家や写真家に愛されています。
三保はごろも温泉・天女の湯のある三保園ホテルの近くには「清水灯台(三保灯台)」が建っています。日本初の鉄筋コンクリート造りの灯台で、平成24年に点灯100周年を迎えました。
灯台頂点にある風見鶏は天女の形をしています。
今日のメインは久能山東照宮夜間特別拝観「天下泰平の竹あかり」という一日800名限定の夜間イベントで、夜19:30を予約していたのでそれまでは時間があることから昼間の久能山東照宮を見ておこうと久能山に向かいます。久能山はいちごで有名で、明治29年、久能山東照宮の松平健雄宮司より託された苺苗を玉石の間に植え、石の輻射熱で栽培し、甘く香りのある実をつけることを実証したのが始まりです。駿河湾に面した久能海岸沿いは別名「いちご海岸通り」と呼ばれ、道の脇から久能山の麓までビニールハウスが建ち並びます。いちご狩りは1月~5月にかけてなのでピークを過ぎていることから今回はいちご生ジュースで少し気分を味わいたいと久能山東照宮参道入り口にある「久能屋」でいただきました。
冷凍しておいたいちごをミキサーでくだいた生ジュースは熱く火照った体を気持ちよく冷ましてくれます。
「久能山東照宮」は元和2年(1616)4月17日、徳川家康が駿府白城で75年の生涯を閉じた後、遺言に従い久能山に埋葬され、翌5月に2代将軍秀忠によって建設された豪華絢爛な社殿です。久能山東照宮への参拝はふたつのルートがあり、急峻な山肌にはりつく表参道の石段を登ってゆくか、背後の日本平からロープウェイを利用するかです。夜間参拝はロープウェイでしか行けないのでここまで来たら覚悟を決めて登ります。久能屋さんに駐車料500円で車は停めておきます。一の鳥居をくぐり玉石が敷かれた緩やかな参道を進みます。
昼間は眼下に広がる駿河湾を望みながら表参道をゆっくり登ることにしたのです。石段が段差も低く意外に楽に登っていけます。山の斜面には石垣が積まれかつて要塞であったことが窺えます。
表参道の眼下には石垣いちご畑が連なります。
麓の鳥居から始まる石段は、本殿まで1159段でその数字にかけて「いちいちご苦労さん」と愛称されている。
909段上ったところにある「一の門」は城門のような堅牢ば造りです。それもそのはず実際久能山は東照宮が建てられる以前は武田信玄が築いた「久能山城」という山城で、伊豆の北条氏の動きを監視するためにあったといいます。久能城大手門跡にあるのが東照宮一の門です。一の門から見える建物は門衛所で警護を担当した与力の詰所になります。
久能山社務所で拝観料500円を払い先に進みます。先に見えるのが楼門で楼門前の石段が1159段の中で一番きつい石段です。手前には夜間特別拝観「天下泰平の竹あかり」の竹あかりが準備されていました。夜の竹あかりのライトアップと見比べてみてください。
久能山東照宮は権現造、総漆塗、極彩色の社殿が日光東照宮より19年前に造られ、彫刻、模様、組物等に桃山時代の技法も取り入れられた江戸初期の代表的建物です。見どころはなんといっても楼門、玉垣、拝殿、本殿などの建築に施された極彩色の彫刻です。楼門に掲げられた扁額には後水尾天皇の晨筆による「東照大権現」の文字が書かれています。また楼門には鉄や銅を食べることから平和の象徴とされている「獏」の彫刻があります。
楼門の裏手には「家康の手形」が置かれていますので自身の手と合わせてみます。
参道をそのまま進み石段上の石鳥居をくぐります。右側も石灯籠の後ろにあるのが鼓楼です。もともとは鐘楼でしたが神仏分離令で神社になったことから鐘を外して太鼓を置き鼓楼になりました。これも重文です。
鼓楼の向かいにはかつて高さ30mの五重塔があった場所で今は礎石しか残っていませんが、ここも竹あかりで飾られそうです。
ここはちょうど唐門下になります。この上が唐門で、その奥が拝殿ですから最後の石段になるのですがここは通ることができないので神楽殿横から迂回します。迂回というより順路になっているのですが。
神楽殿横から迂回して脇の石段を登ります。正面の神庫への石段は登れないので左手の石段から日枝神社方向に登ります。神楽殿には玩具メーカーのプラモデルが並んでいました。
