ザ・スーパーガール その2
前回の続きで「ザ・スーパーガール」(79~80年)である。ちなみに「ザ」をつけないで検索すると米国のドラマシリーズが先頭に検索される。2015年、結構最近に始まった、まあスーパーマンの女性版といえばわかりやすいだろう。
さて、シリーズ後半二人のメンバーが加入する。まずは新藤恵美(早川紀子)。「美しきチャレンジャー」(71年)のヒロインから約8年、彼女も30歳になっていた。番組で共演した長谷川明男と結婚し、この前年に離婚したばかりであった。演じる紀子は元特捜課という設定だ。もう一人が日向明子(水城真弓)。当時24歳で、この79年に日活ロマンポルノからデビューしたばかりという中での大抜擢であった。79年だけで10本以上のロマンポルノに出演しており、本作と平行していたものと思われる。演じた真弓は元スケ番でヌードダンサーという設定。万引きで紀子に捕まったことがあり、警察嫌いである。
唯一の男性レギュラーが谷幹一(駒田警部)。野際陽子演じる悠子の元上司で、たびたび彼女たちの協力を仰いだりしている。
全体的には、やはりアクションのできる牧れい、樹れい子辺りが主役となる回が多い感じがする。樹は当時、志穂美悦子のようなアクションもできる女優になりたいとインタビューで語ったりもしていた。新OPでは柔道をやっている彼女だが、実際にやっていたようである。お色気は「プレイガール」に比べれば、かなり控えめな印象。やはりロマンポルノ出身の泉じゅんや日向明子、そして樹あたりが担当という感じだった。
丸1年続いたので、番組人気はあったと思われる。樹れい子と日向明子の二人は次番組である「ミラクルガール」にも継続して出演することになる。
日向明子は翌年には「三年B組金八先生」の生徒の姉役で出るなどドラマ女優の道に入っていくが、泉じゅんは逆に戻った形でロマンポルノに多数出演している。それなりに女優として地位のあった新藤恵美も80年代に数本のロマンポルノに出演したりしている。ところで、泉は数年後に16歳上の料理人・結城貢と結婚。いかにも頑固親父といった強面の風貌で「オールナイトフジ」等の料理コーナーで女子大生を叱りつけていたオッサンとの結婚にはみんな驚いたと思う。
田中なおみはクラリオンガールという肩書はあるが、このメンバーの中ではパッとしない存在に思えた。実際に女優としては本作が最初で最後のレギュラー作品となってしまったようだ。80年代半ばに数本のドラマにゲストで出演した記録がある(同姓同名でなければ)。「太陽にほえろ」の最終話(86年)に1シーンだが出演していたようだ。いつしか芸能界から姿を消したが、06年に48歳の若さで亡くなったという。
ザ・スーパーガール
前回までとガラリと変わって、現在CS東映チャンネル放送中の「ザ・スーパーガール」(79~80年)である。七人組の女性探偵が活躍するアクションドラマである。
こういった類のドラマと言えば、まず「プレイガール」(69~74年)が思い浮かぶであろう。「プレイガールQ」(74~76年)へと続き、一旦途絶えた形になっていたが、同じ東映、東京12チャンネル(テレビ東京)の制作で3年ぶりに復活した後継番組といえる。その間に宣弘社が制作した「コードナンバー108七人のリブ」(76年)というのがあったが、こちらは1クールで打ち切られており、当欄でも2~3年前に取り上げている。
復活の陰には、当時放送されていた米国のドラマ「チャーリーズエンジェル」が人気だったこともあるようだ。
物語は女だけの探偵事務所「スーパーガール7」が開業したところから始まる。その所長が野際陽子(広瀬悠子)で、まだ「キイハンター」でのイメージも強かった。彼女こそ40代であったが、残りのメンバーは全員20代だった。サブリーダー役がジャネット八田(江本律子)で、実際に野際に次いでの年長者に見えたが、実は当時26歳と結構若かったのである。アクション担当が牧れい(長谷リエ)だが、元々東宝の女優で別にJACの出身というわけではない。スタート時は29歳だったが、まもなく30歳を迎えている。野際と牧は前述の「七人のリブ」にも出演しており、いずれも本作と同じような役柄でもあり、両番組を混同している人もいるかもしれない。セクシー担当が泉じゅん(白石美香)で、OPからヌードでシャワーを浴びている。当時23歳であり76年のデビューこそ日活ロマンポルノだったが、すぐに離れている。むしろ、本作の終了後から多くのロマンポルノ作品に出演している。ビジュアル担当といえるのが樹れい子(榊かおる)で、実はメンバーで彼女が一番若い(スタート時21歳)。73年の高校在学中にミスインターナショナルの日本代表に選ばれたという実績を持つ。しかし、彼女自身はは日本生まれ日本育ちだが、両親は米国人と中国人で、日本国籍を持っておらず代表を辞退している。
