３分読書、読んで頂き、ありがとうございます。
これまで書いた作品も、読んで頂ければと思います。
では、「優しさのわらしべ」を読んでみてください。
静香は、いつもクラスの隅で本を読んでいる女子高校生だった。他の生徒たちが騒がしく話す中、彼女は自分の世界に浸っていることが多かった。ある日の放課後、彼女は帰り道でお腹を空かせて鳴いている子猫に出会った。小さくて、目がくりくりとしていて、とても可愛らしかった。静香は、その子猫に少しでも力になりたいと思い、近くのコンビニで牛乳を買ってあげた。子猫は牛乳を飲み干し、静香にすり寄ってきた。その瞬間、静香の心は暖かな光で満たされた。
翌日、静香は学校で意外なことが起きたことに気づいた。いつも彼女を無視していたクラスメイトから話しかけられ、一緒に昼食を食べることになった。この小さな変化は、静香にとって大きな喜びだった。そして、この日を境に彼女の周りで良いことが起き始めた。彼女が誰かのために行った優しさが、まるでわらしべ長者のように連鎖していくのだ。
静香はその日、普段通りに図書室の隅で勉強に没頭していた。彼女の周りは静かで、ただ時計の針の音だけが時を刻む。そんな中、一人の後輩が困った顔で教科書を見つめているのが目に入った。後輩は、明らかに何かにつまずいている様子だったが、誰にも聞けずにいるようだった。
静香は一瞬ためらったが、後輩の元へと足を運んだ。「大丈夫？何か手伝えることがあるかな？」と優しく声をかけると、後輩の顔がぱっと明るくなった。「あ、はい。この数学の問題がどうしてもわからなくて…」後輩が言葉をつまらせる中、静香は自然と説明を始めた。彼女自身が苦手だった数学だが、乗り越えた経験から後輩に分かりやすく教えることができた。
後輩は「ありがとう、すごくわかりやすかった！」と感謝の言葉を述べ、静香の心は暖かな光で満たされた。その後、その後輩はクラスメイトに静香の優しさと助けになったことを話し、静香のことを「困ったときに頼りになる人」として紹介した。
この小さな出来事がきっかけで、静香はクラスメイトから相談されることが増え、図書室では彼女の周りに人が集まるようになった。かつては壁の影に隠れていた静香だったが、今では多くの生徒から尊敬と感謝を集める存在に変わっていた。
静香が見せた一つの優しさが、学校内での小さな変化をもたらし、彼女自身も他人とのつながりの大切さを再認識することになった。静香の日々は、以前よりもずっとカラフルで、意味のあるものに変わっていった。
時間が経つにつれ、静香は自分が人々とどう関わるべきか、どうやって優しさを分かち合うべきかを学んでいった。彼女は、優しさ一つで人生がどれほど豊かに変わるかを実感した。そして、彼女自身も、他人からの優しさによって救われ、支えられていることに気がついた。
『優しさのわらしべ』は、一人の女子高校生が優しさを通じて成長し、周りの世界を変えていく物語である。静香の物語は、あなたにとっても、何か小さな優しさを始めるきっかけになるかもしれない。
