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個別報告 その他

3/5 今日はヨコハマ暖かな快晴日。いいね。

写真はフルチューン希望で持ち込まれた町田市のOさんのギブソン・レスポール。
ペグロケーション変更、ペグ変更、ピックアップ・キャビティ埋木加工、ブリッジ・ロケーション変更とダイレクト・スクリュー方式に変更、ブリッジ変更、テールピースをアルミ製に変更、ピックアップ・サーキット総変更でtmp仕様化、ナットを牛骨削り出しに変更、ざっと以上の作業を予定しています。

板材の写真は昨日のブログで、通常のメーカー製造現場に於いては実際には製材は行なわれておらず製材接ぎ加工済みの状態で専門業者さんから納入されている点について触れましたが、その実際が写真の板材です。(この個体はライトアッシュ材の2ピースでベースサイズ)
頼めばこの状態で納入して貰えるんです。楽チンですねえ~

ここまで加工された状態でメーカーさんも購入してるんです。
時折、メーカーのカタログ写真などではその下請け加工業者さんの工場内の設備写真が使われたりして、あたかも全て自社工場で加工を行なっているかの如く掲載されたりしていますが、実際には製材設備を備えているメーカー工場などこれまで一度も目にした事がありません。

実は楽器作りに於いてここまで加工された状態に持ち込むまでがかなりの手間なんです。丸太材から挽き割って大きな板材にするのも巨大な木工機械が必要ですしね。ワタクシの場合はその挽き割った大きな板材を購入してそこから先を全て自分一人でこなして来たわけです。
そうすれば木取りも接ぎにも自分の意向に沿った作業が行えますからね。

先月の大きな手術で既に重量の在る素材を扱うには身体に負担が架かり過ぎている事が明確になりましたので、今後ワタクシも出来る限りこうした製材加工業者さんから材を購入する事で負担を軽減させざるを得ません。
でもこうした専門業者さんには自分が採用したい素材が無い場合も多々あります。
それはこうした業者さんには大手楽器メーカーからまとめオーダーが常時出て来るメイプルやアルダー、バスウッドやアッシュ系、アフリカン・マホ、スプルースなどの既存の製品に多量に採用される素材の在庫だけがメインだからです。

ワタクシの場合、メイプルも特定な種木しか使いませんし、通常のスプルースもアフリカ産のマホも殆ど採用しないので、主にライトアッシュやバスウッドの厳選材を購入するだけになりますが、少しでも作業負担を軽減させていこうと考えています。勿論、こうした生地材を燻煙処理してクオリティを高めて行きながら製作を行なう事は言うまでもありません。

そんなワケでして今後はこうした業者さんから素材を入手する関係でボディ材にライトアッシュ材の採用を以前より増やしていく予定です。

最後の写真はスロープヘッド化に取り掛かったTB-5のネックです。まだフラットヘッドのままでペグ穴を埋木加工した段階でのショットです。この試験の確認データで最終的な設定を決定致します。


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コレクション?

3/4 ヨコハマそこそこの晴天。でも寒いです。

左の写真は本日半日掛かりで仕上げたTELESAセミホロウ用のトップ板です。そして右は素材違いや設定違いでストックされているトップ板の皆さん方です。
ワタクシにはある種、可愛いコレクション・アイテムみたいなもんです。(^ ^)

本日完成させたマホ系のトップ材の元素材は5年程前に板材入手したものですが、その時点で2mオーバーのサイズで100キロぐらい重量もありましたが、裁断し挽き割りを重ね、徐々に薄くし、狂い出しを行なっては修正を重ねて最後に2枚に挽き割ってブックマッチで接いで、最終的にはこんな感じ仕上がったわけです。

メーカーさんではこうした原木に近い状態から加工作業を自社で行っている場合は少ないです。大型の木工機械を備えた外注会社に楽器サイズまで板材を挽き割って貰った上で納品されているケースが多いです。
ですからそれこそ典型的な分業で製品は製造されているわけですね。

そんな関係で今では設計から素材選び、そして加工作業から最終セットアップに至までの全ての行程を一人でこなせる人はメーカーさんには一人も居なかったりする事は珍しい事ではありません。それほど分業化されています。
ちなみに、手工品と銘打った製品で楽器に製作者っぽくサインが入っているものを見受けますが、そのシグニチャーも品質管理責任者の方のサインであって、実際にはあくまで分業製造されたものであり、その責任者の方は楽器の全行程を一人で作り上げる事は出来ない方である場合が殆どです。

分業化の中ではなかなか優れた技術者は育ちにくいですから、これもある種、分業化の弊害と言えるかもしれません。これは国内に本格的な製作家が育たない要因のひとつになっているとも考えられます。