以上の五人は元警察官という設定になっている。山本リンダ(藤村マリ)はプロカメラマンという設定。当時28歳で、一連のヒットが続いたリンダブームは終わっていた頃でる。田中なおみ(並木悦子)は女子大生からそのまま入社した最年少メンバーという設定。ただ前述のとおり樹の方が田中より3カ月ほど若い。ちなみに田中は当時のクラリオンガールである。
こう見るとジャネット八田、山本リンダ、樹れい子と長身のハーフ美女が三人いるのが特徴といえる。しかし、リンダは叔母のスナックを継ぐという理由で24話にてレギュラーを降板。欠席が目立っていたリンダだったが26話以降は準レギュラーとして顔を出すようになる。そしてジャネットも25話にて殉職という形で番組を去った。「プレイガール」から通して見ると初の殉職者ということになる。番組が続くことになり、本人の都合か番組上のテコ入れかは不明だが、26話から新藤恵美と日向明子が登場する。
はぐれ刑事
「はぐれ刑事」というと、藤田まこと主演の「はぐれ刑事純情派」(88~14年)を思い浮かべる人が大半だと思うが、今回取り上げるのは平幹二朗、沖雅也主演の「はぐれ刑事」(75年)である。20年続いた「純情派」に対して、こちらは1クール13話と短い。おそらく打ち切りではなく、予定通りであったと思われる。
さて、その「はぐれ刑事」だが、平幹二朗演じる風間刑事は台東署の中堅刑事で人情派。彼とコンビを組むのが沖雅也演じる新人の影山刑事。エリート意識が強く風間の犯人に対しても情を見せる手法に苛立ったりもしている。
他のレギュラーだが、風間の幼馴染である外科医が田中邦衛(新藤)でその後輩医師が火野正平(大辻)。新藤の義妹で看護婦が夏純子(原田美智子)。彼女は風間に気がある。台東署の同僚刑事に山本清(四谷係長)、望月太郎(坂田刑事)…「非情のライセンス」でも一番若手の南刑事を演じていた。片岡五郎(大川刑事)…設定では風間と同期らしいが、実年齢は平より11歳下。他に伊東辰夫(大村刑事)、阿部希郎(矢野刑事)、青木卓司(山本刑事)がいる。専ら悪役をすることが多いメンバーである。彼らの上司が小沢栄太郎(滝川課長)で、30歳年下の若妻が浅茅陽子(滝川淳子)である。実際には小沢は当時70歳で、浅茅は28歳なので42歳もの差がある。
そんな時、事件が起こる。拳銃を持ったチンピラ(橋本功)に風間が丸腰で説得にあたる。しかしチンピラが発砲、同時に周囲にいた坂田、大村そして影山も発砲する。その刹那、風間は胸部に銃弾を受けて倒れるのだった。風間は一命をとりとめるが銃弾は体内に残ったまま。取り除くには大掛かりな手術が必要だが、風間は拒否。実は坂田と大村の銃弾は発見されたが、チンピラと影山のは発見されていなかった。影山は発砲の瞬間、思わず目をそらしてしまっていたのだった。まあ、影山が風間を撃ってしまったのはほぼ間違いないが、それを確定させないため、風間は手術を拒むのだった。ただ、放っておくと銃弾が体内を少しづつ移動し、生命の危険にさらされるのであった。というのが大まかなストーリー。
沖雅也が後の「大追跡」の矢吹刑事、「太陽にほえろ」の滝刑事の原型ともいえる刑事を演じている。最終話、風間の人情捜査を理解し始めた影山だったが、ある事件被害者の女性(市毛良枝)の保護に向かう。しかし、彼女は錯乱しており、影山が身に着けていた拳銃を抜き取り発砲する。崩れ落ちる影山。その頃、風間は新藤による銃弾摘出の手術を受け、無事成功を収めていた。
ペドロ&カプリシャスの歌う主題歌「陽かげりの街」は当時大ヒットしたこともあり、13話という短い番組を強く印象に残している。ボーカルは高橋真梨子である。
俺たちは天使だ!
