タイトル:「毒」と「薬」の不思議な関係

著者:齋藤勝裕

発行:シーアンドアール研究所

発行日:2017年4月1日

 

 

 

 

 

 

 

あらすじ 

「毒と薬は紙一重」万能薬も誤れば毒になる!?

医薬品の中には、素晴らしい薬だと思われているものが、実は恐ろしい毒薬というものがあります。

しかし、このような例は珍しいことではありません。

ほとんど全ての薬は服用を誤れば毒となります。

化学の発達と共に人類が手にした薬の知識や毒の歴史を化学知識をもとに解説します。

 

 

KAKEN — 研究者をさがす | 斉藤 勝裕 (00089096) (nii.ac.jp)

有機化学の教授ですね。

 

広く浅く、『有機化学?なにそれ?』と私みたいな素人にもわかりやすく毒と薬について解説してある。

丁度以下の事件が起きてる頃に読んだ。

小学校に市販薬持ち込み児童2人が過剰摂取 救急搬送「オーバードーズ」が社会問題に | NHK | 東京都

 

まぁ…もとより薬を医療目的で使ってないので、同情の余地なしですわ…。

小さい子供の誤飲とは違うし、インターネットの知識で

「試してみたい!」とか思ったなら、単なるアホですよ…。

やる前に危険性とか調べなかったの?

何が起きるか想像できなかったの?

背景がどうあれ、自己責任です。

死ねたらいいけど、後遺症抱えて生きることになったら地獄でしょうに……。

 

 

そんな、用量用法を正しく理解し使わないと"毒"になってしまう物について、

本書は専門性を持たない人間が読んでもわかるように書いてある。

毒と薬の違いからその歴史、

毒の仕組みや体内で起きる仕組みをどのように医薬として役立てるかなどなど。

 

 

 

 

 

P47

酒類を飲みすぎると二日酔いになって苦しみますが、これは酒類に含まれるエタノールのせいです。

しかし、同じようなアルコールでもメタノールを飲むと失明するといわれており、場合によっては、命を落とすこともあります。

アルコールの害は、どのような機構で生じるのでしょうか?

 

 

 

エタノール → アセトアルデヒド → 酢酸

 

メタノール → ホルムアルデヒド → ギ酸

 

実際には構造式で記載があって、

ここでは「名前似てるなぁ」くらいのアセトアルデヒドとホルムアルデヒドが

どのくらい似通っているかも一目で分かる。

 

 

 

 

P55

■ヒガンバナ

ヒガンバナは球根で植え付けます。

そのため、基本的に人間が意識的に植えつけないと繁殖しません。

ヒガンバナが、田んぼのあぜ道に多く咲いているのは、モグラよけに植えているといいます。

モグラは、あぜ道に穴を開けて田んぼの水を流出させる害獣です。

しかし、ヒガンバナを植えると毒を嫌って寄り付かないのです。

墓地に多いのも同様です。

大切な人の遺骸を動物に荒らされないための防御です。

 

へぇえええ!!!

リコリンというのが毒の成分で、

これは水溶性だから飢餓の時にはよく球根をアク抜きして食すこともあったんだって。

 

以下はメモ

 

■スズラン

植物全体にコンバラトキシンを含む。

嘔吐、眩暈、心不全、心臓麻痺などの症状を出す。

 

■トウゴマ

ヒマシ油の原料。

種子に植物毒最強と謳われるリシンを含む。

リシンはタンパク質でできているため、加熱すると無毒となる。

 

■キョウチクトウ

排ガスに強いため街路樹として植えられることもある。

植物全体に毒があり、土壌にも毒が回る。

生の木を燃やしても煙が毒になり、腐葉土にしても一年間は毒が残ると言われている。

毒成分はオレアンドリン。

 

■イチイ

木質から彫刻の素材によく使われる。

毒は植物全体にあり、特に種子に含まれている。

成分はタキシン。

嘔吐、下痢、痙攣、呼吸または循環障害により死に至る場合もある。

赤い実をつける「イチイ」。北海道では「オンコ」とよぶ(季節・暮らしの話題 2022年11月16日) - 日本気象協会 tenki.jp

(結構知らずに食べてる人いるよね…)

 

 

■スギヒラタケ

かつては食用キノコとされていたが、2004年秋に毒性が明らかになった。

まだよくわかっていないので、とりあえず食べちゃダメとのこと。

「スギヒラダケの謎:不安定なアミノ酸の毒」の研究が、アメリカ化学会の「Chemical & Engineering News」で紹介されました:静岡県立大学 グローバルCOEプログラム (u-shizuoka-ken.ac.jp)

 

