3分読書、読んで頂き、ありがとうございます。

これまで書いた作品も、読んで頂ければと思います。

地球の選択 - 二つの未来 

では、「選択の木」を読んでみてください。

爆 笑爆笑爆笑


陽介は小さい頃から伝説や不思議な話に心惹かれていた。彼の住む町の図書館で、偶然目にした一冊の古い本が、彼の運命を大きく変えることになる。その本には、遥か昔から語り継がれてきた、森の奥深くに存在するという「選択の木」についての記述があった。木は特別な力を持ち、近づく者に「もしも」の人生を示すと言われていた。


本のページをめくる手が震えるほど興奮し、陽介はその木を見つけ出すことを決意する。学校の休み時間、放課後、彼は地図を広げ、老人たちの話を聞き、森の位置を特定する手がかりを探した。数日間のリサーチの末、ついに森の場所を突き止める。



大学生になった陽介は、アルバイトで旅費をため、遂に旅に出る。リュックに水と食料、そして地図を詰め込み、家を出発した。彼の心はわくわくとしていたが、同時に少しの不安もあった。森は近隣の町から離れた場所にあり、誰も足を踏み入れない未知の領域だった。しかし、陽介の好奇心は彼を前に進ませた。


長い旅の後、陽介は森の入り口に立った。風が木々を通り抜ける音だけが聞こえ、それ以外は静寂が支配していた。森に一歩足を踏み入れると、すぐにその空気の変化を感じ取ることができた。ここは、普通の森とは何かが違った。


木々の間を抜け、小川を越えながら、陽介は伝説の木を探し続けた。時には方向を見失い、焦ることもあったが、彼は諦めずに進んだ。そして、太陽が高く昇った頃、遼は奇跡的にもその不思議な木を見つけ出す。


歩みを進めるにつれ、林の中にぽっかりと開けた空間が現れ、その中央に立つのは、光り輝く一本の木。木の周囊には無数の輝点が浮かび上がり、陽介にさまざまな「もしも」の世界を示した。彼は息を呑み、木に手を伸ばす。


「もし、あのとき留学を選んでいたら?」心の中でそっと問いかけると、木の輝点は新たな風景を描き出した。異国の地での生活、新しい友人、言葉につまる日々。しかし、その中には未知への挑戦と成長があり、陽介の心は温かくなった。


次に彼が選んだのは、「もし、以前の恋人と別れていなかったら?」。そこには甘く切ない日々が映し出され、しかし結局は破局を迎える姿が。選択肢の一つ一つが、陽介に人生の多様性とその脆さを教えていく。


木の前で過ごした時間は、陽介にとって無数の人生を体験する旅だった。しかし、彼はやがて気づく。それぞれの「もしも」が彼に与えた感情や教訓は、現実の彼の人生をより豊かにしていることを。



陽介は深く息を吐き出し、満足げに微笑んだ。彼が見つめた不思議な木は静かに輝きを増し、最後には穏やかな光に包まれた。その瞬間、陽介は「もしも」の世界から現実に戻され、自分の足元にある道を見つめた。彼の前には、これまで通りの平凡だが、選択に満ちた人生が広がっていた。


「選択の木」は、陽介に大切な教訓を残した。それは、人生は選択の連続であり、その全てが自分を形成する大切な要素であるということ。そして、後悔ではなく、現在と未来に目を向け、一歩一歩前に進んでいく勇気を持つことの重要性を。


陽介は心新たに、自分の人生を歩む決意を固めた。不思議な木との出会いは、彼の心に深く刻まれ、これからの人生の貴重な指針となるのだった。