【返歌】
 
 
 
君をわかってあげられなくて ごめんね
 
ウソばかりついて ホントがわからなくなってしまって
 
夢なんてきれいな言葉で飾らないで
 
みんなウソなんだよね
 
 
 
君とあの日 見た 夕焼け
 
あのときの幸せ 覚えてる?
 
孤独な君を見てるのがつらい
 
さよならじゃなくて 「またね」がいいよ
 
 
 
君のそばにいてあげたいけど
 
君を遠くから見るしかないんだ
 
わたしには君をわかってあげられないよ
 
だけど ウソで飾るのはやめて
 
 
 
やけになってしまう君
 
破壊は悲しいから
 
君には目の前にある美しさを見てほしいんだよ
 
 
 
言葉の雨に打たれながら立つ君は強いんだ
 
季節はめぐる
 
遠い記憶の中にある景色
 
過去はどこにもないんだ
 
 
 
君をわかってあげられなくて ごめんね
 
生きたいと 生きようと 君はそう願っているね
 
言葉に打たれるのは 君がウソついてるからさ
 
仮面ばかりなんだよ
 
素顔の君が見たいんだよ
 
 
 
わたしの言葉を届けたい
 
君の心へ響くように
 
君の渇きが癒されるように
 
いつか そんな日が来るのを待っているよ
 
 
 
君とあの日 見た 夕焼け
 
孤独も美しさへ変えて
 
君とまた 会いたい
 
夢の中なら 会えるかな
 
もうウソはつかないで
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
#ヨルシカ
#思想犯


ヨルシカ 「空とカプチーノ」


灰色に白んだ言葉は カプチーノみたいな色してる

言い訳はいいよ

窓辺に置いてきて 数え切れないから

灰色に白んだ心は カプチーノみたいな色してる

言い訳はいいよ

呷ろうカプチーノ おどけたフリして


さぁ 揺蕩うように雨流れ
僕らに嵐す花におぼれ

君があせないような思い出を

どうか どうか 君があふれないように


波まつ海岸 紅夕さす日

窓に反射して

八月のヴィスビー 潮騒

待ちぼうけ 海風一つで


夏泳いだ花の白さ 宵の雨

流る夜におぼれ

誰もあせないような花一つ

どうか どうか 胸の内側に挿して


ずっと おかしいんだ 生き方1つ教えてほしいだけ

払えるものなんて僕にはもうないけど

何も答えられないなら言葉一つでもいいよ

わからないよ 本当にわかんないんだよ


さぁ 揺蕩うように雨流れ

僕らに嵐す花におぼれ

君があせないように書く詩を

どうか どうか どうか今も忘れないように


また一つ夏が終わって 花一つを胸に抱いて

流る目蓋の裏で

君があせないようにこの詩を

どうか どうか 君があふれないように

ヨルシカ 「空とカプチーノ」



ごめんね 透明じゃなくて

灰色に混ざっちゃったんだ

お日様に当てようか 澄んだ色になるように



ごめんね 透明じゃなくて
灰色に混ざっちゃったんだ

一緒にカプチーノ飲もう 明るい君が好き



雨がゆらゆら踊ってるね

花が心をかき乱すね

忘れないでね わたしのことを



君と約束した海

キラキラ輝いていたのに

あの日 あの場所で 波がざわめいて

君は来なかった 風だけが吹いていたよ



あの夏 花が素敵だったよね 雨も降ったけど

素敵な夜もあったんだ

忘れないよ この花と君のこと



わたしの声はもう届かない

もう終わっちゃったね

届けられないから

君を見てるのが つらいよ




雨がゆらゆら踊ってるね

花が心をかき乱すね

忘れないでね わたしのことを




わたしも忘れないから

君をいつまでも感じているよ

わたしも君を忘れないから


昔々、あるところにウソとホントがいた。

ウソは、いつも嘘をついた。

ホントは、いつも本当のことを話した。

ホントは、ウソに言った。

……嘘をついても、逃げられない。嘘には安らぎが無いんだよ。

ウソは、強がった。

……逃げるしか無いんだ。戦うのが怖いから。

ホントは、いつも逃げなかった。

本当のことを言うのは、きつい。そして、そこから逃げないのは勇気がいる。

ホントは、いつも弱い自分と戦う。

真実の矢面に立ち、批判されても、真正面から話した。

ホントには味方が大勢いた。

本当のことを話すから。

ウソは、ホントに聞いた。

……どうして、そんなに強いの?

ホントは笑った。

……逃げなければ、必ず、わかってもらえるから。

ウソは、「もう逃げない」という言葉も嘘になりそうだと思った。

嘘にまみれて、戦えなくて…

ウソは、ホントに聞いた。

……どうすれば、君のように強くなれる?

ホントは言った。

……素直になるといいよ。素直は、相手に伝わるから。

ウソは素直になった。

いろんなものをくっつけすぎていたと思った。

何も足さない素直な自分になったとき、ウソに居場所ができた。

そこでウソは本当の自分と会った。
昔々、あるところに生きることに悩むテツガクがいた。

家族に悩み、人間に悩み、恋愛に悩み、進路に悩んだ。

いつも考えていた。

なぜ、生きているのか?