■フグ

フグのテトロドトキシン。

フグ自身が作る毒ではなく、紅藻類の作った毒を体内に蓄積させていることで知られる。

そのため養殖フグは安全かと思われたが、天然フグを混ぜて飼育すると養殖フグも毒を持つらしく、フグがテトロドトキシンを生産する菌を持っているのではないかと言う説もある。

 

 

■イワスアンギンチャク/アオブダイ

パリトキシン。

こちらも食物連鎖で対象の生き物の体内に蓄積される毒。

海水温上昇に伴い、他の石鯛にも含まれていることがあるという。

美味で食用にされているけど有毒の魚たち 「海洋性蓄積毒」のリスクとは? | TSURINEWS

 

 

 

山育ちなのでわけのわからん実を口に入れることもあった…。

いま考えれば恐ろしいことだ…。

(まぁ友人が習慣的に食べているのを見て安全性の確認はしていたけども)

 

海にも行くし、怖いなぁ、というのが率直なところ。

クラゲとかもね、怖いし。ダイビングスーツ貫通してくるよ…。

 

 

P176~

ここからは化学兵器や金属毒について。

マスタードガスDDT(殺虫剤・農薬)、

枯葉作戦で使用された2,4-Dに含まれていたダイオキシン

除草剤として使用されていたパラコート

 

金属毒は

水俣病の原因となった水銀

イタイイタイ病の原因となったカドミウム

むかし白粉としてしようしていた

昔のヨーロッパで酸化鉛の白い粉をワインに入れて甘くしてたと知って震えたよね…。

今考えたら信じられないことだわ…。

(とはいえ、後々になって『食用金箔に毒性が認められました!』とかになったら、普通に後世の人々は「当然では?」とか思うのかな…)

 

 

 

P150(抗生物質)

■チャーチルの肺炎

第二次世界大戦後、抗生物質が華々しく登場した陰には、美しい話がありました。

ペニシリンの派遣者であるフレミングは、若い頃に、後に英国首相になるチャーチルが池で溺れているのを助け、それに感謝したチャーチル家がフレミングに学資を出したというのです。

そのおかげで医学者になったフレミングがペニシリンを発見し、第二次世界大戦末期、肺炎で苦しむチャーチルの命を救ったというのです。

(省略)

ペニシリンの発見を契機にその後、多くの抗生物質が発見されました。

 

 

P165(麻酔)

■華岡青洲

世界最初の全身麻酔手術は、1804年に行われた華岡青洲の乳ガン提摘出手術といわれています。

青洲はマンダラゲ(朝鮮朝顔)、トリカブトなど6種類の薬草を取り合わせた薬を独自に調合し、それを服用させることによって全身麻酔を行ったとされています。

動物実験の後、人体実験に移りましたが、実験台になることを申し出たのは、青洲の母と妻でした。

度重なる実験によって母は亡くなり、妻は失明しましたが、ついに全身麻酔薬が完成しました。

ヨーロッパで完全麻酔が成功したのは、それから40年後といわれています。

 

これ、本当に偉大な話だ…。

全人類のために実験台になったのだから…。

 

P168~

ここからは抗がん剤の話と将来への可能性について。

 

P190~

薬→毒→薬

と世界の認識が二転したサリドマイドについて。

 

 

 

P199(爆薬と薬)

爆薬にはいろいろのものがありますが、有名なものに「トリニトロトルエン」と「ニトログリセリン」があります。

トリニトロトルエンはTNTともいわれ、爆弾や砲弾の火薬として有名です。

一方、ニトログリセリンはダイナマイトの原料としてよく知られています。

 

■ニトログリセリン

爆薬としてうってつけのように思われますが、実はそうでもありません。

あまりに不安定で運搬も困難なのです。

戦争で用いようにも、敵陣に届ける前に味方の陣地で爆発してしまいます。

ところがこれを珪藻土に吸着させると安定になり、落としても叩いても爆発しなくなります。

そして、信管を使いニトログリセリンとしての爆発力を示すことを発見したのがノーベルです。

彼はこれを用いてダイナマイトを作り、巨万の富を築きました。

1900年にノーベル賞を設けたのは有名な話です。

 

 

■狭心症

(省略)ニトログリセリンには、狭心症の発作を予防する効果と、起こった発作を鎮める効果があることがわかりました。

(省略)3人の研究者は1998年、ノーベル医学生理学賞を受賞しました。

ノーベル賞制定からほぼ100年後に、ノーベル賞の元になったダイナマイトの関係でノーベル賞を受賞したということで話題になりました。

 

 

 

知的好奇心だけで読む本を決めているので、

専門的すぎないこういう優しい本は有難い。

興味を持ったら専門書読めばいいしね。

 

参考文献がなく多少不安はあるけども、

初学者向けとしてなので良本なのではないだろうか。

 

面白いね。

偉人たちの努力に、私たちは今生かされているなぁ、と感じるわ…。

 

 

TOP画は以下からお借りしました!!