こうした現状ではますます中国などで同じ様に分業化で生産された似たような製品ばかりが溢れ、いずれ国内のメーカーは製造に行き詰まり、中国産の製品を国内販売するだけの商社化が進むでしょうね。国内の楽器店に中国製ばかりが並ぶ日も遠くはないでしょう。たいへん残念に思います。

それにしても、そろそろ暖かくなって欲しいですねえ。

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まとめ報告

3/3 今日はひな祭りですか。寒いですけど。

写真は本日のメニューでTELESAセミホロウのトップ板となる素材のブックマッチ接ぎ作業と、久しぶりの塗装作業を停滞していた個体数本とスロープヘッド化のネック2本に施しました。
気温が低かったのでちょっと難しかったですね。

たま~にワタクシの製作スタイルをストイック過ぎると感じる方もいらっしゃる様子です。
まあ反論するワケではないですが、例えばどんな職種であれ、その世界でのトップを目指している方であれば、ストイックとも言える一面を持たない方の方が少ないんではないでしょうかね。

楽勝でその世界のトップに到達出来ている方もおられるかもしれませんが、ゼロからスタートし奥深いその先にあるものを掴もう、極めたいと欲する場合、探求し追求し続けるのがむしろ普通の姿の様にワタクシは思いますね。
誰も到達した事の無い次元にまで自らを高めて行きたい、そう願い臨む姿が周囲からストイックに見えるのであれば、それは周囲の方が凡人に他ならないからでしょう。

でもワタクシの場合、凡人ですし精一杯やってる、それだけのことであってストイックだなんて・・第一そんなの似合わないでしょ? (^ε^)>

久しぶりに中野ブロードウェイに遊びに行きたいと思ってますしね。o(^-^)o

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個別報告 その他

3/2 寒い!なかなか暖かくなりませんねえ。小雨も降ってました。

写真のスロープヘッド化の2本も塗装がなかなか進められずにいます。でも後はコーティングと仕上げだけですからね。もう暫くお待ち下さい。

もう一枚の写真は昨日の続きTB-5のネックを製作する為の外周切り出し用の加工テンプレート。
このガイドに沿ってネック本体のカエデ材から外周切り出しを行ないます。

大まかなネック製作工程をお話ししますと、まず乾燥済みの板材をこのテンプレート形状で切り出し、ネックのグリップ部分の粗加工を行ないます。その次にトラスロッドの埋め込み溝加工を行ない(湾曲溝加工)その後、ロッド自体を湾曲させた状態で埋め込んでからその湾曲に合わせた形状の溝フタを同じ素材で作り、埋め込んだロッドに密着させてフタを接着します。
溝を埋め込んだフタの上面にはみ出した部分を削り取って平面精度を出します。そうしてサークルフレッティング仕様の指板を接着し完全硬化したら今度はヘッドの段差加工を行ないスロープヘッド設定に合わせた傾斜加工を済ませてから、ヘッド上面に平行になるようにヘッド裏面を加工すれば、次はペグロケーション設定通りにペグ穴加工、その後はネックのグリップの全体加工です。その加工全てが終了したら生地研磨で仕上げです。

言葉でザックリと話せばこんな感じですが、ここでは量産メーカーの様にプログラミング・ルーターマシンで殆どの加工を行なう訳ではありませんから実際には1本1本、小刀やカンナを使ってコリコリ削りながら仕上げて行きます。
ちなみに、ギターはボディ本体よりもネック製作の方がより技術やノウハウが必要です。製作段取りを誤ると将来は暴れネック間違い無しのネックの完成となりますからね。( ̄ー ̄)
ですから量産メーカーの様に一日数百本もの生産ペースでありながら素晴らしいネックを製作するなんて事自体がそもそも困難至難の業です。
だいたいこんな感じ、と言った仕上がり具合なのは仕方ないんです。

tmpでは燻煙処理で安定化させながら仕上げて行きますから実際にはメーカーの数倍の手間ひまが掛かります。
取り敢えずは現在、フラットヘッド仕様の5弦ネックをスロープヘッド化する試験作業を行なっていますので、それで最終設定出しをしてから次には各種の製作治具の作製を行ない、そこで初めて正規のTB-5のスロープヘッド・ネックの製作が可能となります。

以前行なっていたメーカーさんの開発仕事では、およそ1本の試作開発費用で70~100万円の予算を頂いて開発していました。でも今は個人製作家ですから全て開発費用は自腹でございます。(・_・;)
誰か、資金カンパして! でも寒波はいらないよ! ( ̄ヘ ̄)
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抜けた感じ