どう、生きていくのか?

生きることの答えが欲しかった。

ある日、テツガクは、ヒカリと出会う。

ヒカリは、テツガクを輝かせた。

ヒカリと恋に落ちた。

生きることの意味は、愛することだと思った。

働くのは、ヒカリのため。

成長するのは、ヒカリを喜ばせるため。

ヒカリのために、一生懸命、努力した。

ヒカリは言う。

……あなたの闇は、わたしが祓う。わたしは、あなたの輝きを蘇らせるから。

テツガクの中に光はあった。

ヒカリのために生きるとき、テツガクは発電するように愛を燃やしていた。

幸せは与えられるものではない。

幸せは、自分の中に。

誰かを愛する気持ちが、闇を祓う光を放つ。

テツガクとヒカリは、末永く幸せに暮らした。

お互いをずっと思いやりながら。

テツガクは聞かれた。

……なぜ、生きるの?

テツガクは答えた。

「愛する人がいるから」
昔々、あるところにオシャベリがいた。

オシャベリは、口が軽く、話さなくていいことまで話しては人を不快にしていた。

オシャベリは言うことと、していることが違っていて、そこも人を不快にさせるポイントだった。

オシャベリがあまりに人を不快にさせるため、オシャベリのまわりに人がいなくなった。

ある日、オシャベリはムイシキと出会った。

ムイシキは言う。

……オシャベリ。口が軽いのは無意識が軽いんだ。無意識を深くするんだ。そうすれば、口は重くなる。

ワラにもすがりたい気持ちだったオシャベリは、無意識を深くした。

言葉を軽く出さない。

言葉の奥の奥をよく見る。

合気道で相手をかわしていくように。

オシャベリが言葉の奥の奥をたどっていくと、そこにムイシキがいた。

ムイシキは言う。

……やあ、また、出会ったね。君はもう大丈夫。君の言葉は、道になり、公共事業のようになるだろう。実現するからね。

ムイシキは不思議なことを言った。

オシャベリは無口になった。

たまに話すことは、とても力をもった。

下手なことを言うと、人を不快にさせる力が凄まじかった。

オシャベリは気をつけて、言葉の奥の奥をよく見た。

いつしか、オシャベリの言葉を楽しみにする人が増えた。

オシャベリの言葉は道になり、その道を歩いて、多くの人の生活が楽になった。

オシャベリの言葉は、すべて実現していくから。

みんなオシャベリの言葉を聞きたかった。

オシャベリの言葉はムイシキの言葉で、ムイシキは、みんなとつながっていた。

オシャベリは、ムイシキの受付窓口のようだった。

オシャベリは、人のために生きて、喜ばれた。
昔々、あるところにタベンとシゼンがいた。

タベンは、おしゃべりで、言葉で世界を支配できると思った。

シゼンは、無口で、本当に必要なときだけ少し話した。

タベンは、世界を制覇しつつあった。

誰もが洪水のような言葉に呑まれ、言葉と共に暮らした。

タベンは、いい気になっていた。

シゼンは、そんなタベンを静かに見ていた。

言葉が頂点に達したかに見えたとき、言葉が上手く回らなくなっていった。

タベンは、さらに言葉を使い、崩壊を抑えようとしたが、もうコントロール不能になった。

言葉は力を失い、誰も言葉を信用しなくなった。

シゼンはタベンに言った。

……言葉の生まれる以前に、力の根源はある。

タベンは、言葉に頼るのをやめた。

シゼンのように無口になり、心を感じるようにした。

心の奥の奥に、言葉にならない何かがあった。

それは、言葉にしてはいけないものだった。

それをつかんだとき、タベンは再び、力を取り戻した。

しかし、前より、おしゃべりでは無くなった。

言葉の力を失ってしまうから。

タベンは、シゼンに言った。

……言葉は、力の半分。もう半分は、言葉にならないもの。その両方で、本物の力になる。

シゼンは、静かにうなずいた。

世界に言葉があふれることは無くなった。

光と闇があるように

静と動があるように

有ると無いとは、2つそろってバランスがとれるものだから。
オンナは言った。

「わたしはあなたを愛してる。この手のひらでいっぱいに」

オトコは言った。

「手のひら? そんなに小さいの?」

オンナはお釈迦様のようになった。

オトコは孫悟空に。

オトコが筋斗雲でどこまで飛んでも、先が見えない。

ずっーと飛んだ先に柱があった。

そこに描いた。

オトコとオンナの相愛傘。

元にもどったオトコにオンナは自分の指を見せた。

そこに描いてある小さな相愛傘。

オンナは嬉しそうに微笑む。

オトコは目を丸くする。

オトコは、筋斗雲で飛んでいるとき、優しさと思いやりに包まれていた。

心地よい風が吹いて、お風呂のようにあたたかかった。

それはオンナの心。

オトコはオンナの手のひらに包まれて幸せだった。