化学イラスト - No: 24495164|無料イラスト・フリー素材なら「イラストAC」 (ac-illust.com)

 

 

 

 

本書を気に入った方には下記もおすすめ!

 

毒殺ミステリー小説

【156】ダージリンは死を招く(ローラ・チャイルズ)(訳:東野さやか) | 秋風の読書ブログ (ameblo.jp)

 

新薬開発を巡るSF小説

【167】ジェノサイド(高野和明) | 秋風の読書ブログ (ameblo.jp)

 

 

生物学。免疫についてなど。こちらもわかりやすい。

【147】真夜中に猫は科学する エクレア教授の語る遺伝や免疫のふしぎ(薬袋摩耶) | 秋風の読書ブログ (ameblo.jp)

 

まだまだ化学系の知識足らんなぁ…

 

 

他にもおすすめの本があれば教えてくださいね!

それでは素敵な読書ライフを!!

 

 

 

 

 

タイトル:ソビエトS・F選集1 怪獣17P

著者:ナターリア・ソコローワ/リンマ・カザコーワ

訳者:草鹿外吉

発行:大光社

発行日:1967年2月10日

 

 

【176】怪獣17P(ナターリア・ソコローワ)(リンマ・カザコーワ)(訳:草鹿外吉) | 秋風の読書ブログ (ameblo.jp)

書き出したかったけれど、書ききれなかった箇所。

『人間』が祖国を追放された直後の描写。

 

 

 

P177

旅人がヨーロッパを行く。

かれはいく。ヒースの荒地、泥炭の沈む沼地、そこここに丸い御影石のちらばったぬかるみの牧草地を。ここかしこを薄い地層でわずかにおおわれた丸い岩山を。長い鎖のように並ぶいくつもの湖を、草の生いしげる湾曲した岸辺を。

(省略)

旅人は海岸をいく。そこでは、風が唸り、砂丘の列をつぎつぎと移動させ、こまかにふるわれたほとんど純白の砂の、巨大な丘が、しだいにつみあげられていった。

かれはいく。海の波をふせぐ堤防やダムのかたわらを、水門のかたわらを。あるいは、運河にそって。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして私は物語で最も重要な引用を忘れていた。

申し訳ない……

 

 

P8

もしわたしが、自己を守らねば、だれがわたしを守ってくれるだろう?

しかし、もしわたしが、自己のためのみを考えるなら、なんのためにわたしは存在しているのだろう?

(古い墓石の碑文)

 

葛藤があった。

命を賭して未来のために――子どもたちのために行動するか。

しかし未来が変わるとは限らない。

でも誰かがやらねばならぬのなら。

 

歴史上、そういって散っていったたくさんの命の上にいま、立っているんだなと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日本はなんだかんだ表現の自由がかなり守られているよね。

言論は自由だ。

ちょっとばっかし自由すぎてとんでもない政治家や陰謀論者も登場してて困りものだけど。

 

 

どんどん税は重くなるし物価はあがるしで生活は楽にならないけど、

こういう他国のばちばちの弾圧や表現規制の歴史を見ると、

日本ってやっぱりのびやかというか、のどかな国だ。

もちろん日本にも似たような政治運動はあって、散っていった人もいるが。

 

 

うーん、なんともいえないね。

早く平和な時代になってほしいものだ…。

 

いっそ宇宙人でも登場させてみる?

そうしたら人類みんな一致団結みたいにならないかなぁ。

 

 

 

 

 

タイトル:むつーと学ぶ初心者のためのTRPG入門

著者:むつー

発行:TwoGate

発行日:2024年4月25日

 

 

 

 


 

 

この一冊から始めよう!!

さあ、TRPGの世界へようこそ。

 

 

 

 

読んでみて初知りのことも多かったし面白かったので、

小説ではないけれどたまにはこういう本も紹介しようかな、と。

今、舞台化や映画化でTRPG界隈盛り上がってるしね!!

しかも期間限定、2024年6月30日まで、SHIBUYA TSUTAYAさんでコラボ中ですよ!!

2024年4月25日(木)SHIBUYA TSUTAYA 6階IP書店にて『むつーと学ぶ 初心者のためのTRPG入門』発売を記念した特設コーナーを展開!! | EVENT | SHIBUYA TSUTAYA (tsite.jp)

 

 

 

そんなわけで、今回は秋風の趣味全開の記事となります!

いつも通り本の紹介記事ではあるのだけれど、今回はもっと広く、

TRPGというものについて語る感じです!

どうぞお付き合いください~~~!!!