神庫のライトアップです
登れなかった階段から見た唐門は両脇に「あ・うん」の狛犬がいて唐破風の内側には上段に牡丹、下段に唐松の彫刻です。数が多い獅子の彫刻も1つ1つ表情が違い、多くは口の開いたものと閉じたものが一対になり「阿吽の呼吸」を表しています。
両扉に立派な彫刻が施されています。
拝殿と本殿、その二つつなぐ石の間で構成された社殿は元和3年(1617)建立の「権現造」と呼ばれる建築様式で、全国各地の東照宮の社殿に用いられている。特に注目なのは拝殿正面の「司馬温公の甕割り」の彫刻です。中国北宋の温公が子供の頃父が大切にしていた甕を割って、甕の中で溺れている友人を救ったという故事を表したもので「人の命を大切にせよ」という家康のメッセージが込められているといいます。
社殿の背後約50mの所にあるのが家康の墓「神廟」です。家康の亡骸が遺命により西向きに久能山に葬られました。その亡骸を容れたのが石厨子で高さ5.5m、外廻り8mあり、厨子を囲む門の内側には入ることができません。参道には諸侯奉納の石灯籠が並んでいます。
本日のメインイベント夜間特別拝観は夜7:30の予約であること、夜間拝観は日本平からのロープウェーでしか行けなことから「日本平」で時間をつぶすことにしたのです。日本平はその昔、日本武尊が東征の際、この地において野火攻めにあい、火に囲まれた際、「天叢雲剣」(草薙剣)で周囲の草を薙ぎ払い活路を見出したとされ、賊を平定した後、この山の頂上に登り四方を眺めたところからこの名で呼ばれるようになったといいます。
大正15年、徳富蘇峰によって絶賛された駿河湾の沿岸近くにある標高307mの有度山を中心とした丘陵が広がります。
そんな日本平に2018年11月3日。駐車場から5~6分ほどのところに正八角形の「展望施設」とデジタルタワーを囲む「展望回廊」と広大な庭園によって構成される「日本夢テラス」が誕生しました。
日本平夢テラスは建築家・隈研吾氏により、県産木材をふんだんに使い、富士山を望む自然景観と調和した設計になっています。標高300mの丘陵地で駿河湾越しに仰ぎみる富士山、眼下に見える清水港、伊豆半島、南アルプスのパノラマビューはまさに絶景です。日本夜景百選にも選ばれていて、2007年1月TBSドラマ木村拓哉主演「華麗なる一族」で描かれた神戸の夜景は日本平から清水の港町を望んだものです。
施設内は1階に日本平の歴史や文化の「展示エリア」で2階には約1200㎡ある四季折々の花が咲く施設の魅力を引き立てる庭園を眼下に楽しみながら寛げる「ラウンジスペース」があります。青島みかんジュースや日本平夢サイダー等がいただけます。
3階には展望フロアがあり、
屋外の展望回廊は1周約200m、富士山や駿河湾、三保の松原など360度のパノラマ展望を楽しむことができます。
余談ですが園内には童謡「赤い靴」の母子像があります。野口雨情作詞のこの赤い靴に登場する女の子は1904年7月15日に麓の旧不二見村、現在の清水区宮加三で生まれた「岩崎きみ」さんという実在の人物が題材となっていたことから建てられています。
まだ時間があるので少し下ったところにある「日本平ホテル」に行きます。静岡カントリーGが経営する風景美術館とも称される高級ホテルのテラスラウンジは幅30m、2フロア吹き抜けのパノラマグラスエリアで景色と一体になったような雄大な風景をほしいままの圧巻のパノラマビューです。
ティータイムでテラスパンケーキセット1550円をいただきましたが、特別館のある優雅なひと時がすごせました。
ここの庭園は「華麗なる一族」の万俵家の庭となったところで、庭の池の橋に立ってパチパチと手を叩いています。将軍様は現れませんが・・・
いよいよ夜間特別拝観の時間です。日本平山頂西側の日本平駅と久能山山上に建つ久能山駅を結ぶ日本平ロープウェイにのって全長1065mの5分の空中散歩です。
駕籠のラッピングが施されたあおい号(殿様の駕籠)とたちばな号(お姫様の駕籠)の2機で運航されています。
昼と夜の久能山東照宮を堪能しました。