でも、孫悟空じゃイヤだから

それだと、フェアじゃないから

オンナの手のひらで遊ばれるオトコじゃ、嫌だと思った。

オトコは悟りを開いた。

孫悟空から、スーパーサイヤ人になった。

お釈迦様のオンナに負けない人間。

お釈迦様とスーパーサイヤ人のスーパーカップルは、神界で有名になった。

……昔はお釈迦様の手のひらに収まっていたのに。

ヒソヒソ

……今では、お釈迦様がスーパーサイヤ人に包まれてる。

ふたりは末永く、幸せに暮らしたそうだ。
昔々、あるところにミオトシがいた。

ミオトシは、よく仕事で注意された。

見落としが多く、仕事の完成度が低い。

先輩から「よく確認するように」と何度も何度も注意された。

ミオトシは、仕事を終わらせる事ばかり考えていた。

ただ、やる。

考えるのは、叱られたくない事。

表面をなぞるように見るだけで、細かいところを凝視するような注意深さに欠けていた。

ある日、先輩から「指差し呼称しなさい」と言われた。

ミスが減るから、と。

ミオトシは、どんな仕事でも指差し呼称をして、魔法をかけるようにそのものに指を差した。

指差しとは、一点に集中すること。

意識が集まり、注意力が高まる。

ミオトシは、見るとは、ただ、見るのではなく、解像度高く見ることだとわかった。

例えば、テーブルを拭くとき、ただ、拭くのと、汚れを見ながら拭くのとでは違う。

細かなところまで見ることが、ミスを防ぎ、仕事の完成度を高める。

指差し呼称をはじめたミオトシは、見落としが劇的に減った。

先輩から褒められた。

「別人みたいになったな」

ミオトシは、指差しの魔法使いになった。
昔々、あるところにマチオがいた。

マチオは人見知りするタイプだった。

人に壁をつくり、簡単に打ち解けなかった。

いつも警戒し、距離を置いた。

自分を守るために。

傷つかないように。

そんなマチオの壁を崩すのはいつも相手からだった。

相手から積極的にアプローチされると、マチオはいつか防御を解いて打ち解ける。

心を開いたマチオは、相手と仲良くなれる。

マチオは、いつも待ちの姿勢だった。

そんなマチオが自分から積極的に動いたことがあった。

新入社員の佐々木リコ。

笑顔がかわいくて、マチオは一目惚れした。

リコのインスタ、フェイスブック、エックスを名前で検索した。

情報を集めた。

会社で、リコに話しかける。

その瞬間、バリバリと壁が破ける音がした。

「佐々木さんって、ほゃららら県の出身なの?」

わかりきっていたが、とぼけて聞いた。

「はい。ほゃららら県です」

「どの辺り?」

「ほにゃ市です」

「あー、下のほうの」

熟知していたが、あえて聞いた。

「はい。下のほう」

市の場所を下というマチオの言い方がおかしくてリコは笑った。

その時、マチオはリコと心がつながった気がした。

「K-POP好きなの?」

「はい。なんで知ってるんですか?」

「フェイスブックに書いてあったから」

「なんで、フェイスブックで検索したんですか?」

わたしのこと好きだから?

暗に聞かれた。

マチオは答えられなくて逃げた。

「あ、仕事だからまたね」

勇気を出したマチオとリコのファースト・セッション。

人見知りの壁を破ったのは、リコを知りたかったから。

知ることができたのは、マチオの新しい一面。

恋は、人を変える。
昔々、あるところにオクビョウがいた。

オクビョウは、いつも逃げていた。

注射から逃げ、試験から逃げ、人間から逃げてきた。

注射から逃げた時は、数人がかりで取り押さえられて、泣きながら注射された。

試験から逃げた時は、鹿児島までバイクで行って留年した。

人間から逃げた時は、ひとりぼっちになって精神障害になった。

オクビョウは怖がりだった。

ありもしないことを怖がっていた。

現実にそんなことないのに。

想像のお化けをつくり出して、逃げ足だけが速かった。

そんなオクビョウは、ある時、逃げるのをやめた。

オクビョウは恋をした。

不思議な助けがあり、オクビョウは結婚までできた。

妻とケンカし、離婚の危機。

今までのオクビョウなら逃げていた。

義務から、責任から、重荷から。

オクビョウは、逃げなかった。

つらいことにも耐えた。

恥ずかしいことにも耐えた。

怖いことにも耐えた。

想像のお化けは、オクビョウをおどかした。

……怖いだろう。逃げろ。逃げろ。

オクビョウは、負けなかった。

妻と子を守りたかったから。

自信がついた。

自分に負けなかったから。

信頼された。

責任を果たしたから。

信念ができた。

妻と子のために生きているから。

オクビョウは、今でも怖がり。

でも、昔より、怖がりじゃない。

帰る場所に妻と子が待っているから。