【熊大第2迷宮:カードキャプター部隊】

「ここが噂の鏡の間ですか」

「何かちょっと楽しみ」

 初めてやってきた空間を見つめて澤口 忍が発した言葉を聞いて、丸山 静江が少しだけ楽しそうに感想を述べた。ここは熊大第2迷宮。前回の探索で地下5階のボスを倒したカードキャプター部隊は、実質的に第2迷宮はクリアしたこととなっている。今後の行動としては、次に探索すべき第5迷宮の探索を開始するか、この第2迷宮地下6階で亜獣を狩るかの2択である。正直この地下6階は来なければ来なくても良い場所であり、実際に第2迷宮をクリアした後、ここに来ずに第5迷宮の探索を開始した部隊もいる。ここに来るか来ないかは完全に好みの問題なのである。

「じゃあ解放してみるね」

 こう言って高村 佳子が鏡に向かって進んでいく。そして掛けられた罠の解除を開始し、しばらくすると口を開いた。

「解除できます」

 こう言った数秒後、ガラスに掛けられた罠は解除され、中から亜獣が出現した。出現した亜獣は褐色の肌をした非常に強そうな男性であり、槍のようなものを手にしている。また、その後方にはその亜獣の部下のような亜獣が5体ほど控えており、各々剣を手にしている。

「・・・・・・・・」

 言葉を発せずにゼスチャーで出したボスらしき亜獣の指示により、後方の5体の亜獣が向かってきた。

「TNT爆発」

「無効」

 向かってくる亜獣に田辺 睦美がTNT爆発、ボスらしき亜獣に大下 界が無効を唱えた。そして外口 デニム、丸山、澤口の戦士3人で亜獣と対峙し、特に苦戦することもなく5体の亜獣を消滅させることができた。

「残るはあいつやな」

 こう言葉を発して一段と集中した外口と一緒に丸山と澤口がボスらしき亜獣に向かっていく。そして戦闘が始まったが案外簡単に倒すことができ、少し拍子抜けで戦闘は終了した。

「お疲れー。物質回収します」

 こう言って高村が物質回収に向かう。この後は丸山と澤口が少しだけ受けたダメージを大下に回復を依頼する。

「さて、今のはなんだろね」

 回復を行いながら大下が言葉を漏らす。これを聞くまでもなく全員が先ほどの亜獣の出展を考えているようだ。

「多分だけど」

 何か思いついたような外口が口を開く。

「さっきのはカメハメハ大王だと思うんだよね」

 これを聞いて、他の隊員たちは先ほどの亜獣の外見を思い浮かべる。確かにカメハメハ大王と言われればそのような外見だった。だが、なぜ今カメハメハ大王が出てくるのか。その理由についてまた外口が口を開く。

「実は明後日の日曜日に競馬の日本ダービーってレースがあるんだよね。で、そのレースに出る1番人気の馬の名前がキングカメハメハなんだ」

 カメハメハ違いではあるが、おそらく自分の意識の中にあったカメハメハという言葉からカメハメハ大王がイメージされて先ほどの亜獣になったのだろうと外口は考えたのである。それを聞いて、一応隊員たちは納得し、このようなこともあるのかと一段と鏡に対して興味が湧いてくる。そして物質回収とダメージ回復が終わった後で、また高村が鏡の罠の解除を始めたのであった。