3/1 3月がスタートしましたね。まあ、天候は肌寒い小雨日ですけどね。

単純に不思議に思うのですが、3月に入ったとたんに身体がスッと軽くなったんですね。
まるで体重が健康なまま10キロ減ったらこんな軽さに感じるんじゃないかな、と言った感じの軽さ。

たぶんこれが普通の人の通常の状態なんだろうと思います。身体に変なストレスやトラブルが無い極めて純健康体と言うか。もしかすると何十年も忘れていた感覚かもしれません。
プロレスラーが必ずどこかに負傷を抱えながら戦い続けて来た様な、そんな感じのこれまででしたからね。
まあ、実際には背骨間の軟骨が何カ所も失われていますから通常の健康体とは言えないんですけどね。

でも極普通の健康体に近づけた、その喜びがじわじわと湧いて来てます。
何かを抜けた、そんな感じで爽快です。(^ ^)

写真は本日のお仕事で、スロープヘッド設定の5弦ベース・ネック本体を切り出す為のテンプレート作成中のショットです。本日は設計に沿ってテンプレートとなる板材に直接ライン書き込み。明日はこれを切り出し加工する予定です。
後は試作試験で微妙なヘッド角設定とヘッドダウン値とペグ・ロケーションなど検証作業が残されます。
これも頭の中に響いている響き方に実際を近づける作業と言えます。

最初に最後を想う ワタクシの座右の銘は楽器作りにも そのまま生きています。(^ε^)

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2月ラスト

2/28 2月も終わりですね。ヨコハマは冷たい雨が降っています。

写真はイタヤカエデの板材を裁断し、サイズダンウさせながら安定させ、そこからまた挽き割ってスロープヘッド化作業の接ぎ材としているところです。

今回は5弦ベースのスロープヘッド化の為に厚めの接ぎ材を準備しています。設計上は接ぎ厚も計算で出ていますが実際にフラットヘッドを作り替えて具体化してから設定出しして行きます。

たぶん、写真だけ見て「なんだ板っぺらの写真かいな」と思われる方も多いんでしょうね。(^ ^)
ミュージシャン含めそこらへんの反応はそれぞれのように感じますけどね。
完成品の写真じゃないと何の興味も示さない方や、それだけじゃない部分にも興味深いと感じる方と。
総じて、音楽や楽器のこと以外にはあまり興味を示さない方も多いように感じますね。

木材だったら木目がみごとなトラ木とか玉目うじゃうじゃ出てると「お~っ!」と言う反応を示すけど
本当に良い素材であっても見た目が地味だと無反応だったりね。本当にいいものを見分けられる方は昔から業者にすら少ないです。
傾向として、見た目が命の人って日本人に本当に多い様にも感じ残念に思ったりもします。

実際に長年こんな仕事していると分かるんですが、味わい深いプレイ、魅力的な演奏をする方は音楽以外、多方面にも興味を抱いておられる方が多い様に感じます。反対に音楽であっても自分の好み以外の音楽に殆ど興味を示さない方だって結構多いですからね。
やはりそこは音楽ですから、その人の人間性が大きく影響しているからでしょうね。

そうした奏者の場合、なんだか奥行きの無い薄っぺらなものを感じてしまうと言うのも事実ですね。
出来れば、懐の深い演奏家が日本から沢山出て来て欲しいな、と言うのが製作家としてはいつも願うところです。それは取りも直さず、その人の人生の厚みから生まれ出るものに感動したいと言う事ですから。

こんな板っぺらの写真ですが、時に遥か遠くの国から海を渡り、年月を経てシーズニングされ手間暇掛け加工された上で今こうして存在する(実際にこの板材も元は80キロもある板材でした)と感じられれば、単に板っぺら、としての存在とは別の意味を感じ取れるはずです。
現に、ワタクシには単なる板っぺらとは思えないですもん。ひとつの結晶みたいに感じています。

たぶん、そうした様々な想いが最後にひとつに重なって音となって現れて来ると思っています。
そうした思いが愛情であり、技術はそれを具体化させる手段に過ぎません。

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リハビリ・ウィーク

2/26 今日もヨコハマ快晴。暖かいです。

写真はマホ系の板材を挽き割ってブックマッチ接ぎの前段階でのショット。
この素材は正確にはアフリカ産の欅系でマホガニー・トーンを備えながらマホよりも腰が強く粘る素材です。強度が高いのに硬くて倍音が得にくいサペリとかブビンガとは異なりより楽器向きです。
但し加工し易い材ではないのが難点。

セミホロー構造のトップ材にマホを使いたい場合、それは取りも直さずトップの響きにマホのトーンが欲しいからですが、実際にはホンジュラスマホであっても強度の為に柾目に近い木取りをしないと腰砕けのサウンドになってしまいがちで、薄めの材厚に設定するとチープな響きしか得られない傾向が如実にあります。なんだこりゃ、ベニヤ材かっ!って感じ。( ̄ー ̄;)