前回にちょっと話が出たので「俺たちは天使だ!」(79年)である。実は本作は急遽企画されたものだったのである。
当初、プロデューサーの岡田晋吉が日曜20時のために考えた企画は三好徹の小説「六月は真紅の薔薇 小説沖田総司」のドラマ化であった。間単に言えば沖田総司を主人公とした青春時代劇であった。しかし、撮影直前になって上層部からストップがかかった。日曜夜20時といえば、NHK大河ドラマが君臨している。そんな時間帯に時代劇をぶつけるなどとんでもない、現代劇にしろ。というのが上層部の命令であった。といっても既にキャストもスタッフもおさえてあり、今更変更はできないと岡田は食い下がったが、答えはNOであった。
となると、キャストやスタッフはそのままで新しい企画を考えるしかない。そこで考え出されたのが、この探偵ドラマの企画「俺たちは天使だ」だったというわけである。ちなみに、旧企画での沖田総司役は沖雅也で、近藤勇が江守徹、桂小五郎に勝野洋、永倉新八は神田正輝、斉藤一は柴田恭兵というものだったらしい。土方歳三役は不明だが当てはまりそうなのは小野寺昭だろうか。その用意されていたキャストを似合いそうな役に当てはめていったわけである。
主役の探偵・麻生雅人(CAP)には当然のごとく主役予定だった沖雅也が。出演者たちは比較的容易にこの企画変更を受け入れたというが、恐らく沖は沖田総司を演じたかっただろうな、と岡田は後に語っている。
麻生探偵事務所の他の面々は基本的にアルバイトで、それぞれ愛称を持つ。多岐川裕美(藤波悠子/YUKO)事務所で雑務と秘書的な役割を持つ。渡辺篤史(島岡到/NAVI)普段は自動車整備工、柴田恭兵(入江省三/DARTS)普段はディスコの店員、神田正輝(芹沢準/JUN)普段はTV局のADである。この中では実年齢で言うと沖が一番年下である。麻生事務所と同じマンションにあるのが藤波法律事務所。小野寺昭(藤波昭彦)は悠子の兄で弁護士。長谷直美(関谷久美子)はその助手である。
麻生は元新妻署の刑事であり、かつでの上司や同僚が江守徹(南雲係長)、勝野洋(桂刑事)、三景啓治(金沢刑事)、横谷雄二(神保刑事)らがおり、接点のない神保以外は麻生に協力的である。他の(セミ)レギュラーとして下川辰平、田坂都、秋野太作、福崎和宏、結城美栄子、中康次らがいる。
目立つのはやはり「太陽にほえろ」のメンバー。沖を筆頭に小野寺、神田、勝野、下川、長谷、そして警官役で出ていた横谷と顔を揃えている。ちなみに小野寺演じる「殿下」の後任が神田だが、この時点ではまだ小野寺が出演中であった。また勝野演じる「テキサス」の後任が沖の「スコッチ」であった。
サブタイは「運が悪けりゃ~」と「運が良ければ~」を交互に繰り返しているので、主題歌「男達のメロディー」には無理矢理「運が悪けりや死ぬだけさ」という歌詞を加えてもらったという。
急場しのぎで作られたドラマであったが、評判は良かったようである。本作は「西遊記」二作に挟まれており全20話という半端な回数は早く「西遊記Ⅱ」を始めたかったからなのかもしれない
大追跡
「大都会PartⅡ」と「PartⅢ」の間に挟まれて放送されたのが「大追跡」(78年)である。実際には存在しない特殊セクションを舞台とした刑事ドラマは非常に多く、現在放送中のドラマも「相棒」にしろ「特捜9」にしろそのパターンである。この「大追跡」も県警本部に設置された遊撃捜査班の活躍を描いている。舞台が横浜なのだから神奈川県警のはずだが、劇中では多奈川になっているようだ。
メンバーは五人で、大抵のドラマでははみ出し者が集められることになっているが、本作もその例に倣っている。班長役は加山雄三(新田英一警部)。銀行籠城事件で二名の死者を出した為に遊撃班に左遷されたという設定。かつての若大将も当時41歳。企画者である岡田晋吉に自らオファーを出し、この役が決ったという。