 

 

 

 

 

 

まず、TRPGってなんなの?って人は、こちら。

TRPGとは | TRPG ONLINEとは | 富士見書房公式 TRPG ONLINE (fujimi-trpg-online.jp)

 

ようは、物語の登場人物になりきって、お芝居しながら遊ぶやつですね。

大人版ごっこ遊び。

そのごっこ遊びにもジャンル(ルール・世界観)があって、

『クトゥルフ神話TRPG(CoC)』とか『エモクロアTRPG』、『ダブルクロス』みたいな名前で呼ばれてる。

多分一番有名なのが、『クトゥルフ神話TRPG』かな。

まぁ、とりあえずいくつか初心者がとっつきやすい動画を紹介するので見てみてくださいな。

 

 

▼まにむさんの動画

かなりのTRPG人口を増やしたであろう動画ですね。超有名です。

実はめっちゃ面白いクトゥルフ神話TRPG (youtube.com)

 

▼ディズムさんの動画

勢いがすごいので、あんまり難しく考えなくても楽しめる感じにまとまっててありがたい。

『カタシロ』シナリオの製作者様です。

TRPG / カオスな奴らがワイルドにいく喫茶店 (youtube.com)

 

▼そして本書の著者でもあるむつーさんの動画

GM(KP)をしてくれることも多く、たくさんのキャラを演じ分け、

その安定のアドリブ力は必見です

【新クトゥルフ神話TRPG】不気味さMAXと噂の公式シナリオ「ガシャン」をやろう! (youtube.com)

 

もちろんPLとしても活躍してます。

【前編】都市伝説×探偵「異界探偵の奇怪なる事件簿」【クトゥルフ神話TRPG】 (youtube.com)

 

シナリオも書いています。

mutuu gaming - BOOTH

 

 

 

 

 

 

こんな感じの遊びです、っていうのを紹介しているのが本書。

それぞれのルール(世界観)はこんな感じの設定です~っていう説明から、

キャラクターの作り方を解説し、

(動画に登場しているキャラクターは事前に能力とかステータスを決めているのですよ!)

いまやオンラインセッションではなくてはならないココフォリア、その生みの親である鳥頭めうさんや、有名ゲーム実況者との対談までを収録した豪華な本です。

そしてなんとなんと!!

オリジナルシナリオまでついちゃってます!!

こんな豪華なのにお値段3,000円以下!!

 

めっちゃ回し者みたいになっているけど、仕方ないのです。

秋風は彼からTRPGというものを知った人間で、

純粋にむつーさんのファンなのです。

 

 

 

 

いやはや、早口ヲタクみたいになってしまって恐縮です。

 

 

 

 

少し話が戻るけれど、

クトゥルフ神話TRPG――いわゆるCoCと呼ばれる、TRPGとして一番有名なルールは、

私も何度か記事にしているラヴクラウトの世界観が元になっている。

ただ、ラヴクラフトの死後にダーレスが確立させた『クトゥルフ神話』と、ラヴクラフトの書き上げた作品は、分けて考えねばならない、ということは改めて記載しておく。

 

【115】ラヴクラフト全集1(H・P・ラヴクラフト)(訳:大西尹明) | 秋風の読書ブログ (ameblo.jp)

 

 

 

 

 

 

TRPGの動画は結構見ているんだけれど、私自身があまりセッションをしたことがなくてね。

なので、純粋に初心者と言えるかは謎だから、

本書を楽しめるかは微妙かなと思ったんだけれど、

杞憂でしたね!!

 

 

オリジナルシナリオついているし、対談も面白かったから

読んでよかったな、という内容でした。

 

 

P77(対談)

むつー:(省略)それでも法人化して人を雇ったのには何か理由があったりしますか?(省略)

鳥頭:(省略)ただ、それだと継続性がなくなると思ったんです。オンラインでTRPGを遊ぶためのツールがボランティアベースで運営されていたら、ある日突然遊べなくなってしまう可能性があるなって。(省略)

 

鳥頭:オンラインセッションツールを開発する仕事がこの世に存在し、それに従事する人が僕以外にも複数いる状態にならないと、この先ずっと遊べる場所を維持できないと思いました。(省略)

 

身内用に作っていたものを誰でも無料で使わせてくれるというだけでもありがたいのに、

それを維持し続けられる環境まで整えよう、ってご自身の仕事辞めて法人化に踏み切ってくれた鳥頭さんに頭が上がらない。

 

 

 

 

 

 

P80(対談)

鳥頭:あれはですね、できるだけ安全を保証できるものをユーザーさんに使ってもらいたいなというのがあったんです。

ユーザーさんが自分で音源を探してアップロードする形だと、使ってはいけないものを知らずに使用してしまうケースもあるので。

 

