彼にもっとふさわしい役は来ないものかと思っていたが、先日まで放送していたBS松竹東急の「商店街のピアニスト 永遠の調べ」は、いい感じだった。お話としては30分ずつ12話もあったけど、ちょっと緩い、いやもとい、ふんわりしていた。下の写真、いいでしょ~。
念願のオーナーシェフと専属ピアニストとして、商店街に小さなフレンチレストランをオープンさせた夫婦水崎恵太とかおり(田口浩正と藤田朋子)だったが、あまり時をおかずにかおりの病気が発覚し、すぐ亡くなってしまった。恵太は落胆が激しく、店を休業して、妻の大事にしていたピアノも思い出すと辛いから売却しようとする。しかし、夜に店で一人、2つのグラスにワインを注ぎ、そのひとつをピアノの上に置くと、ぼうっと青くかすみながら妻の幻が現れて、お得意のショパンのノクターンを弾き始めるのだ。彼女と会話をしながら心を慰める恵太。(ホラードラマではありませんよ💦)・・・昔、寺尾聡と大竹しのぶがそんなドラマをやっていた。倉本聰脚本で、タイトルは「優しい時間」だったか。二人の一人息子がニノで、その彼女が長澤まさみ。息子のニノが運転する車が事故をおこして、同乗していた妻だけ亡くなり、愛妻家の父はどうしても心にわだかまりが残って、脱サラして富良野の郊外に喫茶店を開業した。名前は「森の時計」。夜閉店した店に一人いると、妻の幻がカウンター席に座り、夫婦の会話をするのであった。そのロケ地に昨年晩夏に旦那と旅行して、お店も訪ねた。店のカウンターに座ったお客だけ、自分の分のコーヒー豆を手動ミルで挽くことができるのだけど(ドラマでもそうだった)そこは満席だった。(^^;)
結局、ピアノは売りに出さず店において、ストリートピアノとして開放する時間を決めて、弾きたい人に弾いてもらうことになった。常連は商店街の人たちとなじみのお客さん。そしてこのピアノに集う人たちには、娘との仲を修復したい父親とか、この店でプロポーズした彼女に別れを切り出したい人とか(不治かもしれない病が発覚したから)、様々なドラマがあった。
ありし日の妻を含むレストランスタッフ3人。若い子はパティシエ希望なのだが、面接に来たとき持参したモンブランをかおりが励ましてくれたので、(技術的には恵太の眼鏡にかなっていないが)その後もモンブランを極めようとそれしかつくらない。
ある日、店に一人の寡黙な何かわけのありそうな青年がやってきた。今西浩平というその青年は、現在ヨーロッパで活動しているはずの新進ピアニストなのだが、かおりの知り合いだったらしい。そして毎日のようにピアノをひきに来て、商店街には彼のファンも誕生した。
井上君はピアノは弾けないらしく、手元は吹き替え(っていう?)である。多分彼の手よりもいくぶん小さめであろう手が美しい旋律を奏でる。余談だけど赤楚衛二君はお母さんがピアノの先生で、彼は弾けるのだそうだ。
ドラマでは毎回テーマとなる曲が変わった。ノクターンとか田園とかくるみ割り人形とか。彼は何も言わなかったが、かおりの親友の一人息子でかおりにピアノを習っていたことがあり、彼の両親が亡くなったためかおりが学費を援助して、音楽の勉強ができたらしい。(かおりも恵太に何も言っていなかった)その後コンクールに入賞してプロになった彼は、毎月律義にかおりの口座に入金していた。
後でわかったが、彼はヨーロッパで恩師の先生(名取裕子だった)のリサイタルに招かれ、連弾をしたときに、ミスをしてしまったらしい。大恩ある先生にご迷惑をかけてしまった、そのことで、イップスのようにどうしても同じ曲でミスをするようになり、日本に帰ってきたのである。しかしかおり先生は亡くなっていた。(´;ω;`)
やっぱり井上君は横顔きれいだな。彼は商店街で恵太をはじめ多くの人とかかわっていくうちに、次第に心にゆとりをとりもどしていった。最終話では先生もいつのまにか来てくださって、まだ解決できないでいる浩平に、かおり先生から教わったことを思い出しなさいといった。
恵太は恵太で、かおりの「第九」の楽譜にはさまっていた将来の目標メモをみつけた。そこには、将来浩平の演奏を聴きに二人でウィーンへいくとか、お店の周年イベントに浩平を招いてコンサートをするとか、かおりの夢が書き込まれていた。
それを見て、立ち止まっていてはいけないなと思ってはいたのだが、ようやく店を再開する決心がついたのだった。かおりからのプレゼントであるタイを結んで久しぶりのコックコートを着た恵太。今日は浩平のクリスマスコンサートを店で開くのである。
かおり先生には、技術ではなく、心を込めて弾くことの大切さを何度も教わりました。そこに立ち返りやりなおします、ピアノはやめませんという浩平。(余談だけど浩平のジャケットが可愛い。両胸にスカラップの窓のようなデザインがある。)それは僕も覚えている、僕もまた始めるよと恵太。
あたたかなこじんまりとしたコンサートだった。先生も聴きにきてくださった。演目には第九も。
そして、先生はピアノに向かい、あの曲の連弾を促した。緊張した面持ちでひき始めた浩平だったが、今度はひっかからずにちゃんと弾けた。(^▽^)/(ピアノ狭いな💦)
以下は素人の疑問:想良くんどこ見てるのかな?ほんとならもう暗譜してるだろうし手元も見ないんだろうけどね。違う?ハンガリー狂詩曲って連弾するような曲だっけ?
先生に認められ、心も回復して、浩平はヨーロッパに(ウィーンかな)帰っていった。
もう自分とかおりの息子のように思っている恵太は、「浩平、いってらっしゃい」と送り出し、浩平も「行ってきます」と歩いていくのだった。
この商店街のピアニストにはシーズン1があった。(今回は2にあたる)その1は見ていなかったのでよくわからないけど、ピアニストは駒ケ木根葵汰くんだったようだ。下の写真ではひいているピアノが写っていないが。「天狗の台所」では、口数の少ないやや浮世離れした青年(天狗だからねえ💦)を演じていた。後でそのまとめが書けるかな?
それと、かおりさんのピアノ、ちょっと珍しいものだなあと思って調べた。日本でよくみるアップライトピアノならたいていヤマハか河合のだから。そしたらアメリカのメジャーなBaldwinのピアノらしかった。特殊な作り方で、鍵盤の位置が低く、家庭でも小柄な人でも弾きやすいが、その割には豊かな響きをもつということだった。
追加 エンディング曲が林部智史さんのomoideという曲だけど、しみじみとして美しくで素敵な曲です。

