藤竜也(水原慎介)。部長刑事だが、いつもジャンパーにジーパンという若者っぽい格好をしている。プロデューサーの山口剛は彼を主演にしたかったが、先に加山が決ったこともあり、藤には「加山さんは『太陽にほえろ』の裕次郎さんのポジションなので、事実上の主役はあなた」と説明したという。藤は当時36歳だが、後の三人はいずれも20代の若手が選ばれている。
沖雅也(矢吹史朗)は当時26歳だが、刑事役はすでに「はぐれ刑事」「太陽にほえろ」で経験ずみ。クールなキャラであることはいずれにも共通しているが、本作では堅物さが加わり、納得がいかない時は先輩の言うことも聞かない。故に移動させられたという設定。柴田恭兵(滝本稔)は、「大都会PartⅡ」が初のドラマ出演だったので、レギュラー出演は本作が初となる。当時はほぼ無名だったが村川透監督の強い推薦だったという。刑事感ゼロの服装で、より若く見えるが実年齢は沖より1歳上の27歳。長谷直美(結城佳代子)は当時22歳。番組内でも見せるようにA級ライセンスの持ち主。「太陽にほえろ」には当時既にセミレギュラー的に出演していたが、マミー刑事となるのは83年のこと。その数か月後に沖が自殺している。沖とは出演期間は入れ違いのようになっていた。
本作で印象に残ると言えば、やはりそのOPであろうか。役者は登場しない、車載動画の早回し映像。演奏はユー・アンド・エクスプロージョン・バンドで、この前年のアニメ「ルパン三世(第二シリーズ)」のOPで知られるようになった。挿入歌である「Sahdows of a Man」のヴォーカルはノンクレジットだったが、CD化された際に、ゴダイゴのドラマーであるトミー・スナイダーであることが分かった。
沖、柴田、長谷の若手刑事トリオはこの半年後に始まる「俺たちは天使だ」(79年)に揃って出演することになる。
大都会PartⅢ
「大都会PartⅡ」と来たら、必然的に「大都会PartⅢ」(78~79年)ということになる。「Ⅱ」から「Ⅲ」へは、間をおかないで放送されたイメージがあったが、間に「大追跡」(78年)を挟んでおり、半年たってからのスタートであった。
「Ⅱ」からの大きな変更はないが、本作から「黒岩軍団」の名称が使われるようなる。その黒岩軍団のメンバーは、渡哲也(黒岩頼介)はもちろん、高品格(丸山刑事)、小野武彦(大内刑事)、峰竜太(上条刑事)、苅谷俊介(宮本刑事)は引き続きの出演。松田優作、神田正輝に代わって寺尾聰(牧野刑事)、星正人(虎田刑事)が加わっている。課長役も高城淳一(加川課長)が新たに就任。渡、峰、苅谷、寺尾、高城と「西部警察」(79~84年)にも参加しているメンバーが多いので、混同している人もいるかもしれない。
石原裕次郎も前作と同じ渋谷病院の医師・宗方悟郎として登場。看護婦役も引き続きの舛田紀子(三田典子)、美田麻紗子(佐藤リエ、前作とは違う役名)、そして新顔が青木英美(白井智子)。他のレギュラーが新聞記者役の金沢碧(戸倉綾子)、黒岩軍団に否定的な記者クラブのメンバーに武藤章生、片岡五郎、下之坊正道で、武藤は引き続きの出演だが、特に役名はないようである。本作では黒岩の妹は登場せず、青木英美や金沢碧は1クール程度で出演しなくなる。なので、ヒロイン的な立場の女性はいないことになる。
新キャストでは星正人。映画「青春賛歌暴力学園大革命」(75年)で主演デビューした期待の若手俳優だった。「刑事くん・第5部」(76年)で、桜木健一に代わって主役を演じている。本作柄の役名の「虎田」は全国で二十数件という珍しい部類の苗字である。「虎」がつく苗字で割合多いのは「虎谷」ぐらいである。星正人というのは、とても芸名っぽいが本名である。87年に体調不良を理由に引退している。
ゲストに目を向けると「五万回斬られた男」こと福本清三。時代劇専門のイメージだが、現代劇でもやくざ映画には数多く出演している。テレビでの現代劇はやはり少ないが「Ⅱ」で一度、「Ⅲ」で二度、「西部警察」で四回ほど出演しているようだ(もちろん他にもある)。