鳥頭:それをグレーなまま使うのが当たり前になると、TRPGという文化に良くないですよね。(省略)

そうなっては、遊び場を存続できなくなる可能性もあるなって。その前にサービス側から提供された音源を利用して遊べる環境を整えておけば、危機を避けられるはずですし、文化の存続にもつながります。

サービスとして、クリエーターの権利にも真摯に向き合っていかないといけないというのもありますね。

 

分野は違えど自分もエンジニアだし、著作権周りの資格も取得したりしたから、

この考えが如何に大切かと身に染みる。

法人化したら、あらゆることに責任を負わないといけなくなって、

遊び場が犯罪の温床にならないように先手で対策する必要がある。

ユーザーの善意に任せた運営はいかんのです。

そういう部分、さすがしっかりしているな、と思った。

 

 

他、アナログゲームを販売しているアークライトさん、

ゲーム実況者でTRPGでPL・GMをされているシャオロンさん、

『Good morning ALL』などのシナリオを手掛けるあおさんの対談が収録。

繰り返しますが、豪華です。

 

 

 

 

 

 

 

今年に入ってからだったかな?

友人にシナリオを回していただける機会があって、

オンライン・オフライン共に何度か遊んできましたよ!!

うち、一回はGM務めてくれた友人のオリジナルシナリオ!!

案外、天才とは近くにいるものだねぇ……。

 

オフラインセッションはね、正直恥ずかしかったよねw

全員旧知のリア友だし、演技しなきゃ!っていうのは恥ずかしかった。

そういう意味では、全く顔も名前もどんな人なのかもわからない、

SNSで募集がかかっているオンラインセッションに参加の方が気が楽かな。

 

 

 

TRPGに似た遊びに、マーダーミステリーというのがあるのだけれど、

そっちはキャラクターをわざわざ作る必要なくて、

こういう役で事件を解決してね、というのまで決まっているから、

キャラクター作り苦手な私としては、マダミスの方が向いてるかもしれない。

やってないからわからないけどね!!!

だれか誘って!!!

 

 

そのうちにGMやりたいなぁ、とか言い出すに違いない。

時間の問題です。

だれか遊ぼう。

 

 

さて。

そんな感じで、6月30日まで、むつーさんとSHIBUYA TSUTAYAさんでコラボ中です!

オリジナルグッズが買えるし、本書の特装版で表紙が違うものも購入できます!

私はアホみたいな金額使いました!

ゴールデンウォークマジックです!サイン本は!買い逃した!!チキショウ!

 

整理券も必要なくなったはずなので、是非お近くに行った際は立ち寄って見てください!

現金決済NGなので、そこだけ注意で!

 

 

TOP画は以下からお借りしました!

勇者と旅の仲間セットイラスト - No: 25044221|無料イラスト・フリー素材なら「イラストAC」 (ac-illust.com)

 

 

 

 

TRPG関連書籍は以下です!

 

 

クトゥルフ神話TRPGのルールブック(6版・7版)

 

 

 

 

6版・7版、何が違うの?と言う人は、

Google検索するか、むつーさんの入門書読んでから買おう!

 

 

▼android版はまだだけど、アプリでルールブックが見れる時代になりました。

【すぐわかる!】『クトゥルフ神話TRPG ルールブックPLUS【公式アプリ】』 - Appliv (app-liv.jp)

 

 

 

 

いま、TRPGが熱い!!

是非是非皆さまも遊んでみて下さいね!!

好きなシナリオあればコメントで教えてください~!!

 

ではまた~~!!!(*´︶`*)ノ"

 

 

 

タイトル:彼女は一人で歩くのか?

著者:森博嗣

発行:講談社

発行日:2015年10月20日

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あらすじ 

ウォーカロンwalk-alone

「単独歩行者」と呼ばれる、人工細胞で作られた生命体。

人間との差はほとんどなく、容易に違いは識別できない。

研究者のハギリは、何者かに命を狙われた。心当たりはなかった。

彼を保護しに来たウグイによると、ウォーカロンと人間を識別するためのハギリの研究成果が襲撃の理由ではないかとのことだが。

人間性とは命とは何か問いかける、知性が予見する未来の物語。

 

 

 

私はですね、結構タイトルに惹かれて、

あらすじとかあまり読まずに本を買う人間なんですよね。

 

見事にシリーズの中ほどから読んでしまうミスをしました。

 

 

 

本作、森博嗣氏のWシリーズと呼ばれるものらしいのですが、

そんなことを知らずに6冊目にあたる『青白く輝く月を見たか?』から読みました。

だってすごい素敵なタイトルだったんだもの。

 