また柾目木取りは基本的に面積の広い楽器(フルアコやアコギ)には構造強度が必要ですから向きますが、面積の狭いエレクトリック系には表情の乏しいオモシロく無い鳴り方になりがちなんです。キッチリしてたりフラットであったりとメリットは勿論あるのですが、ピッキングニュアンスの違いの差が出にくかったり倍音が整理され過ぎていて無表情的な響きをするのでワタクシは柾目のトップ材仕様はあまり採用しないんです。 なに気取ってんだ、ちゃんと歌えよ! まあ、そんな感じ。
ですからワタクシは基本的にトップ材には響きが豊かで強度も出せる順柾目木取りしか行なわないのです。

皆さんだってそうでしょうけど、例えば見た目がキレイな女子だとしても、あまりに喜怒哀楽に乏しいと、一緒に居てもつまんないでしょ? 嬉しいんだか楽しいんだか、よく分からない女子って。

そんなワケで実際にはマホガニー材ではないのだけれど、欲しいトーンが得られて柾目木取りしなくても強度も充分であり、倍音も豊かでありながら腰があるので音砕けせず、レスポンスも良い。
あえてマホ材でなく採用しているのがその理由です。

しかし、コイツがエラク重量級でして、長さ2m超、厚さ70ミリ、幅600ミリのサイズで100キロ程あるんです。それをひとりでサーフボードみたいに抱えて移動したりひっくり返したりして裁断していくのですが、その際に全身の骨がギシギシきしんで縮む思いがするんですね。
同じ重量でも人間を抱え上げる方が遥かに楽です。1枚のこの材の裁断作業でその後の数日間は身体がガタガタになります。

そうした手強い素材を写真のトップ材用にまで寝かして加工してを繰り返し、徐々に最終サイズにまで挽き割っていくのですが、その作業の代償が言ってみれば今回のワタクシの手術の原因となっているわけですね。背骨の軟骨が擦り切れて無くなり骨同士がぶつかり合う様になってしまうワケです。

量産工場ではフォークリフトがあったりスタッフが何人も居たりしますから身体の負担はぜんぜん少ないのですが個人製作家の場合はそんなわけにもいかないのが現状です。

以上、今週はリハビリ・ウィークでしたから1日4時間作業でしたが、来週はそれを6時間にまで延ばすつもりです。3月の中旬には1日8時間作業に戻しますが、今後はそれ以上の作業は行わない様にするつもりです。
そんなワケでして、今後tmpの営業時間は17時までとなりますのでご了承下さいませ。m(_ _ )m

とは言え、明日は日曜ですが来客の都合で休めません。仕事である以上は仕方ないですねえ。( ̄  ̄)


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個別報告

2/25 今日は風が強めですがよく晴れた暖かな1日です。

写真は引き続きスロープヘッド化の2本。本日HYさんのネックも生地加工全て終了し塗装の下地工程へと移行しています。

どうやらワタクシの勘も戻った様子で以前と同じ加工スピードで作業出来ています。
まあ、以前との違いはまだ少し疲れ易いかな、と言った感じです。
同じ様な手術内容でワタクシより早く入院し手術箇所も少ない方が未だに入院したままだそうですからワタクシの場合、驚異的とも言える回復力みたいです。

とは言え、調子こいて悪化させてはいけませんから今日はこのくらいで勘弁してやろうと思います。(^ ^)

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個別報告2件

2/24 今日のヨコハマは曇り空、時折小雨がパラパラ。

写真はスロープヘッド化の作業の生地加工が全て終了したばかりのギタリストのYさんのtmp製ストラトネックです。
もう1本、スロープヘッド作業に移行したHYさんのCCRのネックは現在ヘッド裏に接ぎ木中です。

Yさんの方は天候が回復したらこのまま塗装作業へと進めます。これでYさんは所有するtmp製の楽器全てがスロープヘッド化ですね。HYさんはこれでSH化は5本目でしたっけ?お二人とも今回もお楽しみに。

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個別報告 東京のHYさん

2/22 復帰2日目は写真のHYさん所有の04年製CCR-SMSのスロープヘッド化作業で本日からスタートです。まずは、作業が遅れました事をお詫び申し上げます。スミマセンでした。m(_ _ )m

この個体はギブソンと全く同じミディアム・スケール設定の楽器です。返し音の設定上、バック材もトップと同じスプルース材を採用しています。

その他の作業では中断していたカスタム製作の数本の塗装作業も進めています。
たぶん来週にもなれば勘は完全に取り戻せると思います。何と言っても身体に染込んでますからね。(u_u)

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