そして前作同様「特別機動捜査隊」で刑事を演じていたメンバーの出演が目立つ。葉山良二、青木義朗、早川雄三、吉田豊明、山口あきら、藤山律子、綾川香、山田禅二といったところだ。中でも早川が4回、山口が5回も本作では出演している。
40~48話に苅谷俊介(宮本刑事)が登場しないが、これは撮影中に転倒し頭を強打したためだという(銭湯に乱入した犯人を追跡する場面)。一時は危険な状態だったというが、驚異的に回復し最終49話には姿を見せている。当時は極秘だったようだが、ヘタしたら番組打ち切りの可能性もあったといえる。
番組終了の翌月(79年10月)から局を日テレからテレ朝に移して「西部警察」が始まる。これは石原プロにテレ朝から破格の条件で製作を打診されたことによる移籍だった。その際に揉め事はなかったという。
大都会PartⅡ その2
前回に続き「大都会PartⅡ」(77~78年)である。本作では序盤で退いてしまった役者も多い。
前回も書いたとおり、仁科明子は不倫騒動で降板。次長役の佐藤慶も特に出番もないため、フェードアウト。刑事たちの行きつけの小料理屋の女将役だった佐藤オリエも7話にて降板。何故か大体の刑事ドラマではストーリー上は特に必要のない行きつけの店みたいのが登場するのが定番となっている。まあ息抜きの場面も必要ということだろうか。
刑事部屋の事務員も7話までは杣山久美という役者が演じていたが、9話から美田麻紗子にチェンジ。美田は最初の数回は渋谷病院の看護婦の一人として出演していた。裕次郎が渋谷病院の医師という役柄なので、病院場面はマストになっているのだが、看護婦役も丘みつ子、舛田紀子がいれば成り立つので配置転換ANDリストラということだろうか。
刑事部屋でも、前回書いたとおり小池朝雄(吉岡課長)が10話にて殉職。これは予定通りなのか小池の都合なのかは不明だ。後任として登場するのが小山田宗徳(武井課長)である。
そして粟津號(平原刑事)も13話にて殉職。これは完全に石原プロの意向によるもので、神田正輝と苅谷俊介を使いたかったので、誰か一人を切ることになり、しがらみのあまりない粟津に白羽の矢が立ったのである。じゃあ最初っから二人を出演させておけばよかったじゃないかと思うのだが、その辺の事情は不明だ。
14話より神田(神刑事)と苅谷(宮本刑事)が着任し、異本的な顔ぶれは揃った。若手刑事が多くなったが、実年齢でいえば、松田優作は27歳、峰竜太は25歳、神田正輝は26歳、苅谷俊介は30歳であった。
しばらくは大きな変動はなかったが、31話で左遷のような形で小山田宗徳が降板。翌32話より滝田裕介(山本課長)が就任した。途中降板した三人だが、小池朝雄は85年に54歳で、小山田宗徳は86年に58歳で、粟津號は00年に54歳でそれぞれ50代の若さで亡くなっている。
ゲストに目を向けると、放送は丸1年52回に及んだので、風数回登場するゲストも多い。志賀勝、片桐竜次、小林稔侍、林ゆたか、大村文武、阿藤海(快)、蟹江敬三などは二回出演。フォーク歌手の三上寛も二回で、これが初のドラマ出演かと思っていたが、先に「夜明けの刑事」に出演していた。柴田恭兵も二回だが、こちらは本当に初めてのドラマ出演であった。岡田Pは彼を発見したことが大きかったと語ったように「大追跡」「俺たちは天使だ」そして「あぶない刑事」と日本テレビ系のアクションドラマにレギュラー起用されていくことになるのだった。
メインではなかったが、女性ではアイドル歌手だった秋ひとみが二回出演していた。そこそこ人気はあったと思うが、短期間で引退してしまったようだ。引退宣言はしておらず、「休業」宣言のまま戻ることはなかったらしい。
大都会PartⅡ
「大都会闘いの日々」(76年)と来たら、次は「大都会PartⅡ」(77~78年)ということになるだろうか。
前回もちょっと書いたが、PartⅡと言っても続編とは考えない方がよい。渡哲也を始め、数人は同じ役名で登場するのだが、別のキャラと言っても差し支えないだろう。