まぁ……どのみち、本には帯も含めて『シリーズ』って表記なかったし…。

わざわざ捲って奥付側に織り込まれてるカバーとか見ないよね……。

 

というわけで、シリーズ6冊目から読んでしまいましたが、

面白かったのでシリーズ1冊目も買いました。

当記事はシリーズ1冊目の紹介です。

 

 

 

 

 

P67

歴史には詳しくないが、人工細胞が広く実用化されたのはまだ半世紀ほどまえのことだ。

それ以前には、人間に似た機械はいわゆるロボットだった。

自律型のものがウォーカロンと呼ばれて大量に生産された。

それは、自動車が世界中を走ったように、世界中の道を歩いたのだ。

この時、人工知能が飛躍的に進歩した。

僕の研究はその延長線上にある。工学の花形と言っても良い分野だ。

一方で、生物科学分野から登場したのが、人工細胞の技術だった。

 

人工細胞のおかげで、病気や怪我で移植は必要なくなった。

老化や病気で不調になってきた部分は、人工細胞でどんどん取り換えていく。

『ほとんど死なない』というのを達成した世界。

脳の人工細胞に、人工知能がインストールされ、

ウォーカロンは生きた肉体を手に入れた。

……もう、ほとんど人間と変わらない。

 

という世界で、人間か、ウォーカロンかを見分けるための研究をしていたのが、

本作主人公のハギリ博士。

 

彼の命を狙う敵の目的は一体なにか?

次々と狙われる研究者たちの関連性は?

敵は『人間になりすましている、判別されたら困るウォーカロン』の組織か?

はたまた『ウォーカロンを製造販売して利益を上げている人間』か?

辿りつく先には、今の人類が抱える問題への糸口が――――

 

 

 

みたいな感じの近未来的お話しで、

『人工細胞に入れ替えていくおかげで死ににくくなったけれど、

代わりに子供が生まれなくなっちゃった!』というのが、この世界の抱える大問題である。

 

直接的にはハギリ博士の研究している内容は、命を狙われるほどのものではなく、

何故だろう?という自問自答と捜査を繰り返しているうちに

この大問題に関係していそう…というのがわかってきた、というのが本作。

解決はしていない。

 

 

 

こういう系のシリーズって、

1冊完結型で、次は別の組織に命を狙われる、みたいなのが

割と王道パターンだと思っていたんだけど、

このシリーズは謎をシリーズで持ち越すらしい。

続きが気になりすぎて2冊目と3冊目買ってきてしまいました。

まだ読めてないけれど楽しみ。

 

 

 

 

P152

それに、新しい命が誕生しない現実を前に、殺合いの無意味さはさらに大きくなった。

エネルギィや食料の問題よりも、人類存続の方が優先となった。

殺し合っている場合ではない。

生きている者は、人間であっても、ウォーカロンであっても、協力し合う以外にない。

 

P108あたりに、ウォーカロンは人間の品種改良版なので、

血統的に穏やかである、と説明があった。

人口の半分がウォーカロンらしいが、

争いもなく長寿で平和で、それはそれで理想の世界と言える。

結局のところ、生物が子孫を残すのは

『自分の遺伝子を残すため』なので、次世代が誕生しなくともまぁ……と思ってしまったね。

 

ただ、どこかのページ(どこだっけ…)に記載があったけれど、

『ある程度歳をとったらリタイアして次世代にお任せしたい』らしい。

確かに、永久に終わりのない物事は退屈だし、

ずっと生き続けなければならないっていう状況は死ぬより怖い。

 

 

 

 

 

 

P129

国会議事堂の前に警官ならばいくらでもいるだろう、と思った。

三百メートルほどしか離れていない。

ウグイが少し早足になり、僕もそれに従った。

「走って下さい」彼女がそう言った。

振り返ると、三人がこちらへ向かってもう然と走りだしたところだった。

とにかく、必死に走った。

もう一度振り返ると、ウグイは走っていない。

そこに立ったまま、相手を迎えようとしている。

「ウグイ!」と叫ぶ。

「走って!」と振り返って答える。

 

ハギリ博士は八十才たる落ち着きっぷりだし、

その護衛のウグイも『笑うのはコストパフォーマンスが悪い』(P60)と言ってしまうくらい感情が希薄なので、ここのシーンは作品の中では結構インパクトがあった。

 

 

年齢について言及はなかったけれど、

ウグイは『人形のよう』に整った顔立ちで、

機能性の高い服装をしているらしいから当然パンツ姿なわけで、

無表情で美人の女の護衛……

 

ラノベだったら色々大盛り上がりな設定だな。

 

 

 

 

 

 

 

最後に重要な伏線だと思われる文を。

ハギリ博士の前に突然現れた謎の物語。

(他のシリーズ読んだらわかるのかなぁ)

