昔々、あるところにウソとホントがいた。

ウソは、いつも嘘をついた。

ホントは、いつも本当のことを話した。

ホントは、ウソに言った。

……嘘をついても、逃げられない。嘘には安らぎが無いんだよ。

ウソは、強がった。

……逃げるしか無いんだ。戦うのが怖いから。

ホントは、いつも逃げなかった。

本当のことを言うのは、きつい。そして、そこから逃げないのは勇気がいる。

ホントは、いつも弱い自分と戦う。

真実の矢面に立ち、批判されても、真正面から話した。

ホントには味方が大勢いた。

本当のことを話すから。

ウソは、ホントに聞いた。

……どうして、そんなに強いの?

ホントは笑った。

……逃げなければ、必ず、わかってもらえるから。

ウソは、「もう逃げない」という言葉も嘘になりそうだと思った。

嘘にまみれて、戦えなくて…

ウソは、ホントに聞いた。

……どうすれば、君のように強くなれる?

ホントは言った。

……素直になるといいよ。素直は、相手に伝わるから。

ウソは素直になった。

いろんなものをくっつけすぎていたと思った。

何も足さない素直な自分になったとき、ウソに居場所ができた。

そこでウソは本当の自分と会った。