変更点といえば、舞台は暴力団担当の捜査4課から殺人強盗などを担当する捜査1課へ。渡哲也演じる黒岩頼介は若手刑事ポジションから現場指揮者となる部長刑事へ。石原裕次郎は新聞記者から外科医へと役柄が変更となっている。
城西署捜査一課は、渡の他、高品格(丸山刑事)、小野武彦(大内刑事)、粟津號(平原刑事)は前作と同じ役名で登場。丸山や大内は完全に黒岩の部下となっている。丸山は部長刑事ではなくヒラ刑事と考えるのが自然だろう。
新登場は峰竜太(上条刑事)、そして今回の目玉でもある松田優作(徳吉刑事)。当時、暴力事件を起こした影響で干され気味になっていた松田を裕次郎はもちろん、岡田Pも気にかけ、渡に相談したところ「私が面倒を見ます」と言ってくれたので起用を決めたという。当の松田は企画自体には乗り気ではなかったようだが、「渡さんとは共演してみたい」と出演を決めたという(前作にもゲスト出演はしている)。制作発表の記者会見でも「B級アクションとしては面白いと思う」と発言し、岡田Pは横に裕次郎がいたのでヒヤッとしたらしいが、裕次郎は笑って受け流していたという。
彼らの上司となるのが小池朝雄(吉岡課長)。エリートではないが、部下に好かれるタイプでもない。わずか10話で殉職してしまう役どころだ。
他に前作から引き続き登場するのが渡の妹役の仁科明子(黒岩恵子)。松方弘樹との不倫騒動があり、芸能活動を休止したため、本作には9話分しか出演していない。佐藤慶(深町次長)は前作の課長から城西署次長となっているが、全部で3話分しか登場しない。武藤章生(川島)と山根久幸(新井)は、前作同様新聞記者役での登場だが、武藤の役名は変更されている。
石原裕次郎は「渋谷病院」の外科医・宗方悟郎として登場。企画段階での役名は前作と同じ滝川龍太だったらしい。イメージ的には病院で一番偉い人に見えるが、院長役は玉川伊佐男(梶山院長)である。前作では一色課長代理だったが、本作では4回程しか登場しない。看護婦役でで本作のヒロインに相当するのが丘みつ子(吉野今日子)。日活の末期に入社し、渡が主演の「関東」シリーズではいずれもヒロイン役であった。看護婦役で目立っていたのが舛田紀子(三田典子)。日活で裕次郎映画を25本監督した舛田利雄監督の長女である。
長くなったので続く。
大都会 闘いの日々 その2
前回に続き「大都会 闘いの日々」(76年)である。刑事が8人、新聞記者が10人という男レギュラーがいるわけだが、一応女性レギュラーもいる。まず渡哲也扮する黒岩刑事の妹・恵子が仁科明子。まだ松方弘樹と結婚する前だが、この翌年に松方との不倫騒動が起こっている。松方は78年に前妻との離婚を成立させ、79年に二人は結婚することになる。
そもそも二人が知り合ったのはNHKの大河ドラマ勝海舟(74年)である。当初、海舟役は渡で、その愛人・お糸役が仁科だったわけだが、渡は病気で降板し、後を引き継いだのが松方だったわけである。つまり渡が二人が知り合うきっかけを作ったともいえる。
バー「ムンク」のママ三浦直子が篠ヒロコ。翌年には表記が篠ひろ子になるが、まだ篠ヒロコだった頃は美人だけれども暗いイメージというか陰のある女性に見えた。本作でも黒岩に暴力団関係の情報を流しながらも、彼に惹かれていくという役どころ。その正体は政財界のフィクサー桂木(山内明)の情婦というもので、そこから足を洗おうとするが、素性を知った深町(佐藤慶)や一色(玉川伊佐男)が黒岩に内緒で彼女を暴力団壊滅作戦に利用しようと考える。結局、自分は黒岩に愛される資格はないと桂木との関係継続を選択し、海外へと旅立っていく。というのが最終回。
そんな彼女も約10年後には「毎度おさわがせします」では、木村一八の母親役をコミカルに演じていた。そして92年に作家の伊集院静と結婚。伊集院の前妻は若くして亡くなった夏目雅子だ。篠は97年に女優業を休止し、現在に至る。
話を戻すが、そのバーで歌っている歌手が牧村三枝子。出演者としてはクレジットされていないが、EDで「挿入歌・『赤提灯の女』唄-牧村三枝子」と名前が出ている。60後半となった現在も独身だが、その理由としてこの時に石原裕次郎と渡哲也に出会ってしまい、他の男性に目が行かなくなったからと述べている。
