佐藤正午の「カップルズ」を読んだ! | とんとん・にっき

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佐藤正午の「カップルズ」(小学館文庫:2013年1月9日初版第1刷発行)を読みました。この本は、集英社より刊行された「カップルズ」(単行本:1999年1月刊、文庫:2002年1月刊)を、あらたに編んだ作品集です。目次を見ると、「好色」「カップル」「アーガイルのセーターはお持ちですか?」「輝く夜」「あなたの手袋を拾いました」「いまいくら持ってる?」「グレープパイン」の7篇からなる短篇集です。本のカバー裏には、以下のようにあります。


その街では、男と女の噂話がいくつもささやかれている。冷え切った仲の夫婦、夜逃げをした男、ある事件の被害者と未亡人、百貨店勤務の男と女優、手袋をつけた娼婦、アーケード街の絵かき、おとこたちがむらがった ホステス…噂話の登場人物はどれも多彩だ。噂はいつも事実よりひと回り大きい。ただ「小説家」の興味をこれほどひくものはない。語り手の「私」は噂の真相を探りつつ、事実よりはるかに面白い物語に仕立てあげてゆく。文壇屈指の小説巧者が、街の「小説家」の視点を借りて描いた作品集。全7篇を所収。


文庫本を読む楽しみは、巻末の「解説」を読むことにある、といえば、作家には失礼だが、事実、そういう解説に出合うと、我が意を得たり、膝をたたいて喜んだりもします。川上弘美が「解説」を書いてると聞いて、単行本を持っているにもかかわらず、その文庫本を買い求めたこともあります。今回の佐藤剛、音楽プロデューサーらしいが、たまたま音楽業界の3人で、「もっとも小説家らしい小説家」として佐藤正午の作品を読み、「正午派」を標榜し、単行本は当然、エッセイも含めて情報交換していたという。


音楽業界の佐藤正午派誕生から20年、その名も「正午派」という究極の佐藤正午読本が、2009年に刊行されます。内容を紹介する告知の文章を目にして佐藤剛は、「お見事!」と喝采を上げた、という。その文章は「精緻を極めた文章と綿密に計算され尽したストーリーの作品を発表しつづけ、文壇屈指の小説巧者との呼び名も高い小説家・佐藤正午」と無駄のない言葉にまとめられていた、という。


不思議なことに、世間の目が意外に節穴だったせいもあって、佐藤正午の小説は、文学賞とは今なお程遠いところにあります。残念ながら、僕には正午派のような話を分かち合える友人はいませんが、それでも佐藤正午の本を読み続けます。昨日の新聞の広告に、東京メトロ銀座線の吊り広告に、佐藤正午の「書くインタビュー1・2」が小学館文庫から出たようです。さっそくアマゾンに注文しました。


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