本日は岡村孝子「心の草原」(1990年リリース) です。
1987年に発表した「夢をあきらめないで」がたちまち世間からの支持を集め、名実ともに代表曲となると、その後の孝子さんの活動は上向きになってきます。1987年のアルバム『libert』はソロ活動において初のトップテンヒットとなり、ここから徐々に孝子さんのソロ活動が高く評価されていきます。一方であみん時代とは異なり、テレビ等のメディアには殆ど出演せず、ラジオのレギュラー出演を行う以外は、音楽制作の方に邁進しました。1988年のアルバム『SOLEIL』は初のオリコン1位を獲得し、あみん時代のファンのみならず、当時の若い世代に支持され、OLの教祖という呼び名が付いたほどでした。
1990年に入ってもなお人気が衰えることない孝子さんでしたが、この時期に珍しく髪をバッサリ切ってショートヘアスタイルにするなど、イメージチェンジを図りました。その時に作られた作品が、この「心の草原」でした。
歌詞は「わたし」が抱く、夢へ向けて前向きになろうとする姿を描いたもの、そして「あなた」への憧れを綴ったものとなっており、孝子さんらしい作風となっています。
「夢を追いかけた 瞳のその奥に」
「映ってる青空を 確かめるように」
ひたむきに夢を追いかけていたあの頃のわたし。その瞳に映るきれいな青空と自分が重なります。
「遥か輝いた 理想の大きさに」
「少しずつ気付くたび ため息をついた」
わたしが思うよりも、追いかける夢は、とてつもなく現実味がなかったり、かなり大きな理想を描いていたことで、徐々に夢から醒めていき、「わたしには出来ないんだ」と落ち込んで、そっとため息をついたのでした。
「いつかかなえられると信じてる 情熱届け」
「あふれだす想い 誰かに伝えて」
でも成長して大人になったわたし。夢を叶えることを諦めなければ叶うかもしれません。その熱い想いが誰かに伝わればいいな、と思っています。
「光降りそそぐ 心の草原に」
「色づいた ひとすじの風が吹きぬけた」
わたしの心に、熱い想いを秘めた心が宿りました。無色だった心に色が付き、その夢に向かうためのスタートを切るような風が吹き抜けたのでした。
作曲は孝子さんで、編曲はお馴染みの田代修二さんによるもの。キーボードメインのスローなポップスとなっています。孝子さんは「ジャネット・ジャクソン (Janet Damita Jo Jackson) の影響を受けて作った曲」だと話しています。スローなポップスと孝子さんの歌声が最高にマッチします。
歌詞の最後は
「少しずつ 少しずつ 前に進みたい」
とあります。夢に向かって少しずつ前に向かいたいですね。