ゲストに目を向けると、やはり日活出身の役者が多い。西尾三枝子、深江章喜、岡崎二朗、柳瀬志郎、榎木兵衛、長弘、青木富夫(突貫小僧)、高橋明、中平哲仟、相原巨典、浜口竜哉、郷鍈治など。
また、当時放送中だった「特別機動捜査隊」の三船班メンバー青木義朗、早川雄三、吉田豊明が立て続けにゲストで出演している。他の番組では普通に悪役だったりする。青木義朗も日活映画には数多く出演していた。
番組は全31回という中途半端な話数で終了している。キャストは豪華だったが、地味で暗いイメージのある話だったことは否めない。まあ視聴率が稼げる番組ではなかったのである。「次は視聴率を取りに行こうよ」と岡田Pは裕次郎に言われたこともあり、「PartⅡ」は方向転換し明快なアクションものになったのである。
大都会 闘いの日々
刑事ドラマにおいては、次第に新聞記者は邪魔者的存在になっていったと思う。例えば「特別機動捜査隊」で60年代は村上不二夫(村上記者)など準レギュラーがいて、ストーリーに絡むこともあったが、70年代に青木義朗(三船主任)が実質主演となってからは、三船が新聞記者を全く相手にしないキャラだったこともあり、番組から記者の存在は消えていった。
そんな中、刑事ドラマだが記者の存在もクローズアップした作品が「いろはの“い”」の前番組だった「大都会 闘いの日々」(76年)だった。これは石原プロの「テレビ第1回作品」でもあり、肋膜炎で病床の身にあった渡哲也の復帰作品でもあった。
現在もそうだが、刑事ドラマといえば殺人などを担当する捜査一課が舞台となるのが普通だが、本作は暴力団担当の捜査四課が舞台となる。この四課の面々がとても渋い。佐藤慶扮する深町警視率いる通称深町軍団。以下、玉川伊佐男(一色課長代理)は深町不在時に指揮を執るが、階級は不明。まあ警視か警部になるはずである。中条静夫(加賀見係長・警部)、高品格(丸山部長刑事)黒岩と組むのはいつもこの人である。草薙幸二郎(高木部長刑事)、小野武彦(大内刑事)、粟津號(平原刑事)、そして渡扮する黒岩刑事。階級は巡査長でこのメンバーでは若手である。「大都会PartⅡ」や「Ⅲ」を先に見た人は混乱するかもしれないが、別世界の話と考えたほうがよい。黒岩はデカ長ではないし、丸山は普通に先輩だし、大内も同年代だが多少先輩格のようである。メインライイターは倉本聰であり、派手なドンパチなどはない。
捜査本部が城西署にあるため、彼らは城西署の刑事たちと思われがちだが、設定では大内と平原の二人だけが城西署の所属で、黒岩を含めた残りのメンバーは警視庁からの出向組、つまり結構なエリートなのである。この設定って見ていても中々わからない気がする。
そして記者クラブの新聞記者たち。石原裕次郎演じる滝川キャップ中心とした東洋新聞は寺尾聡(日高)、神田正輝(九条)、北浦昭義(由比)。神田正輝はこれがデビュー作。誰が見ても素人感が満載であった。毎朝新聞は宍戸錠(松川)、平泉征(大久保)、武藤章生(南)、中央タイムスは柳生博(木内)、山根久幸(新井)、浜田晃(吉乃)といった面々。もちろん全員が登場する回はほとんどない。
裕次郎と渡は日活出身なので、宍戸錠、高品格、武藤章生といった日活仲間がキャスティングされている。玉川伊佐男、草薙幸二郎も日活映画への出演は多かった。一方、中条静夫、平泉征(成)といった大映出身者もいる。山根久幸(ひさよしと読む)も日活作品への出演経験がある。新聞記者役のイメージしかないと思ったら、それもそのはずで「PartⅡ」や「西部警察」でも新聞記者の役をやっていた。
ウィキには裕次郎は九条役には五代高之を考えていたが、プロデューサーの岡田晋吉が神田正輝を強く推したので神田になったとある。岡田の著書では石原プロが本作で神田を売り出そうとしていたとあった。真実は不明だが、五代は当時20歳でこの役には若すぎると思う(神田は25歳)。