 

P140

熊さんが襲ってくる。

恐ろしい声を上げて迫ってくる。

もう駄目だ。

でも、少女は言いました。

「黒い魔法を知っている?」

「そんなものは恐くないさ」と熊は言いました。

「白い魔法を知っている?」少女は続けて尋ねました。

「そんなものはなんでもないさ」と熊は笑います。

「じゃあ、赤い魔法を知っている?」

それを聞いた熊は、そのまま動かなくなりました。

そして、砂が崩れるように、地面に落ち、散ってしまったのです。

 

 

 

 

 

 

このシリーズの世界に登場する『単独歩行者ウォーカロン』は、

森さんの別のシリーズで登場した物らしい。

すべてがFになるに登場したマガタ博士も、本作に登場していたし、

同一キャラクターかどうかの言及は今のところないけれど、

巡り巡って世界は繋がっていそうだ。

 

 

 

本書冒頭、章冒頭の引用はアンドロイドは電気羊の夢を見るか?でした。

 

 

続きを読むのが楽しみだ~~~!!!

 

 

TOP画は以下からお借りしました!

バルコニーに座る女性 ゴールドコースト - No: 28787031|写真素材なら「写真AC」無料(フリー)ダウンロードOK (photo-ac.com)

 

 

 

 

本書を気に入った方には下記もおすすめ!

 

同一作者の作品。

【64】すべてがFになる(森博嗣) | 秋風の読書ブログ (ameblo.jp)

 

本書に引用されていた作品。

【118】アンドロイドは電気羊の夢を見るか?(フィリップ・K・ディック) | 秋風の読書ブログ (ameblo.jp)

 

こちらもアンドロイドの話。

【146】僕はロボットごしの君に恋をする(山田悠介) | 秋風の読書ブログ (ameblo.jp)

 

 

 

他にもおすすめの本があれば教えてくださいね!

それでは素敵な読書ライフを!!

 

 

 

 

タイトル:ソビエトS・F選集5 夕陽の国ドノマーガ

著者:イリヤ・ワルシャフスキー

編訳:草柳種雄

発行:大光社

発行日:1967年9月25日

 

 

ソビエトSF選集5巻に当たる『夕陽の国ドノマーガ』。

こちらも絶版状態なので、

以下の図書館蔵書サイトから検索をかけて是非読んでいただきたい。

カーリル | 日本最大の図書館蔵書検索サイト | カーリル (calil.jp)

 

 

 

18個の短編小説を収録した本書。

すべて独立している物語だけども、章のように3つに分類分けされている。

 

『永遠の問題』は神話や哲学を中心にしたSF、

『夕陽の国ドノマーガ』は、人類が衰退し荒廃した世界の話が中心、

『SFパロディー』では、シャーロック・ホームズ他2作品のパロディがSF調で描かれている。

 

 

18のあらすじはさすがに書けないので……

以下、それぞれタイトルと、印象深かったものは★。

 

■永遠の問題

 ●賭け(P6~)

 ●環状珊瑚島(P13~)

 ●シンポジウム(P23~)

 ●生体電流、生体電流(P35~)

 ●仮面舞踏会(P40~)

 ●葛藤(P49~)

 ●蛇の実(P55~)

 ●サーシュカ(P63~)

 ★無への旅(P80~)

   ラヴクラフト全集4が好きな人は気に入ると思う。オチまで素晴らしい。

 

■夕陽の国ドノマーガ

 ★幻影(P116~)

  アンドロイドは電気羊の夢を見るか?が好きな人は気に入ると思う。

 ●裁判官(P129~)

 ●最高機密(P133~)

 ★すみれ(P167~)

  幻想的でとても好みだった。地下で暮らし、太陽も植物も貴重となった世界。  

 ●夕陽が沈む(P182~)

 ★遺産相続人(P192~)

  世界に老人と機械だけが取り残されてしまった。とても切ない。

 

■SFパロディー

 ●シャーロック・ホームズ秘話(P204~)

 ●ジャンブリ(P211~)

 ●不死の宮殿(P226~)

 

■訳者あとがき(P232~)

 

 

 

 

 

P92(『無への旅』)

「(省略)何と説明したものかな、つまりだな、空間はつなわち、われわれがいつも≪物質≫という言葉で意味しているところのものなのだ。だがここで一番大切なことは、実際の空間は存在し得ると同時に、存在し得ないということだ。

つまり、あると同時にないのだよ」

 

こういう、屁理屈(失礼)みたいなお話大好き。

もちろんこのお話はフィクションだけども、

もはや現代の科学は進歩しすぎてよくわからないよね……。

 

いまさら聞けない、「クォーク」とはいったい何なのか…「厄介な素粒子」と呼ばれる理由(現代ビジネス) - Yahoo!ニュース

 

原子の中の、原子核の中の、陽子や中性子の中の―――クォーク?

ある、と思う。存在しないと理屈が合わないから多分ある、というのは、

今の最先端科学ではきっとゴロゴロしている。

そのうちに、本当に『あると同時にない』状態が照明されるかもしれない。

(宇宙物理学とかはもうその域に達しそうだよね)

 

 

 

 

 

P92(『無への旅』)

「(省略)鏡に自分の姿をうつしてごらん。君の前にあるのは、君自身の姿だと信じて疑わないよね。けれども、よく注意して見ると、鏡にうつった姿は君とまったく共通点を持たないことが、わかってくる。君が鏡に見ている人間は、心臓が右にあり、肝臓が左にあるのだ。君が右手を振ると、鏡の中の君は左手を振る。(省略)」

 

そっくりといっても過言ではない(というかそうでないと困る)鏡の中の自分だけれど、

言うように、実は真逆なのだから面白い。

【高校化学】「鏡像異性体」 | 映像授業のTry IT (トライイット) (try-it.jp)

(↑ちょっとニュアンス違うけど、これも面白い)

 

 

 

 

 

 

 

 

P174(『すみれ』)

「ほらここよ」と、先生は鉄のドアをすこし開けた。「ひとりずつ入りなさい」

子供たちは、薄闇のなかから明るい光のなかへ急に出たので、びっくりして眼を細めた。ニ、三分もすると、なれて、面白そうにまわりを見まわし始めた。

(省略)

長い長い井戸。かれらはいまその底にいるのだ。

そこではすべてのものが、太陽に満たされていた。

上方から落ちてくる光の流れは、エレベーターの昇降口の壁を、黄色い炎に変えた。

小さい噴水の小さなしぶきに、虹をかけた。

またそれは、しめった土から重たく濃密な湯気を生じさせた。

 

このお話、めちゃくちゃ好みだった。

ほとんど人工物となった世界で、

社会科見学として小さな子供たちが地下の『保護区』に向かう。

エレベーターはどんどん下に下りて行って、

光も匂いも、いつも暮らしている地上とは異なる別世界に、不安が掻き立てられる。

暗くて不安のなか地下に辿り着い、鉄扉を開けた先は―――

暖かさのある光に、湿った土と植物の香りが満ちる空間。

五感を刺激される、洗練された美しいシーンで、感動したね。

ここのシーン、とてもお気に入り。

 

 

 

 

 

P194(『遺産相続人』)

「また来たのか?」

「ああ」老人はすまなそうに答えた。

「なぜだ?」

「ここは暖かいからね」

老人はだまそうとしている。機械をだまそうとしている。自分自身をだまそうとしてりう。(省略)

「なぜ、おまえは暖房装置のスイッチを入れないのだ?」

「動力を節約しなければいけない」

「おれのためにか?」

「ああ」

「ばか!反応炉はからまわりしてるも同然じゃないか」

「わしには、この方が気が休まる」

「ひとりぼっちになるのが、こわいのか?」

「こわい」

 

P197(『遺産相続人』)

人気のない街路は、雪化粧をしていた。

このため、歳は薄化粧を施した死人のようであった。

雪は折れ曲がった枯れ木の幹に積り、雪は公園の生気を失った褐色の土の上に積もっていた。

そして、雪の下には、恐ろしい黒い灰が埋まっていた。

(省略)

それは椅子の上、浴室のなか、かつて生きている肉体が存在したすべてのところに、残っていた。

 

誰もいない世界は、本当に静かなんだろうな、と感じる一節。

不気味さもあるのだけど、静謐な印象のほうが強かった。

荒廃した誰もいない世界を、初めて美しいと思った。

 

 

 

 

 

 

 

あらすじや引用が無粋になるくらい、一つ一つのお話がとても短い『夕陽の国ドノマーガ』。

私がごちゃごちゃ感想述べるよりも、実際に読んでほしいなと思う一冊だった。

そして、ここまで紹介してきた「ソビエトS・F選集」のうち、唯一手に入れた本だ。

そのくらい気に入った。

(本当は全巻揃えたいんだけどね……)

 

兎にも角にも、是非!

『夕陽の国ドノマーガ』の章だけでも読んで欲しい!

 

 

 

TOP画は以下からお借りして加工させていただきました!

菫イラスト - No: 104969|無料イラスト・フリー素材なら「イラストAC」 (ac-illust.com)

 

 

 

 

 

 

なんちゃってゴールデンウォーク企画で、シリーズ物をまとめて紹介させていただきました。

いろんな"SF"に触れられてとても楽しかった。

 

 

 

 

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